古代中国の兵法家。
孫子とは
孫子とは、古代中国の兵法家、及びその手による兵法書である。
ただし、現在残っている「孫子兵法」のほとんどは曹操が注釈をつけたものであり、(彼が中国では嫌われ者のせいもあり)そのせいで「孫子は曹操が箔をつけるために創作した架空の人物である」などというイチャモンもつけられている(後に三国時代以前の孫子兵法に関する竹簡が発見され、実在の人物であるとみなされた)。
現在では、呉に仕えた孫武と、その子孫であり斉に仕えた孫臏によって書かれた書物であるとする説が一般的。
その内容を知らない人々からはしばしば一つの戦いに勝つ為の「戦術書」と思われるが、実際は戦争全体で勝つ為の「戦略書」である。
孫子兵法の要点
未だ「勝敗は天運次第」と言われた戦国時代の当時、徹底的なリアリズムによってそれを否定した事が、彼等の功績である。
以下にその一例を記す。
「百戦百勝は善の善なる者に非ず。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり(全ての戦いに勝利することが最善なのではない。戦わずして相手に負けを認めさせ無用の被害を防ぐことこそがことこそが最善の方法なのである)」
「算多きは勝ち、算少なきは勝たず、しかるをいわんや算無きにおいてをや(常に勝算の多い方が勝ち、勝算の少ないほうは負ける。ましてや勝算を考えぬ者の結果は言うまでもない)」
「彼を知り己を知れば百戦殆からず。彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆し(敵の得意・不得意を知り己の得意・不得意を知っていればどれだけ戦っても負けない。敵の得意・不得意を知らずとも自らの得意・不得意を知っていれば五分の戦いにはできる。敵の得意・不得意も知らず己の得意・不得意も知らぬようでは戦うたびに負けるだろう)」
以上のように、徹底的に「兵を失わぬことこそが最善である。もし戦う場合には、事前の計算や情報こそが大事である」といった内容は当時において画期的であった。その内容は現在でも通用し、米国の士官学校などでは未だに基礎として教えられているという。