概要
『ウィザーディング・ワールド(魔法ワールド)』の人物。魔女。
『ハリー・ポッターシリーズ』に登場。ハリー・ポッターとロン・ウィーズリーの親友。二人とは同学年で、同じくホグワーツ魔法魔術学校グリフィンドール寮に所属。
趣味・特技は勉強であり、学年トップの成績。
マグル出身(マグル生まれ)。蔑称で言うと穢れた血であり、魔法界のマイノリティである。
キャラクターの中でも特に人気が高く、映画『ハリー・ポッターと死の秘宝Part2』公開時の人気投票ではハリーを抑えて2位。
プロフィール
Name | Hermione Jean Granger → Hermione Jean Granger-Weasley
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誕生 | 1979年9月19日 |
血統 | マグル生まれ |
家族 |
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出身 | ホグワーツ魔法魔術学校 🔴グリフィンドール寮 |
在学中の地位など | |
組織 | |
最初の杖 |
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得意分野・特殊技能 |
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守護霊 | 🦦カワウソ |
苦手分野 | |
ボガート | 全科目落第を告げるマクゴナガル教授 |
映画版演者 | エマ・ワトソン |
映画版吹替 | 須藤祐実 |
舞台版演者 | ノーマ・ドゥメズウェニ |
舞台日本版演者 | |
ゲームEA版CV |
人物
勉強家で本の虫
魔法に対して多大な関心と熱意を抱き、マグルの家系に生まれながら学年一の秀才。
凄まじい本の虫で、原作では常に複数(ハリーが二十冊以上と言ったことも)の本を持ち歩き、映画でも本を抱えながら歩いている場面が多い。
また自己主張が強く、授業では絶対に手を挙げて先生の問いにすぐに答える。
O.W.Lでは占い学以外の全教科(ルーン語や数秘学などを含む)の単位を履修し、闇の魔術に対する防衛術以外で「優」を取った。防衛術のみ「良」。このようにハリーより決闘ではやや劣るが、多彩な魔法の知識と知恵を持ち、数々の冒険や戦いに貢献している。
苦手なのは箒による飛行で、占い学を嫌悪している。つまり体を動かすことや非論理的なものに弱い。
また、3巻でボガートを見た時は「全科目落第を告げるミネルバ・マクゴナガル」の姿を見ており、自分の努力が報われないことや、尊敬する先生の期待に応えられないという「失敗への恐怖」も強い。
友人想いで情熱的
このように英知を重んじるレイブンクローの素質が強く、組み分け帽子が彼女を組み分ける際に、所属寮をグリフィンドールとレイブンクローのどちらにするかで悩んでいる。
結局ハーマイオニーはグリフィンドール生になった。グリフィンドールらしく、時にはその正義感から暴走、ルールを無視する行動力があり、その気になるとハリーとロンですら気が引けるような危険行為にも手を染める。「教師のコートに放火」とか。
また社会問題に関心が強く、屋敷しもべ妖精解放運動を行った。ただし空回りを通り越してしもべ妖精への嫌がらせになっており、作者は「彼女は救うべき相手を間違えている」と語っている。
ダンブルドア軍団を企画したのも彼女である。
純粋に知識を得るのも好きなのだろうが、それを使って点数を得ることや、友人や世の中のために問題を解決していくことにやりがいを見出すタイプなのだと思われる。
(このあたりは同じグリフィンドール生のパーシー・ウィーズリーと似ている。)
人間関係
親友は同寮のハリーとロン。後に後輩のジニー・ウィーズリーやルーナ・ラブグッドとも交友関係を築く。
ミネルバ・マクゴナガルのことをホグワーツ教授陣の中でも特に尊敬しており、マクゴナガルもまたハーマイオニーのことを特別勤勉で優秀なグリフィンドール生と評価している。
スリザリンのパンジー・パーキンソンとは犬猿の仲であり、お互いにさんざん罵りあっている。
入学当初は自己主張の強さときつめの性格のせいでハリー、ロンからは快く思われておらず、ロンは陰口を叩いて泣かせたこともある。しかし一巻で窮地を共にしたことで二人と親友になる。ロンとはよく夫婦漫才じみたジョークの応酬をしており、次第に恋仲に発展した。
ちなみにハリーにとっては「ハーマイオニーは姉のような存在」とのこと。
容姿
原作
髪も瞳も「brown」、つまり茶色。しかし日本語版ではなぜか「栗色」と訳された。
前歯が少し大きかったが、ある事件の際、歯の治療ついでに校癒ポピー・ポンフリーに短くしてもらった。
髪は強い癖毛で、ボサボサのモサモサ(bushy)。
作中で明確に美人と形容されることはない。一方で、敵であるパンジー・パーキンソン以外から不美人と形容されることもない。
映画版
エマ・ワトソンが演じる。年を経るにつれ目覚ましい美女に成長したことで強烈な存在感を残した。そのため、世間では「ハーマイオニーと言えば白人の美少女」というイメージがある。またエマはかなりお洒落な少女であり、1、2作目のヘアスタイルが原作準拠のボサボサ髪だったのに対し、3作目あたりから艶やかなウェーブになったのは彼女の提案とのこと。
