概要
1925年にアール・デア・ビガーズの推理小説シリーズで創られた架空の刑事。
ハワイのホノルル警察に勤める中国系アメリカ人。『鍵のない家』(1925年)で初めて世に出た。
ビガーズはチャーリー・チャンが登場する小説作品を1932年まで6編書いている。
作中でチャンは「まるで女のように上品で軽やか」な足取りで歩き、「とてもずんぐりしている … 西洋の服を着ているとどこも目立ったところがない」と描写される。
チャンは賢明・勇敢・善良・高潔に描写された魅力的なキャラクターと思われていた。しかし後年になると批評家の意見は好意的なものばかりではなくなっていった。
チャンはいくつも美点を持つ一方で、標準的な英語を身に着けない、伝統に縛られている、従属的といったアジア人を卑下するステレオタイプを強化すると考えられた。また現在では、映画のチャン役がイエローフェイスのメイクをした白人俳優によって演じられたことを問題にする者が多い。
チャンの評価が変わったことが大きな理由となって、1981年以降チャーリー・チャン映画は製作されていない。
メディアでのチャン
チャンが登場する映画は1926年を皮切りに40本以上作られてきた。初期の映画ではチャンは脇役に過ぎず、東アジア系の俳優によって演じられており、ほとんどヒットしなかった。
1931年、フォックス・フィルムはチャンを主人公に据えた最初の映画 Charlie Chan Carries On(『怪探偵張氏』)でスウェーデン人俳優ワーナー・オーランドを主役に起用した。この作品は人気を博し、フォックスはオーランド主演の続編を15本製作した。
オーランドの死後はアメリカ人シドニー・トーラーが後を継ぎ、初めはフォックスで、続いてモノグラム・スタジオで計22本のチャン映画を主演した
トーラーの死後もローランド・ウィンターズが主演する映画が6本作られた。そのほかラジオやテレビ、コミック・ストリップでもチャンは活躍した。