「法と犯罪の問題だと言っているんです!! あれだけの数を殺している人間に俺たち警察官が屈したら、正義なんかどこにも無いことになるじゃないですか!!!」
(Season18 第15話)
演:反町隆史
ちょっと右京さん、ここは俺の概要ですよ?
Season14初回から登場した、法務省から警視庁へ出向してきたキャリア官僚(法務省刑事局総務課企画調査室室長)。Season20時点で、初代相棒の亀山薫を抜き、最も右京と長くコンビを組んだ相棒となったが、次のSeason21で記録が更新され再び亀山に抜かれている。
兼ねてより現場の仕事に興味を持っており、人事交流と言う名目で警視庁に出向してきたが、警視庁内での出向組は”客人扱い”であり、特にやる事もない冠城は、半年に渡り、主のいない”旧・特命係”にて暇を持て余す日々を送っていた。
そんなある日、関東地方のとある刑務所で受刑者が刑務官を刺殺するという事件が発生。
たまたま帰国していた右京と共に事件の捜査を行い、これを解決に導く。
しかし、法務事務次官の日下部は彼が右京と共に仕事をすることを良く思っておらず、彼に「法務省に戻るか、辞表を出して警視庁に行くか」のどちらかを迫り、猶予期間という名目で彼を泳がせることにする。
かくして、冠城は特命係の一員となり、右京と共に様々な事件の捜査を行っていくことになったのだった。
特命係の人間と言う意識からか、ある時期を境に自ら名札を作ったが、右京にこと細かく手直しされ、その名札を掛けるようになる。
登場当初は、掴み所がなく飄々とした性格の二枚目半といったキャラクターで、英語交じりのおどけた口調や芝居がかった仕草を絶やさず、知り合って数日の段階で、右京さんのことを「ミスター・デンジャラス」と呼ぼうとしたり、それを却下された直後に「右京さん」と呼び始めたりするなど、周囲に対してかなりフランクに(悪く言えば非常に馴れ馴れしく)接していたが、シリーズを重ねるごとに飄々とした口ぶりは鳴りを潜め、今ではクールで力強いキャラと化した(それでも現在でも茶目っ気のある一面を見せることはかなり多く、二枚目半な部分が完全になくなったわけでもなかったりする)。
その反面、ややヘタレな部分もあり、愛車のスカイラインセダンを移動手段にしているが、他人の運転する車に乗るのは苦手らしく、右京の愛車、フィガロに乗車した際、挙動不審のまま現場に向かう場面もあった。
また、ホラー映画や幽霊がめっぽう苦手なようで、ホラーの話題が出るとあまりに分かりやすく怖がるため右京からはよくからかわれている。
しかし、目の前で女性が危険に晒された時は自分への危険を顧みず立ち向かうなど、いざと言う時は勇敢な一面を見せている。
プライベートでは少々遊び人気質で軽薄な側面を見せ、特に月本幸子に気があるようで、度々アプローチを繰り返しているが相手にされておらず、それどころか「バカ!」と金髪の美女からビンタを食らってしまった辺り、右京や伊丹と同様女性の扱い方はあまり上手くない模様。実際、惹かれている相手がいるのに別の女性に平気でナンパするタイプである。
しかし、最終的に女性の幸せを優先するタイプのため、自分以外の誰かに惹かれた場合は素直に身を引く潔さも併せ持っている。また、一時期事件に巻き込まれたとある女性に思いを寄せていたこともあったが、その女性が自分に絡んだ別の事件に巻き込まれて誘拐・監禁されるという事件が発生してしまったため、これ以上その女性を危険に晒すことになるのを避けるために自ら関係を断っている。
また、陣川公平等、不器用だが誠実なお人好しの男性に対しては面倒見が良い一面を持っており、そう言った彼等の純情を踏み躙る事件での捜査には普段の軽薄さがなりを潜めて真剣さが増す。
コーヒーに造詣が深く、その香りで飲んだ場所が記憶されると言う特殊な記憶能力を持つが、
その能力が発揮されたのは結局1度きりであった(つまりご都合主義)。
大河内春樹のピルケースの中身から微かに香った匂いから、いつも食べているのはラムネだと即座に暴いてしまうなど、嗅覚も非常に優れている。
