ヒトラー(リィンカーネーションの花弁)
ひとらー
「健闘を祈る。ーSieg Heil」
概要
項羽率いる罪人軍に所属する幹部『五虎将』の一人。
世界的に有名な独裁者アドルフ・ヒトラーの廻り者。基本的に相方であるポル・ポトと行動を共にしており、戦闘も全て彼に任せている。巨大な椅子に座っていることが多いが、これは過去のとある一件で足を失ってしまっているため。移動の際もポル・ポトに担いでもらっている。
人物
軍服や鉤十字の刻まれた軍帽という史実にあるアドルフ・ヒトラーを想起させる服装をしているのだが………
その外見は花緑青色の髪をした小柄な少年(少女?)であり、ハイライトのない大きな瞳が特徴的。
しかし、その可憐な外見とは裏腹にその性格は冷酷、狡猾といった言葉がよく似合うものでニヒルかつ毒舌。どこか人を見下したようなスタンスで話す性悪。
常に冷静、理知的であり、戦闘中は基本的に微笑を浮かべながらポル・ポトに指示を出し、後述の能力を駆使し、一方的に敵を殲滅する。戦略に於いても、偉人格の中でも優れた頭脳を持つアインシュタイン、ニュートンを同時に相手取っても、彼らのミスリードを誘い殺害寸前まで追い詰めるなど優れた戦略眼を持つ。
敵対者には冷徹な一方、項羽やポル・ポトといった長く行動を共にしてきた仲間には友好的かつ情に厚い面もあり、項羽が傷付いて戻って来た際は激昂していた。
才能
『掌握者(エニグマ)』
ナチスのシンボルである『鉤十字』の紋章に接触している生物と視覚・聴覚をリンクする能力。
殺傷能力こそ全くないものの、索敵、諜報に特化した才能であり、作中では戦場となった森に生息する全ての昆虫や動物、果ては仲間の罪人格たちにもこの鉤十字の印を刻んでおり、彼らの見た事象の全てを観測していた。
この能力の恐ろしい点が、情報戦に於いて圧倒的なアドバンテージを得られることである。敵が戦えば戦うほどその戦術や能力を知ることが可能なため、それに合った人員を差し向ければ有利な状況を生み出すことが出来るため、軍師にとって最適な能力である。
また、情報のリンク以外にも鉤十字を持っている相手との交信も可能なようで、仲間たちに召集をかけることも可能。
『我らの闘争(ウンザカンブ)』
鉤十字とは異なる十字の紋様に触れている人間の支配を独占する能力。
詳細は不明だが、対象者の判断能力や意識を朦朧とさせる効果があり、コーニッシュは「自分が愚鈍になったような感覚」と感じていた。また、発動中は左眼から流血する。
作中での活躍
初登場は単行本3巻収録の第13話。他の五虎将と共に戦場に出陣した。
本格登場は第15話。強力な偉人格である、完全なステルス能力を持つファーブル、動物の優れた部位を発現させるダーウィン、選択可能な事象を確定で発生させるシュレディンガー、チェスの駒による物量戦に秀でたフィッシャーを、傷を負うことすらなく一方的に虐殺した。
その後は、現れたニュートン、アインシュタインを相手取る。ポル・ポトの範囲攻撃でアインシュタインの才能を完封し、優位に立つものの、ニュートンに『掌握者』の能力を見破られることに。更にはポル・ポトがニュートンの挑発に乗ってしまったことで形成逆転したかに思われたが、それすら全て彼らの術中であり、ニュートンたちを戦闘不能状態に追い込んだ。
トドメを刺そうとしたものの、彼らの才能頼りではなく、策を使って戦う姿や、互いを思い合う姿を「才能に溺れた廻り者ではなく、人間である」と判断。彼らを見逃す。そして自分たちは初めから全滅するつもりだったことを明かすと、ポル・ポトと共に『腐食』の能力で塵となって消えていった。ノイマンを妄信するなという警告を残して。
過去編
5巻の裏表紙にて、ヒトラーとポル・ポトの出会いの経緯が明かされた。初めは自身の能力で誰かを傷付けることを恐れて引き篭もっていたポル・ポトの説得を項羽から頼まれていた。しかし説得の際、彼の『腐食』能力が暴走してしまい、両足を失ってしまうが、ポル・ポトの説得には成功。以降、自分の足になることを命じた。
その後は項羽の過去回想にて登場。『偉人の杜』結成前は後の五虎将のメンバーたちと共に廃屋に潜伏していた。項羽たちの掲げる『世界平和』に自分たち罪人格は邪魔だから消しに来たと主張し、ダルモンと殺し合いになりかけるが、項羽の制止で和解。尚且つ、ヒトラーの罪人格は偉人の杜に参加出来ないという考えは、同じく罪人格の項羽が参加している以上間違っていると指摘されていた。
しかし、その後偉人の杜と項羽の衝突があり、彼が重傷を負って戻って来た際は激昂しており、「今の項羽を見て黙っていられる奴なんて一人もいない」と情の深さを垣間見せた。
死亡後は、ポル・ポトと共に退場部屋に入室しており、彼の膝の上で楽しげに酒を嗜んでいた。
*ネタバレ注意*
「僕達はあれと戦う為に呼び戻された ってことでいいのか?」
偉人の杜との全面対決の際、兵隊王キュロスII世と対峙していた『秤の蘇生者』コーニッシュと『怪物の創造者』メアリー=シェリーの才能の合わせ技によって、ヒトラーはかつての相棒ポル・ポトと共に蘇生された。ただし、完全復活したわけではなく真っ当な死者ではない2人は時間制限付きの不完全な形での復活であったが、本人は「ちょっとしたロスタイム」と気にしていなかった。
コーニッシュから事情を聞き、状況を理解したヒトラーは即座にポル・ポトと共に戦闘を開始。圧倒的な手数と速度と破壊力、そして再生力を有するキュロスII世を前にヒトラーは全力で戦うことを決意。
「2つだけ聞かせろ。僕達を戦わせる前提で準備はしてあるのか?
もう一つ。この戦いは 勝ってもいいんだな」
ポル・ポトと共に以前の戦いでは罪人格として死ぬ為に使用しなかった才能『我らの闘争』を発動。最も威厳高き王であるキュロスに挑むのであった。
余談
ヒトラーは短い登場期間であったにもかかわらず、キャラクター人気投票1位を獲得しており、多くの読者から愛されている。人気の要因となったのは、やはりそのビジュアル面の良さだろう。
ちなみに、原作者の小西幹久先生はこのキャラクターのビジュアルについての考察を認知しており、「ヒトラーは性別不明です。好きに考察してください」と公言している。