概要
小説家になろうのムーンライトノベルズでweb連載しているBL小説。
作家は「久臥」氏。
異世界転生×ファンタジー×開拓×迷宮×BLの要素あり。書き方は一人称式。
一見、ほのぼのコメディと思いきや油断していると突如シリアスがぶちこまれる。
絶妙なストーリーの流れで、更に魅力的で癖のあるキャラクターが多く登場する。
まだ連載して間もないが、濃い内容と更新頻度の高さから連載開始早々ランキング上位に君臨し人気度が高い。
BL初心者でも読みやすく、NLも含まれている。
主人公と相手との年の差は18歳。
更新は三日に一度程。
ストーリー
主人公アルヴィは前世の記憶を持つ転生者。
ミュラー男爵家の次男として生を受け、ライトノベルの知識で調子に乗るも……事は上手くは進まない。
それでも、愛情深い両親に小生意気な兄のいる家に産まれて、幸せだった。
しかし、北方で魔物暴走が勃発し騎士であった父は殉職。兄は大怪我を負ってしまう。
恩賞に領地を与えられたが、そこは鉱山もなく村一つしかない貧しい領地だった。
「俺、チート持ちじゃないんですけど!」
登場人物(ネタバレ注意)
主要人物
- アルヴィクトール・エル・ミュラー
前世の記憶を持つ本作の主人公。男爵家次男。10歳。愛称はアルヴィ。
父亡き後、貧しい領地を与えられ家族の為に領地経営に奮起。若干10歳で実質的な当主の仕事を担い、農地拡大、食糧増産、水路の設置等、生活環境を改善させ、領民から非常に慕われるようになる。
レナードから運命を理由の求婚に戸惑いつつも惹かれてき、婚約には前向きに検討中。
性格は努力家。《ステータス画面》さんのせいでメンタルをやられる事が多い作中屈指のツッコみ役兼苦労人である。アイロックの魔道具で十年後の姿に変身できる(エロ担当)。
母親とリクハルドの影響で祝福持ちに甘く、面倒見の良さから懐かれる事も。
黒髪に一重といった平たい顔が特徴。母方の祖母ロザリアと瓜二つ。
体力や魔力は人間最下位(雑魚)。適性魔法は全属性で序盤はオール1。後に土と闇が上昇する。称号は努力の変人。
所有スキルは、スキル能力不明の《補助》、魔力を極限に節約できる《エコ》、及び、Lv1にもかかわらずLv6以上の性能を持つ《鑑定》。
また、スキルではないが対象者のステータスに加えて備考欄(暴露)を表示する《ステータス画面》というアルヴィクトールのみ持つ特殊能力がある。
- レナード・エル・ノイエンドルフ
王弟。五人兄弟の末っ子。28歳。
普段は「レオン・オードラン」と名乗り第一級冒険者として活動している。
北方の魔物暴走の発生では偶然が重なった結果、王族として全軍の団長代理となり、中央騎士団第五、第六部隊に殿を命じ最低限の被害で鎮圧させる偉業を果たした。
強力な火蜥蜴の祝福持ちで、19歳まで石牢と古代遺跡の中で生活し、言い伝えの運命(伴侶)を心の支えに生きてきた。探すべく冒険者となり、バルテン子爵領で変身したアルヴィと巡り合う。
一度は逃げられたが追跡し、婚約するべくレオンの名でミュラー領に滞在する。
文武に優れ、兄達との年齢差と祝福がなければ次期国王に推薦されていた程の傑物。その一方で王宮内では敵は多く、ミュラー家に豊かな領地を恩賞したはずだったが、妨害されてしまった事も。
豪放的で情が深い性格だが親しい者以外には冷めている。キスリングとは剣術の師弟関係。
アルヴィに強い愛情と執着心を向けており、かなり嫉妬深い。本人の承諾なしに追跡装置を身に着けさせている。
祝福の影響で体温は熱い。妖精の警戒対象。アルヴィ曰く「魔王」。
赤毛に赤銅色の瞳を持つワイルド系のイケメン。
適性魔法は火18。所有スキルは《剣技》と《制御》。
ミュラー男爵領
- ディートリヒ・エル・ミュラー
ミュラー家の嫡子でアルヴィの兄。19歳。
父と同様に騎士を目指し、見習いとして北方騎士団に配属された。しかし大規模なスタンピードが発生し、片目と片足を失う大怪我を負う。
