円安
えんやす
概要
日本円と外貨との為替相場(円相場)において、円の価値が外貨に比べ低くなる状態。米ドルとのレートに対して言われることが多い。
反対に円の価値が高くなることを円高という。
例えば、1ドル=100円の状態から1ドル=120円に変わった場合、1ドルを手にいれるために必要な日本円が20円増える(=ドルに対しての円の価値が低くなる)ため円安になったと言える。
例えば、1円=120ドルの状態から1円=100ドルに変わった場合、1円を手にいれるために必要な米ドルが20ドル減る(=ドルに対しての円の価値が低くなる)ため円安になったと言える。
円安になると輸出品の価格が相対的に低くなるため、海外での売り上げの多い輸出企業にとって有利となる。また、海外から見た日本国内の物価が相対的に低くなることから、外国人の訪日旅行者が増える傾向にありインバウンドの増加による経済効果を期待できるとも。
しかしその反面、燃料や食品など輸入品の価格が高くなることから、(過度な)円安が起こると国民生活が圧迫される可能性がある他、海外の物価が相対的に高まることから海外旅行をする者にとっても不利となる。また、前述した輸出企業であっても製品の原料が輸入品であることが少なくないことから、必ずしも円安のメリットを享受できるとは限らない。
日本政府にとっては長年の円高によって工場の海外移転が進んだことで発生した産業の空洞化が悩みの種だった。その後2012年ごろから円ドル為替レートは円安方向に転換。円高は是正されたが、政策当局者が期待した製造業の国内回帰は(ほとんど)実現しなかった。
ここ最近の円相場は、日米の金利差も相まってこれまでよりも円安方向に振れており、2022年6月13日には20年ぶりに1ドル=135円台に達し、同年10月には151.9円まで急騰。その後も1ドル=145円前後で一進一退が続いている。円安は、ポストコロナの石油価格の高騰とあいまってインフレ要因となり、日本国民の生活に重大な悪影響を及ぼすことが懸念されている。