腕っぷしも強く(元々喧嘩が強かったのか、警察学校時代に改めて鍛え直したのかは不明)、複数の悪党と取っ組み合いになっても左程苦戦もせずに制圧してしまうことが殆ど。ある事件では暴力団の幹部から直々に「なかなかやる」と太鼓判を押されている(付け加えると、この人物はこの直後に敵わないと悟ったのか素直に警察に投降し、逮捕されている)。一方で、右京と同様不意打ちには弱いようで、それが原因で相手に捕まったり病院送りにされてしまったことも何度かある。
元々警察官ではなかった冠城だが、頭脳明晰で、相手を巧みに説き伏せて情報を聞き出すことに長けるなど、策士的な一面を持ち、捜査能力自体は決して低くはない。また、職業柄、法律に詳しく、初期のころはその知識が事件の解決につながる事も多かった。
さらに、元キャリア組であっただけのことはあり、法曹界に知り合いが大勢おり、お偉いさんにも或る程度顔が利くため、そうしたコネを使って事件捜査を有利に進めることもよくある。初期は法務事務次官である日下部の存在を後ろ盾に無茶な要求をするということもあった。
こうした行動の背景には「真実を知ることが最優先」と言う、右京と通じる考えがある。
その為ならば、自分の権力もコネも、使える物は何でも利用するなど手段を選ばない。右京に対しても「貴方を利用して真相に辿り着く事が目的」と言い切った事まである。
但し、後述の青木年男に対し、彼の持つ証拠を提出させるために、青木の素性をヤクザの組長に伝えて威圧させる、という治安維持組織にはあるまじき許されない行為を行ったこともあった(元々、事件被害者がその組長の隠し子であった)。
確かに青木は嫌な奴ではあり、近年は暴対法も厳しく角田を間に入れたとは言え、何の後ろ盾もない一般人を理不尽な暴力・恐喝を生業とする組織の的にするこてのは絶対にあってはならない(もちろん、青木以外の人物に行っていないとはいえ、嫌な奴だからといって当然やっていいことにはならない。たまたま被害者遺族が反社会勢力であっただけであることを差し引いても、そもそもヤクザであることをわざわざ伝える必然性がない以上は「警察がヤクザを使って脅迫してきた」とみなされてもおかしくない。一歩間違えれば暴力団対策法や暴力団排除条例などの法令に抵触する行為であり、青木が仮に「警察がヤクザを使って脅迫してきた」などと騒いだら一発でアウトである)。これは、受け止め方によっては「目的を達成するためなら暴力や脅迫も辞さない」ともとれ、ある意味では右京以上に極端かつ危険な思想であると言える(実際、右京もこの件を知らされた際には珍しく激怒しており、事件解決後に冠城を部屋に残して相当長い時間説教している)。
警察学校では教官から「常におどけた仕草や軽口をたたく傾向がある」「目的のためなら奔放で大胆な行動をとりがちで危なっかしい」と前置きしつつ、「ただし彼には矜持がある」「キャリア官僚の立場を捨ててまで刑事になろうとした強さ、それは正義を貫く強さだ」と評価されている。
人間関係
上記のような突拍子もない行動・言動が目立ったためか、右京は冠城に対して一定の信頼は置きつつもどこか警戒しているようなところがあり、当初は周囲にも「『相棒』でも『友人』でもない、単なる『同居人』」と説明しており、復帰後も「お客様」扱いされているが、冠城自身はあまり嫌がっていないどころか寧ろそれを楽しんでいた。
その一方、「自分の元相棒をも逮捕した男」として冠城自身も右京のことを警戒している素振りもあった。
大河内監察官からも「一見飄々としているが何を考えているのかわからない恐ろしい男」と評されている。
右京の紹介で花の里に訪れた際、女将である月本幸子に「可愛い」と一目惚れするが、全く相手にされていない(むしろウザがられている)。彼女に前科の過去があると聞いた際は引いてしまった事もあるが、すぐに態度は元に戻った。
鑑識課の米沢守とは、初対面時のある出来事がきっかけで険悪な関係になってしまっており、その後もギクシャクとした関係が続いた。