同僚の友人達や中央騎士団第五、第六部隊壊滅したなか自分一人生き残ったことにより精神を病んでしまい、退院後は領地で療養生活を送る。多少癒えた後は猟師として働き、害獣を狩るようになった。
父亡き後、当主になるが経営力はなく領地の仕事はアルヴィに全て任せていた。クリストフに経営学を教わっているものの、元から座学が壊滅的な上に脳筋な為、向いていない。しかし戦士としては非常に優秀で、教えるのも上手い。
子供の頃はやや生意気な性格で現在は療養生活も含め落ち着いている。非常にモテる初恋泥棒。
金髪に緑色の瞳を持つ美青年。父親と顔立ちがよく似ている。
適正魔法は風4と火5。所有スキルは《剣技》と《俊足》。
- キスリング・エル・ミュラー
ミュラー家先代当主。ディートリヒとアルヴィクトールの父。44歳。
中央騎士団第五部隊隊長。北方で大規模な魔物暴走が起こり、鎮圧に北方騎士団の上層部では不可能と判断したレナードに殿を命じられ殉職した。忠義に厚く、部下達から深く信頼されていた。
レナードの剣術と生き方の師で、仲は良好だった。義母が超絶苦手。脳筋。
金髪碧眼を持つ端正な男性。
- ベルナデット・エル・ミュラー
ミュラー家先代夫人。キスリングの妻。40歳。
夫の死後、逆境に負けずアルヴィと共に貧しい領地開拓に奮起する。
ディートリヒの入院中は当主代理となり、領民と共に農業に参加し治療士としても働く。
ただし経営力はなく、アルヴィとクリストフが当主の仕事を代行している。
芯が強い女性。料理と農業の腕はクリーチャー召喚レベル。クスター子爵家出身で跡目争いのせいで実家の援助は見込めない。
領地を賜る前は教会でボランティア活動をしていた。その関係で祝福持ちとの縁が広い。
ブラウン色の髪と瞳を持つ美女。適性魔法は光4。回復魔法に特化している。
- クリストフ・キーファ
ミュラー家家令(仮)。ゼルツアー伯爵家の庶子。24歳。
正妻の手引きで母親が病に伏せてしまい、両親の死後は借金奴隷に堕とされ復讐を誓っている。
残り二十八年雇用契約のところをミュラー家に二年間雇用される。最初は貧しい領地に絶望していたものの、アルヴィに感化され領地経営を全面的に支持するようになる。
幼い実弟に当主の仕事を任せきりなディートリヒに思うところがあり、基本的にアルヴィを尊重している。
ジャックの学生時代の先輩で、徹夜で仕上げたレポートを紛失された事を根に持っている。昔はプライドが高かったらしいが、現在は容量よく生きている
銀髪の青年。知的な容姿に反して武術も得意。
適正魔法は水6、風8。所有スキルは《剣技》と《弓術》。
- ダン
ミュラー家の庭師。28歳。使用人歴十年。
ミュラー家が領地を賜った後、多くの使用人達が辞めていった中で思慕からついてきた。
アルヴィと長い付き合いなので、性格をよく理解している。
何気に苦労が多く、王都住まいときに交際していた彼女に三股された挙句フられた。
朴訥で物腰穏やかな青年。ぽっちゃり気味。
- デニス・テスラー
ミュラー家の騎士。32歳。准男爵家出身。
キスリングの部下。中央騎士団第五部隊の元隊員。北方の大暴走時は早くに負傷し、前線を退いた為に生還した。
しかし同僚の婚約者と死別してしまい、怪我で後遺症が残り脱退。恩人であるミュラー家の窮地を知り、金銭すら関係なく仕官した。嘘が苦手な誠実な性格。
ガチムチの男性。ちなみに意外と受け。
適正魔法は風5、土2。所有スキルは《剣技》と《防御》。
- ビクター
領民のまとめ役。
貧しい領地で未来を悲観していたが、ミュラー家の働きで生活が改善し、特にアルヴィを信奉するようになった。既に老体の身だが若者達と並んで率先して働いている。
フランシスコ・ザビエルのような髪型。
貴族
- リクハルド・エル・キャルリーヌ
キャリーヌエ子爵家長男。10歳。