しかし少なくとも原作者は、「ハーマイオニーにエマ・ワトソンほどの美貌はない」としている。以下はインタビューの抜粋。
Not that Hermione in the books is ever "ugly", but it was quite a big deal for me that I had written a strong female character who was primarily about the brain, and that she chose to become a little more groomed and glamorous, as we geeks do at a certain point in our lives. But I accepted it. Emma's a great actress and I loved her as a person. And I felt that there were so many connections between her and Hermione that, did it matter that she was beautiful? Come on. |
本のハーマイオニーが“ブサイク”だと言いたいわけじゃないの、でも私にとっては、頭脳が重要な女性キャラクターを書くこと、そして彼女が、私たちギークが人生のある時期にするように少し身だしなみを整えて華やかになることを選んだのだということは重要なことだったの。でも、私はそれ(すでに美人なエマ・ワトソンが少し着飾ったくらいではインパクトが薄いことを)を受け入れた。エマは素晴らしい女優だし、1人の人間としてとても好きだったから。それに、彼女が美人でも、私は彼女とハーマイオニーにはたくさんのつながりがあると感じたわ。 |
Daniel: Do you think that, in a way, we shot ourselves in the foot with things like that? Emma's reveal in the fourth film, where she comes down the stairs and there is supposed to have been this transformation... |
こう思ったことはある? あれ(すでに美人なエマを、さもドレスアップしたことによって初めて美人になりました、という演出をしたこと)で墓穴を掘ったんじゃないかって。4作目でエマが階段を下りてくるシーン、あれは変身を遂げたハーマイオニーってはずだったんだけど…… |
JK: Well, exactly. |
ええ、そうね |
Daniel: Because we're all looking and going "well she's already a beautiful girl." |
ぼくたちは「まあ、彼女はすでにきれいな女の子だったんだけど」って感じだったからさ |
JK: Yeah, big deal. Now she's a beautiful girl in a beautiful dress. |
ええ、本当にね。あのときの彼女は、その前から綺麗だった女の子が、ただ綺麗なドレスを着てるだけだったのよね |
つまりは野暮ったいと思われていた女の子が晴れの舞台に際して見違えるような変身を見せることで、ハーマイオニーの女性としての魅力が開花する演出になる筈が、エマの美しさが常態化していたため、大したインパクトにならなかったという残念さがあったのだろう。
原作では一応出っ歯にコンプレックスを抱くなど容姿に完全に無頓着というわけではなく、正式な場(ユールボール)では直毛剤を使って髪を結い上げ、男性陣の目が釘付けになるほど見違えた姿を見せる。ただし凄まじい手間(描写からすると三時間程度)がかかるらしく、普段は髪の手入れをさっぱり諦めている。
この場面では、容姿についても言及されるものの、どちらかと言えば「髪が整っていること」について驚きのこもった筆致で描かれている。
このようにハーマイオニーの容姿についてはっきりとした描写がないため、ファンの間でも意見が分かれているが、原作での描写や原作者の口振りからするに、「いつもは野暮ったく見えるが整えさえすれば相応になる」ということなのだろう。美人かどうかというより単に身だしなみの問題が強いのではないかと思われる。
舞台版
世界初公演となるロンドン版では南アフリカ系イギリス人のノーマ・ドゥメズウェニ女史が彼女を演じた。映画版との違いが大きいために否定的な意見もあがったが、原作では人種についての記述はないことに注意。たとえばアンジェリーナ・ジョンソンが「黒人の女の子」と明確に書かれているように、たしかにハーマイオニーが「白人の女の子」と書かれたことはない。(原作にはインド系や中国系、アフリカ系など多様なルーツを持つイギリスの魔法族が登場するが、それがわかるように地の文で説明されることが常で、白人はいわばデフォルト化された属性となっている。)