その後、米沢は警察学校の教官となり、冠城に鑑識のイロハを教えることとなった。
元上司の日下部は、法務省時代はもちろん、冠城が不祥事により退官処分となった際にも天下り先を用意したりと、何かと彼のことを気にかけていたが、Season15のとある事件にて、特命係が自らの教え子の1人であった女性検察官を辞職に追いやったことに激怒、冠城に対しても「これからは身の回りに気を付けることだな」と脅迫めいた恨み節を述べるなど、とうとう一触即発の関係になってしまう。
法務省から退官する原因の1つとなった青木年男とは、警察学校に同期入学したことから、今でも交流がある。彼が特命係を陥れるネタを掴むために頻繁に接触してくるため、それを逆に利用して良いようにこき使っている。
明らかになにかを企んでいるのが丸わかりな彼にはしばらく警戒心を抱いていたものの、同期としてそれなりに思い入れはあるようで遠慮が一切なく、何かにつけて頭や顔を優しく撫でつけるなどのスキンシップをしては青木に嫌がられている(これは反町隆史氏の『冠城なりの愛情表現』を表すためのアドリブとの事で、一度やったらスタッフのウケが良かったらしく、期待に応えて頻繁に行うようになったらしい)。
右京の2代前の相棒である警察庁の神戸尊ともとある事件をきっかけに顔見知りの間柄となっている。右京の先代の相棒であった甲斐享のことも上記のように「右京に逮捕された前任の相棒」として面識こそないものの存在だけなら認知している模様。
異色の相棒誕生
初代・亀山薫、二代目・神戸尊、三代目・甲斐享は、当然ながら全員警察官。
しかし、ドラマ誕生から15年目にして警察官ではない経歴を持つ人物が、右京と共に事件を解決していく事となる。
ちなみに、冠城より前にも、法務省からは姉川聖子という女性職員が人事交流のために特命係に一時的に出向していたことがあったが、右京のことを全く知らなかったことや、彼女が一職員という立場であったのに対し、冠城はキャリア官僚という結構なお偉いさんであることから、恐らく面識はなかったと思われる(ただし、Season9 最終話の赤いカナリア絡みの事件で、片山雛子の召集したチームで捜査を行っていたことがあり、同じく捜査を行っていた右京と間接的にではあるが関わっていたことが後に判明している)。
キャリア官僚から警察官へ ※S.14-最終話のネタバレ注意!
S.14の最終話にて、警察嫌いの人間、青木年男が唯一の目撃者となった事件(第15話「警察嫌い」)で、裁判所の令状発行を阻止する「捜査妨害」を行なっていた事が警察上層部に知られてしまい、法務省への帰任及び北海道への地方転勤を命じられる可能性が高かった事から、その後に発生した警察学校内での訓練生による射殺事件と、それを端緒とする閣僚を標的としたテロ事件を、「これが特命係での自分のラストケース(最後の事件)になる」と覚悟していた。
解決後、日下部から提示された天下りの斡旋先の1つに、手書きで書かれた“警視庁”の字が…。
なんと亘は退官と言う形で、法務省から去り、警察官として警察学校に入学し、警察官として一から再スタートする事となったのだった。
S.15初回では巡査スタートとなり、社美彌子が課長を務める「総務部広報課」に属していたが、ある事件を解決した後に彼女と交渉し、脅迫めいた説得で異動を承認させ、再び特命係に戻ってきた。
順当に歩んでいたキャリア官僚の出世コースから完全に脱落する形となってしまった彼だが、今に至るまでそのことを後悔しているような素振りは微塵もなく、寧ろ長年興味を持っていた現場の仕事が自由にできるようになった現在の状況を寧ろ楽しんでいる節もあった。
元々出世よりも自分の興味・関心を優先させるタイプだったのかもしれない。
コラボCM
2019年12月18日に放送されたSeason18第10話からは、冠城と日産自動車とのコラボCM(劇中を模しているという意味では「インフォマーシャル」と表現しても差し支えない)が放送されていた(最終話は後述する「特別編」として放送されたため、30秒バージョンとしての放送は実質的には第19話までとなった)。