筋肉神の祝福持ちで、生後間もなくして実母と乳母を重傷に負わせてしまい、屈強な騎士に育てられた。母親とは疎遠だが、魔導補助機の魔石は彼女のお手製。
幾度も邸を破壊した経緯から父親の言いつけで普段から動かない故に、細身で小食。
ミュラー家の挨拶でアルヴィと出会い、彼の影響を受けて祝福の制御を始める。一度は怪我をさせてしまってからは心身ともに成長し、鉱山で修行するようになった。
アルヴィを友情的な意味で好いている。犬のように人懐っこい性格。
ブラウン色の髪に緑色の瞳を持つ少年。母親似で可愛らしい顔立ちの持ち主。
適正魔法は火5、風2。所有スキルは《筋肉》と《制御》。
- ヨハン・エル・キャルリーヌ
キャリーヌ子爵家当主。45歳。
没落寸前であった家を一代で立て直し、鉱山を元手に莫大な財産を築き上げた手腕を持つ。
強面の見た目に反して愛妻家にして子煩悩。祝福持ちに産まれたリクハルドに表面上は厳しく接している。二児の父親。
キスリングとは旧友。エリオットとは犬猿の仲。商人達から腹黒狸と呼ばれている。
熊のような大柄な体格でスキンヘッドと立派な顎髭を持つ。
適性魔法は火7、風4、土1。所有スキルは《商才》。
- エリオット・エル・バルテン
バルテン子爵家当主。45歳。
十年前に発掘した古代遺跡を持ち前の社交性と容姿で多くの出資者を募り、発展させた敏腕領主。政略結婚の夫との間に養子がいる。
賢いアルヴィを気に入り、レナードへの牽制を込めてミュラー領に出資する。
ベルナデットの幼馴染でキスリングとは学友同士。ヨハンとは犬猿の仲で、実は初恋を拗ねらせている。かつてはレナードの講師を担当。運命の秘密を知っている数少ない人物。
金髪青眼で華やかな容姿の持ち主。
適性魔法は水7、風4。所有スキルは《社交》。
- フェリクス・エル・アンデル
アンデル伯爵家長男。10歳。
ミュラー領に出奔した姉を追ってきた。姉の為にアルヴィの研究に腐葉土・特を食べる実験に協力する。
幼少期は姉に構う両親に嫉妬していた時期もある。真面目で動物好き。思い込みが強く、アルヴィの親友を自称している。フェリクスとは喧嘩友達。
適性魔法は水5、風2。所有スキルは《剣技》と《魔法》。
- リディアーヌ・エル・アンデル
アンデル伯爵家長女。16歳。愛称はリディア。
突然、ミュラー領に現れディートリヒの婚約者と名乗りだした令嬢。
魔力神の祝福持ちで、短命の将来を悲観して12歳のとき初恋のディートリヒに求婚した経緯がある。死ぬ前に会いに訪れたのだが彼の現状を知らなかった己の身勝手さを恥じ、静養を選ぶ。
死期を悟った後、森の中で終わろうとしたがアルヴィの機転によりファランの樹の樹液で事なきを得た。
読書家で博識。器用さを持つ才女。アウグストとは恋敵だが仲がいい。
適性魔法は水4、風2、光1。所有スキルは《痛覚耐性》
古代遺跡調査団
- ルシオ・ヒスペルト
所長。平民。42歳。
実は王族の一人で、先代王の弟が侍女に産ませた私生児。レナードとはイトコ同士。
出生や地位に関心はなく、研究に没頭している。遺跡に縁があり、頭脳明晰なアルヴィを気に入っている。
アルヴィと同じ年の息子がいる。
大柄で、もじゃもじゃの黒髭が特徴の男性。目は深い青。
- シモン・エル・オルソン
研究員。伯爵家次男。30歳。
代々古代遺跡の研究に携わってきた一族出身。口数が少なく、声も小さいのが特徴。
正体は王族の血を引くルシオの護衛。レナードが認める程、かなり強いらしい。
ブラウン色の髪で、長い前髪が特徴の男性。
- ジャック・ノルマン
研究員。平民。20才。
学園始まって以来の天才で飛び級して卒業した実績を持つ。
記憶神の祝福持ち。上記の功績はその恩恵であるが、忘れられない苦悩を抱えている。
学生時代、先輩であったクリストフを一途に慕い、貞操と童貞を守り通している。純情。
アルヴィの《ステータス画面》では貴族に産まれていれば宰相に昇進できた程の器の持ち主。
