「俺には実際時間が無い。隠しやしないさ」
説明文
◆忍◆ ニンジャ名鑑#142【シルバーカラス】◆殺◆
対人兵器を貧民に対して使い人体実験する非道行為「サイバーツジギリ」のプロ。
企業がテストを依頼するどんな武器でも扱うが、
自身が信頼を置きここぞというときに用いる武器は、
何の変哲もないカタナ「ウバステ」である。
(ネオサイタマ電脳IRC空間「ニンジャ名鑑」より抜粋)
人物
登場エピソードは第1部「スワン・ソング・サング・バイ・ア・フェイデッド・クロウ」。
暗黒経済組織ソウカイヤと深い関わりを持つエージェント「笑い爺」を通して新型対人兵器の試作品テストを市井の人間に対して行う『サイバーツジギリ』を生業とする凄腕のニンジャ。
言葉の端々にニヒリズムを漂わせ、指定ノルマを厳守し目撃者も容赦なく始末するクールなプロフェッショナル。
しかし可能な限り女子供を標的とするのは避ける、相手に先手を取らせてから攻撃する、始末した相手には必ず念仏を唱えるなど良心の欠片も見せる。
サイバーツジギリ稼業だけでなくそれに従事する自身も道義に悖る存在だと考えている節があり、劇中では自身を「卑しいニンジャ」と称している他、彼視点の記述と思われる地の文でも「無慈悲な殺人鬼」と記述されている。
平時は「カギ・タナカ」の偽名(ただしアニメイシヨンでは本名であるように描かれた)を名乗り、ノナコという馴染みのマイコがいる。
ヘビースモーカーであり、既に生産が終了していた『少し明るい海』という銘柄の煙草を好んで吸っている。
不治の病(末期の肺がんと思われる)に侵されており、ヨロシサンの医者からも「ニンジャだろうとダメなモノはダメなのだと最近わかってきた」「オタッシャ重点」と宣告されている。
半年も無い残り僅かな余命をどう生きるかについて自問自答していたある日、ソウカイヤのニンジャに追われるヤモト・コキと出会い、気まぐれで彼女を助けてしまう。
ニンジャとして覚醒したばかりでカラテの心得すら持ち合わせていないヤモトを放っておけず、彼は「自分の最後のワガママ」と称して共同生活をしながら自らのカラテ『イアイドー』を彼女に伝授していくのだが・・・。
彼とヤモトの交流と別れを描いた『スワン・ソング~』は時系列には『ラスト・ガール・スタンディング』の直後のエピソードに当たる。
多くのヘッズの涙腺を爆発四散させた名作エピソードの一つであり、2012年5月に行われた第2回エピソード人気投票で2位に輝いた。
書籍版第2巻にも収録され、アニメイシヨンでも2話連続のエピソードとして放送された。
シルバーカラス自体は本編での登場よりも先に名鑑などでその存在を語られていたのだが、その語り口から当初はヤモトにウバステを奪われるだけのサンシタ・ニンジャと思われていた。
しかし本編に登場すると、あっという間にヘッズによる『抱かれたいニンジャ』のトップランカーに上り詰めた魅力的な人物である。
容姿
フードを被り前を締めると鈍色のニンジャ装束に変形、メンポ(面頬)が自動装着される特殊な上着を着ている。装束にはステルス機構も搭載されている模様。
また、ソウカイヤのニンジャと連携してミッションに当たる際にはクロスカタナのエンブレムを装着する。
ハードボイルドな雰囲気を漂わせたニヒルな容貌に描かれることが多い。
物理書籍版・アニメイシヨン版では、長めの黒髪に鋭い目つき、少しこけた頬、無精髭を生やした風貌で描かれている。
ジツ・カラテ等
サイバーツジギリに用いられる武器は試作品なために欠陥や故障が多く、いざというときのためにカタナ『ウバステ』を常に携行している。
ツジギリのターゲットに指定されるのは一般人だけでなく、武装ヤクザやニンジャが指定される場合もある。
ツジギリストの中でもシルバーカラスはそういった手合いを相手にしてリスクを一定以下のレベルに抑えて任務を遂行することができる稀有な存在であり、実際劇中では病に蝕まれた体ながら1エピソード中に5人ものニンジャと交戦、撃破していることから、相当なワザマエの高さが窺える。
イアイドー
シルバーカラスが使うカラテ。ニンジャとなる以前からタオシ・ワンツェイ=センセイの下で修行していた。ダークニンジャなどイアイの使い手とされるニンジャは数多く、特定の流派ではなく剣術全般を指す語のようである。「イアイドー即ちカタナ」とされるようにカタナを用いる剣術だが、基本はカラテであり、カギがヤモトに教えるときはまず基礎として、カワラ割りから教えていた。実際、カタナを用いるに止まらず、柄頭での突きや蹴り等も実戦で披露している。タオシ=センセイ曰く、その究極は使い手自身がカタナとなる事であるという。その教えはニンジャ化したばかりでカラテが使えずそれまでジツ頼りだったヤモトに伝授され、彼女の中で新たに生き続けることになる。
ちなみに一般に「居合道」と言えば、武道の抜刀術を現代武道化したものであり、抜刀術の根幹である鞘に納めた剣を抜き放つ勢いを利用して相手を斬る動作(抜き付けあるいは抜き打ちと呼ぶ)を重んじる。しかし、作中でのイアイドーは抜き身の刀を用いて戦うことも含むようである。現代武道の居合道は、座った状態で敵に相対する事を想定し、抜刀から立合、納刀までを含めた演武を基本とする武道でもある。そういった必ずしも抜刀術のみに主眼を置くものではなく抜いた後の戦闘も視野に入れるという意味では現実の居合に近いとも言える。
ウバステ
鞘にカタカナで「ウバステ」と刻まれただけの、何の変哲もない小振りのカタナ。
後にヤモトの手に渡り、彼女の愛刀であると同時にイアイドーと併せて彼女とシルバーカラスの絆の象徴となる。
ナイフ
懐に隠し持つ武器。ニンジャにすら致命打を与え得る刺突武器にも、クナイ・ダートめいた投擲武器にもなる。前者は「ダガーナイフ」、後者は「ナイフ」と表記されるが、同一のものか、用途に応じて使い分けているのかは不明。
関連人物
ヤモト・コキ
シルバーカラスが偶然出会い、救い、弟子にした少女ニンジャ。ニンジャでありながらカラテの心得がほとんどなかった彼女に、自身のカラテである『イアイドー』を教える。当初は彼自身、なぜそんなことをしているのか分からなかった様子だったが……。
ノナコ
シルバーカラスのお気に入りのマイコ。単なる客とマイコ以上の関係であった様子。
笑い爺
シルバーカラスへサイバーツジギリの依頼を持ってくる男。非常にサツバツとした関係にある。
タオシ・ワンツェイ
シルバーカラスがモータル(人間)であった頃のイアイドーの師匠。回想にしか登場しないが、このエピソードにおける重要人物。
関連タグ
シルバー・クロウ 同じ「銀色のカラス」の名を持つ男。黒髪で胸が平坦な少女と深い絆で結ばれている点でも似ている。