内容は(書き置きをした芹沢に頼まれて)証拠品を急ぎ届けることになった冠城が、世界初の先進運転支援技術プロパイロット2.0を搭載した新型スカイライン(劇中で冠城が主に乗っているスカイラインはボディカラーがHAGANEブルーの仕様なのだが、ここでは新規追加色であるカーマインレッドに乗っている)に乗り込み、その先進技術に驚嘆するというもので、モブとして警視庁パトカー仕様の初代フーガも登場している。
初回の地上波でのオンエア後にYouTube上にも公式にアップロードされていたが、掲載元は何故か日産自動車のチャンネルではなく、テレビ朝日のチャンネルという形であった。
その後、2020年3月18日に放送されたSeason18の最終話スペシャルでは「一夜限りの特別編」と銘打ち同コラボCMの60秒版が放送された。主な追加シーンは「芹沢の書き置きの隣に証拠品を届ける宛先が書かれた紙が添付されている」「時系列上の時刻表示が細かく追加」「途中で高速道路の立体交差を通過する」「ハンズフリーで青木に通話する」となっており(この事から、当初は視聴者の間で「冠城が夜6時前までにケリをつけてガールフレンドか誰かに会いに行った」との仮説が立てられていたが「実は相手は青木だったのではないか」という異説も流布する事になった)、終盤のシーンではラストのアングル(冠城とスカイラインのツーショットの角度)が若干異なっている。
こちらも前回同様、YouTubeのテレビ朝日のチャンネルに期間限定でアップロードされている。
なお、冠城の「ラストケース」となった2022年3月23日のSeason20最終回では一夜限りで30秒バージョンがリバイバル放映された。
余談
反町は「僕が演じさせて頂く冠城亘は、真実を突き止めることへ執着のあるキャラクターで、あらゆる手段を使い、事件を解明に導こうとします」と役柄を説明している。
さらに、「右京さんとの掛け合いやコンビネーションがどのような化学反応を起こすのか。冠城の“相棒”っぷりにも注目して欲しいです」と意気込みを語った。
1話放送後、「冠城、カッコよすぎ!反町さんがホントにいい役者になっていて驚き。
引き込まれる演技が素晴らしい」、「期待以上で度肝抜かれた」、
「反町さんの相棒、かなりいいかも。長い台詞も右京さんとの掛け合いもしっくりきました」
と「反町」がネット上のリアルタイム検索ワードで1位になるなど、絶賛の声が相次いだ。
歴代相棒の中で亀山以来、右京の事を「杉下さん」ではなく、「右京さん」と自ら志願して呼び始めた人物であり、歴代相棒の中で最大身長(と言っても亀山と1cm差)だと言う。
前相棒の卒業エピソードが最も最悪な形だっただけに、ネット上では登場して間もない頃から冠城の卒業エピソードについてファンの間で予想合戦が起きた。特に、亀山を除く2人の相棒が3シリーズで交代していることから冠城シリーズ3作目となる2017年度放送のシーズン16では「冠城の最後」が注目されていた。しかし、大方の予想に反して彼は特命係を去らず、それどころかメンバーが1人増えるという前代未聞の結果に。
上記の結果、冠城は2018年度に新シリーズが開始された時点で、亀山に次ぐ特命係在籍期間の最長記録保持者となり、2021年11月24日放送のSeason20第8話をもって「歴代最多125回」という出演本数に到達、その後も記録を更新し続け最終的には「歴代最多135回」にまで記録を伸ばした。
ちなみに、在籍期間が亀山を追い抜いた時には「亀山君は7期くらいは出てたはずだよね?」などといまいちしっくり来ない視聴者もいたが、これは「Season1が1クール3ヶ月間のみの放送(Season2以降は現在の2クール制が定着)」であったことに加え「Season7も前半のみの登場だった」ために、この2つを勘案しても「正味2クール程度の期間」にしかならないため(Season1とSeason7の出番を足すと21話程度という「近年のシリーズの放送話数と同等の長さ」になり、亀山は都合「6期出演」となる)、Season20第8話の時点で(Season14からSeason20にかけて記録を更新し続けている)冠城を追い抜けなくなるためである。
