概要
日本語での正式表記は「トンガ王国」。現在の国王はトゥポウ6世。
首都はヌクアロファ。公用語はトンガ語。
太平洋の数少ない立憲君主制国家であり、列強による植民地化の波を耐え切った国でもある。
厳密な身分制度があり、国民は、王族、貴族、平民の3つの階級に分けられている。なお、法律はどの階級にも平等に適用される。
主要産業は、農業、漁業、観光。輸出品のほとんどはカボチャである。また、大幅な貿易赤字と失業に悩んでいる。
トンガ人は全体的に大柄で、日本に力士やラガーマンを輩出している他、前代国王のツポウ4世は世界で最も大きな国王としてギネス記録に登録されている。
オリンピックにおいてはテコンドー選手のピタ・タウファトファが開会式の入場時、上半身裸にココナッツオイルを塗ったテカテカ姿で入場し、世界的に注目を集めている。冬季オリンピックでもクロスカントリースキー選手として参加し、この姿で旗手を務めた。
タロイモ料理などが好まれ、かつ家族や友人のつながりを大事にする国民性から皆で集まって食事をするのを好む傾向にある。
しかし糖質や脂質が多い食事になりがちなためかなり肥満率が高く、国民の約67%がBMI30以上の肥満である。
当然糖尿病などの率も高く、先代国王の時代には国をあげてのダイエット企画が敢行されたこともあった。
近辺のオセアニアの島国同様、過去にスペイン風邪などの感染症で多くの犠牲を出し国の存亡の危機にさらされた苦い経験と医療体制が十分ではないことからパンデミック時の入国制限を厳しくしている。2020年以降のコロナ禍においては事実上の鎖国に近い体制を取っており、在外トンガ人の帰国に際しても厳しい隔離機関と制限を設けている。この理由としては上述の肥満率の高さからCOVID-19の侵入を許せばひとたまりもない(肥満は重症化確率を高める)という危機感が強くあるためである。
しかし後述の火山被害の際、援助に行ける多くの国はオミクロン株の蔓延中であったため支援に困難さが増している。そして、とうとうコロナの感染者が出たという報告があり、トンガは未曽有の危機に瀕している。
歴史
ラピタ文化
トンガは文字を持たない文化であったため、西暦1000年以前の詳しい事は分かっていない。
出土した土器などから、紀元前850年頃に訪れたラピタ人によってラピタ文化圏に入ったとされている。
帝国の形成と衰退
トンガは世界史でいうところの古代から中世にかけて全盛期を迎え(トンガ大首長国)、ポリネシアの大部分と、メラネシアとミクロネシアの一部を支配する巨大帝国となり、その範囲は300万平方キロメートルを超えた(エジプトの3倍以上の広さ)。
帝国は極めて強力な海軍力を持ち、その軍事力を背景に、太平洋全域をゆるやかに支配した。しかし、15世紀ごろから内戦が勃発する。折りしも西洋は大航海時代であり、内外に敵を抱える事となった帝国は急速に衰退し、周辺の島々は次々に列強の植民地となっていった。
その後トンガは長い内戦を経て、1845年にトンガ王国として統一を果たした。
近代には帝国主義国となり、隣国フィジーの一部を制圧して植民地とし、キリスト教を利用して支配力を強めようとした。
しかし、アメリカをはじめとする列強の干渉にさらされ、成果はわずかとなった。
独立から現在まで
1900年には友好的関係にあったイギリスの保護国となる。第二次世界大戦ではイギリス軍の一角(連合軍)として太平洋戦線に参入し、ソロモン諸島で日本軍と交戦した。
その後の1970年にイギリスから独立し、1999年に国際連合に加盟した。
現在、トンガはやや政情不安で、何度か暴動が発生している。
また、イギリスとアメリカの合弁会社が利益のためにトンガの一部を独立させて新たに国を作らせようと画策しており、トンガは独立させようとするグループとしのぎを削っている。
日本との関係
日本との関係は比較的に良好であり、貿易黒字のかなりの割合を対日貿易が占めている。また、トンガの王室と日本の皇室も親密な関係にある。
日本からの技術供与やODAの他、皇室とトンガ王室とは深い友好関係にあり、国王や王族等の要人が頻繁に来日している。 また国をあげて日本の大相撲にトンガ人力士を送り込んでい た時期もある。
3.11の際には、対GDP比で外国諸国の中で最高額の義援金を寄せてくれた。国家予算の半分近くを寄付に回したというのだから、驚きだ。
2022年津波被害
2022年1月にフンガトンガ・フンガハアパイ海底火山噴火で津波被害を被った。
日本にも正式に救助要請をしており、日本もそれに応じて100万ドルの資金援助を発表し、現地支援部隊として自衛隊を派遣した。
各国では義援金の受付が始まっており、日本でもトンガの大使館から受付口座が開設された。
詳しくはこちらのリンクを参照。
余談
- クック諸島に属する「ラロトンガ島」は、名前こそ似ているが法律上の関連性はあまりない。