bushyという彼女の髪を形容する言葉は、訳文の「ふさふさ」から想起されるよりもっとカーリーでボリューミーな意味があり、黒人女性の髪に言及するときに用いられることもしばしば。
ただし原作では「日焼け」したり「痣をつくってパンダのような顔」になったり、「白い顔」だったり、原作者直筆の挿し絵においてどう見ても肌の色が白かったりという描写がある上に、原作者(フランス×スコットランド系白人)がモデルとなっていることも考えると、白人とは断定できないのと同程度には黒人とは断定できない……と言える。
キャスト問題が起きたのは、10年もの長きに亘る映画シリーズを観続け、すっかりハーマイオニー=ワトソンのイメージが定着していたファンが、180度印象が違う人物が出てきたことで、キャラが崩壊してしまう事態に直面したことが原因と思われる。
ちなみに日本版では他キャストと同様日本人が演じた。
ドラマ版
制作が予定されているドラマ版ではキャストは未決定。原作的なのか、ワトソン的なのか、ドゥメズウェニ的なのか、はたまた再び新たなハーマイオニー・グレンジャー像が打ち立てられるのか。今後の情報に期待。
ファンアート
ファンアートは、映画版初期のエマ・ワトソンを意識した、クール系のロングヘアの美少女として描かれることが多い。
能力
読んだことのある本に書かれた内容ならば、どんな質問にも即答できるほど抜群の記憶力を持つ。知らない物事や理論については本で確認するのが常。二年生の時点で完全ではないものの調合にかなり技量を必要とするポリジュース薬を精製するなど飛び抜けている。
しかし一度手にした知識を柔軟に修正するのは苦手な様子(薪が無いわ!など)。6巻では魔法薬を教科書通りに作ったにもかかわらず、ハリーが教科書に従わない方法(彼がその時借りていた教科書の使用者の書き込み)で作成した魔法薬よりも出来が悪かったことにプライドが傷ついていた。
しかし咄嗟の判断力や応用力にもある程度優れているのは確かであり、彼女の知恵で解決した疑問や課題も少なくない。双子が作ったジョークグッズに用いられた魔法の精密さに感心し、必要とあらば死喰い人達の技術すら取り入れるなど応用力も高い。
「長期休暇においてマグルの彼女は純血などの魔法族出身の生徒と違って魔法の練習ができない」という事実を考えても、やはりずば抜けた才能を持つと言える。
優れた頭脳の持ち主ではあるが、箒による飛行訓練やクィディッチなど、身体を動かすことは不得手。
ただし映画版ではドラコ・マルフォイの顔面に腰の入ったストレートを決めたり、ハリーを片手でひっつかんでぶん投げたり、下手をすると男性陣より肉体派な面も。見映えの問題だろう。
ちなみにチェスの腕前もロンに及ばない。
名前
ファーストネームの「ハーマイオニー」 は、ギリシア神話の登場人物「ヘルミオネー」の英語読みである。
ウィリアム・シェイクスピアの『冬物語』や、アガサ・クリスティの『オリエント急行の殺人』にも同名の女性が登場する。ただし、後者はミドルネーム。
この名前は発音がやや難しく、作中ではビクトール・クラムが「ハーム・オウン・ニニー」とごまかして呼んでいる。日本語訳では作者の承認のもとに「ハーマイオニー」という表現を採用している。ハーマイオニー自身は、英語の発音が苦手な人に対しては自分のことを「ハーミー(Hermie)」と呼ばせていた。
ファミリーネームの「グレンジャー」は、アメリカ合衆国で起きた労働運動「グレンジャー運動」に由来しており、先述した屋敷しもべ妖精関連の活動もこれにちなんだもの。
19年後
本編終了後はハリーとロンとは異なりホグワーツに戻り、ジニーとルーナと共に学生生活を送った。一年留年したという形になる。
卒業後は魔法省生物規制管理部でハウスエルフに関わる仕事を行う。その後は法執行部へとキャリアを進め、数々の純血優遇の法制度を改革した。
またロン・ウィーズリーと無事結婚を果たす。
家事や子育ては闇祓いを引退してウィーズリー・ウィザード・ウィーズの経営をしているロンの方が関わっているらしい。
19年後、『ハリー・ポッターと呪いの子』では魔法大臣に就任した。
余談・裏話
歯科医の娘
両親は歯科医。『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』ではダドリー・ダーズリーのダイエットに巻き込まれそうになったハリーに砂糖なしスナックが一杯詰まった支援物資が送られてきている。
ウィーゼル
守護霊はカワウソでありこれは映画版でも確認できる。ハーマイオニーの守護霊がカワウソである理由については、作者ローリングの好きな動物でありハーマイオニーに若き日の自分を重ねているというメタ的な理由と、ハーマイオニーと相思相愛となるロンの苗字Weasleyをもじるとカワウソを含むイタチ科の動物を指すweasel(作品内ではしばしばコソコソしている者、卑怯者という悪口として使用される。ちなみにイタチもローリングの好きな動物である)という単語になるためである。
関連イラスト
関連タグ
猫耳(秘密の部屋でのハプニングにより猫耳イラストが多い)→ニャーマイオニー
魔法大臣
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