…このため、登場した当初とはまた別の意味で、「彼がどういった経緯で特命係を去ることになるのか」といったことがひそかに注目され始めていたりする。
そして、2021年11月に「2022年3月のSeason20最終回をもって、番組を卒業する」事が明らかにされた。
反町に関しては「2023年までの出演予定」とする報道もあった一方で、夫人である松嶋菜々子氏との「片方が仕事に専念する際は、もう片方が育児に専念する」という「反町家の掟」なる物があるという報道もあったため、その絡みで「彼女がまたぼちぼち露出し始めたから、そろそろ『卒業』も近いのでは?」と勘繰る視聴者達も少なからずいた(松嶋に関しては現時点では本編でのゲスト出演こそ無いものの、実は水谷の合間を縫って「番組スポンサーである大正製薬のCMにも出演している」という間接的な接点は存在する)。
今までの相棒が、辞職、異動、免職とそれぞれ違った理由で相棒を辞めているので、三つに当てはまらない殉職があるのではないかと噂されている。無論、天下りの可能性もある。
反町氏がGTOの初代ドラマ版において鬼塚英吉を演じた事は周知の通りだが、この事を踏まえて一部のファン達からは「グレートな特命係のお客様」と茶化される事がある。
また、接点のある右京、社も「別作品で教師の主人公を演じた」という共通点がある(水谷氏が熱中時代の北野広大、仲間氏がごくせんのヤンクミこと山口久美子)。
そして、卒業へ…。※S-20最終話のネタバレ注意
最終話放送前の直近エピソードで、「まだ発生していない事件」について調べていた特命係はある事件関係者に辿り着くも、そこで冠城が別の事件関係者にナイフで胸を刺されるというアクシデントが発生、胸ポケットに忍ばせていた厚手の詩集によって軽傷で済み、何とか「殉職」は免れた。
その後、以前鑓鞍兵衛(やりくらひょうえ)を狙い失敗に終わるも再び彼を狙おうとする男・京匡平(かなどめきょうへい)が投稿した告発動画によって、王隠堂(おういんどう)家を監視していた伊丹ら捜査一課の行動が問題となる。
その一方、ある怪文書で“パパ活”疑惑をかけられた冠城は、裏を悟った右京の追及で観念し、騒動の収拾に動き出す。
そんな中、京と王隠堂鷹春が鑓鞍の襲撃を目論んでいることを案じた右京は捜査一課を巻き込み、王隠堂家に接近する。
その矢先、右京が危機的状況に見舞われる。
一連の事件が解決した後、日下部からのスカウトもあり、冠城は公安調査庁に「異動」する形で自ら特命係を去る決意をした。
さらには時を同じくして、特命係に一時期在籍していた青木年男の内閣情報調査室への異動も明らかになった。
鑓鞍が目の敵にする公調に冠城を置く事で、彼が鑓鞍から手を出されにくくなるうえ、彼自身も公調に身を置くことで何かと狙われかねない社親子を守りやすくなる、というのがその目的。
また、青木を内調に行かせることで、社が変な気を起こさないように逐一情報を仕入れられる、との思惑もあった。
別れ際、右京からは「僕は『来る者拒まず、去る者追わず』なスタンスである」と前置きした上で「辞めないでほしい」と歴代の相棒達には決して言わなかった激励の言葉を述べるも、
冠城は「最高のはなむけの言葉ですよ」とそれを拒否する。
最後はかつてのトレンディドラマのようにお互い振り向かずに別れていった。
そして、こてまりで一人晩酌をしていた右京の背中はどこか寂しげであった…。
ちなみに余談だが、公安と警視庁は地理的にはかなり近いため会おうと思えばすぐに合える距離である。
にもかかわらず冠城を引き止めようとした右京の心中がいかなるものだったかは、もはや語るまでもないだろう。