言動や外見がチャラく、アルヴィに舐めた態度をとった為に初対面では良い印象は持たれてはいなかった。知識が豊富で、ミュラー家の領地開拓にも貢献している。
癖のある金髪にブラウンの瞳を持つ。愛嬌のある顔立ちの持ち主。
余談であるが作者は攻めか受けか悩んでいるとの事。
魔法適正は風4、土1。所有スキルは《思考処理》。
- クラリッサ・エル・シャイン
研究員。男爵家三女。25歳。
古代遺跡に魅せられ、女性の身で入局した才女。縁組を強制する実家とはそりが合わず、疎遠気味。唯一の理解者である衛生兵の末弟との仲は非常に良好。しかし魔物暴走の一件で弟は心を病んでしまい、悪意ある噂を鵜呑みにして原因であるレナードを恨んでいた。
ミュラー領滞在中、レオンの正体がレナードと知ってしまい、復讐を目論むがアルヴィの判断で未遂で済んだ。その後は王都へ帰された。
自分の容姿に自信がなく、内気な性格。ブラコン。
ブラウンの髪に緑色の瞳を持つ。眼鏡と雀斑が特徴の小柄な女性。
魔法適正は水3、風2、光1。所有スキルは《集中》。
- レベッカ・エル・メンデス
研究員。準男爵出身。25歳。クラリッサの入れ替えでやってきた。
元騎士で、古代遺跡の夢を諦めきれず二年の猛勉強の末に入局した才女。メンバーの中では経験が浅く、重責を感じている。真面目な性格。
オレンジ色に近い短髪に灰色の瞳を持つ女性。
冒険者
- アウグスト・ロッソ
第二級冒険者。25歳。愛称はアスト。
古代遺跡調査団の護衛として雇われた冒険者の代表。
ディートリヒに恋し、酒の勢いで公衆の面前で求婚したが拒否されても諦めていない。
口数が少なく、無表情。
配慮のできるストーカー。作者によるとディートリヒの伴侶候補の一人らしい。
全身黒尽くめの防具を身にまとった端正な顔立ちの青年。黒髪のポニーテールが特徴。
その他
- アイロック・エル・ローゼ
20年前に現ミュラー家邸に住んでいた少年。享年16歳。
生産系チート級の実力者で、謎めいた人物。危険度Maxな魔道具開発や古代遺跡を研究し、作物の品種改良をしていた。その内のファランの樹は魔力神の祝福持ちに絶大な効果を発揮する。
控えめに言って地獄と謂わしめる程の日記を書き残している。
アルヴィは死亡年齢から魔力神の祝福持ちで、ファランの樹の成長が間に合わず亡くなってしまったのではないかと推測している。
- 狂乱の魔導師
本名不明。様々な罪状を持つ一級犯罪者。
魔力神の祝福持ちで、ファランの樹液無しで克服した唯一の人物。
レオンとは因縁の相手であり、水魔法を得意としているので非常に相性が悪い。
世界観
剣と魔法の世界。
かつては栄華を誇っていた古代文明が存在していたが一夜にして滅んだ。
現在の人々は生き延びた古代人の末裔と言われている。
恐ろしいことに夜空には星が一切存在しないため、惑星上に存在するか否かすら不明。
主人公達が暮らす国はエルバルド王国。政治体制は貴族制。同性の婚姻は可能。
古代遺跡
古代人が開発した施設。地下か森に埋没している。
階層によいって魔物が潜んでおり、財宝が眠っている。
アルヴィ曰く「迷宮」。遺跡探索者を冒険者と呼ぶ。
祝福
神々から与えられた能力。登場している神々は火蜥蜴、水精霊、風精霊、筋肉神、記憶神、魔力神、芸術神。
祝福と呼ばれているにもかかわらず、祝福を授けられた者の殆どに不幸を齎す、アルヴィ曰く「呪い」。
恩恵としてスキル、又は魔力に絶大な影響力を及ぼす。祝福は個人差がある。
先天性な為、教会が保護しており能力によっては魔導補助機である程度は抑えられる。肉体や精神的にも不安定で、細身が多い。
制御できず成人を迎える者は半分ほど。その中でも魔力神の祝福持ちの最期は悲惨。
エルバルド王家の火蜥蜴の祝福持ちのみ、運命の相手がいる。
外部リンク
小説
『「俺、チート持ちじゃないんですけど!」』 |小説家になろう