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「俺はお前たちと同じ怪人だ…。同じ怒りを感じている怪人だ!!黙っていれば差別は続き徹底的に叩き潰される。だからお前達はもっと怒って良い!!ここは『人間だけの世界』では無い、『俺達の世界』でもある…だったら闘うしか無いだろ…!!」


「本能のままに殺し合いをしたがってるのは人間の方だ!!」


「俺は怪人がありのままの姿で生きていける世界を創る。それは即ち、怪人が人間と仲良く『共存』する世界などではない。怪人が人間の『上位』として生きる世界だ!!」


演:中村倫也


概要

仮面ライダーBLACKSUN』の登場人物。原典である『仮面ライダーBLACK』の秋月信彦にあたる人物。

現代での年齢は70歳


幼い頃、南光太郎と共にキングストーンの片割れを埋め込まれ、銀殿様飛蝗怪人にされた男。

南光太郎と同じく怪人に変身する際は腰に変身ベルトが出現し、包み込まれるように変身する。


かつては『護流五無』の一員だったが50年前に護流五無内部で起きた争いに負け、以降は鎖で繋がれて檻の中に幽閉されていた。幽閉されている間も怪人の身体能力を活性化させる特殊なゼリー「ヒートヘブン」を与えられており、老化しておらず50年経っても若々しい姿のままである。


幽閉されていた時は上半身裸で髪もヒゲも伸び放題だったが、脱走後は髪を短くしてヒゲを剃り、格好も茶色のアウターとワインレッドのシャツ、黒のボトムスと原典と同じく白の指ぬきグローブが基本となる。全身黒ずくめの光太郎とは対照的に人間味のある格好である。


劇中での活躍


南光太郎が和泉葵の持つキングストーンに触れた事をきっかけに脱走し、その後は賛同者を募って怪人たちの理想の世界を創ると同時に創世王を殺して怪人の歴史を終わらせる為に画策。そして再会したかつての友人・南光太郎と対立するが、共同戦線を結び護流五無に突撃する。


しかし怪人誕生の真実を知り、自身に賛同してくれた怪人が人間達により無惨に殺されたことで人間への怒りと憎しみが爆発し一線を超えてしまう…。











無題

怪人の真実を知ったことに加えて、「人間と怪人の共存の証」である俊介すら無残に殺された姿を見たことでの人間への怒りと憎しみが頂点に達し、怪人差別派の井垣を街頭演説中に襲撃。怪人相手にもかかわらずその迫力からか、はたまた単に我が身可愛さからか今までの強気な態度とは打って変わって弱々しく命乞いをするものの当然許す訳もなく、大勢の観衆の前で頭部を粉砕し、殺害する。

そして人間への憎悪の感情の昂りから遂に完全体シャドームーンに覚醒した。



その後は単身ゴルゴム党に乗り込み、三神官達に創世王を消滅させようとした叛逆者として捕らえられる。ダロムは、ゴルゴムのこれからについて部下を集め、堂波総理の下、創世王の王位を継承する事を誓う。キングストーンを手にし、怪人の益々の繁栄を望む為に。

しかし、ビルゲニアは「怪人の繁栄を人間に託して本当に大丈夫なのか!?」と疑問を呈する。

同時に「人間の下につくのは勝手だが、創世王を護ったのは人間では無く創世王自身の強さだ!」と主張する。一方のダロムはシャドームーンを手に入れ、ブラックサンも瀕死の状態である現状で荒立てる必要は無いと落ち着かせようとするも、ビルゲニアは納得が行かず部下達にそれで良いのかと問う。

しかし、堂波の犬と成り果てた彼に賛同する声は無く、溝は深まるばかりだった。が、


「…それを決めるのはダロムじゃ無い…お前達自身だ…」


「仲間だった奴らが売り飛ばされ、見せ物にされ、ここに届くヘブンはそれっぽっち。お前達本当にこれで良いのか?」


信彦は堂波達人間が自分達怪人に行ってきた真実を認め続ける彼等に問い掛ける。ダロムは「多少の不遇、犠牲は認めるも、我々は人間との『バランス』をとってここまでやって来た。今更、叛逆者のお前が何を出しゃばった真似を」と反論するも、信彦はそれに対して「『多少』の不遇!犠牲!これまで怪人が受けて来た屈辱を、お前はそう捉えているのか?」と呆れた様子で逆に問う。それを聞き黙り込むダロムの様子に、部下達は騒然とした空気に包まれる。

痛いところを突かれたダロムは信彦に怪人の『生きる道』を示せるのかと問い、党員達にも人間に擦り寄って、甘い汁を吸って来たことを指摘する。

信彦はそれにも「それはいつか訪れる自由を信じていたからだ」と話すと自分を縛っていた手錠を念動力で破ると『自由』の身となり立ち上がる。


「俺は怪人がありのままの姿で生きていける世界を創る。それは即ち、怪人が人間と仲良く『共存』する世界などではない。怪人が人間の『上位』として生きる世界だ!!」


自分が信じてきたゆかりの想いに裏切られ、自分を信じ続けてきた者達が人間達によって殺されてしまった今、彼は人間を完全に見限ってしまったのだ。そして、『共存』を諦めた彼は、人間と『闘う道』を選んだ。



「…俺がゴルゴムを変えてやる…!」


「…変身…!」



ゴルゴムの怪人達が見つめる中、完全体に変身する信彦。


「俺を信じるか、人間に媚び諂うかは…お前達の『自由』だ…!」


直後、創世王と同じ念動力を使い、ダロムの首を締め上げると、そのまま地面に叩きつける。

圧倒的な力を手に入れ、ゴルゴムの長であるダロムをねじ伏せ、新たな怪人の生きる道を示した信彦にビルゲニア、ビシュム、部下達は賛同する。ダロムは信彦が人間と闘う道を示し、部下達もそれに着いて行く事を選んだ事を認め、新たな体制で長となろうとする。


しかし、突如ビシュムがサタンサーベルで彼を後ろから刺し殺してしまう。仲間を平然と殺した彼女にバラオムは『ダロムが怪人達の未来の為人間達の陵辱に耐え続けた事は知っているだろ!』と問い詰めるも、ビシュムは『人の下に着くのに慣れ過ぎたダロムはもう変われない』と反論。

ダロムを慕っていたバラオムは信彦には従わないと主張するも、信彦に従うことを選んだビシュムは部下達に命じて彼を叛逆者として捕らえさせた。もうそこに、かつての三神官の姿は無かった。一方、サタンサーベルをビシュムに返却されたビルゲニアも信彦に着くことを選び、『まさかお前と組む事になるとはな』と信彦に握手を持ち掛けるも、ダロムと同じく『人間の下に着き続けた』彼を信彦は認めず、念動力で吹き飛ばして追放する。


その後、護流五無を乗っ取った信彦は、二つのキングストーンを所有している光太郎の元へと向かう。

光太郎、鯨、蚤、蝙蝠が待ち構えていた研究室に入るなり、信彦は今の自分の心境を吐露する。


「なぁ光太郎…俺は怪人になってから一度も満たされた事が無い。その理由がやっと分かった…違う価値観と知性を持った生物が、この世界には二種類いるからだ」


光太郎「…お前は、怪人だけの世界を望むんだな…」


「人間は劣等種族を排除して来た。その戦いに勝ち続ける事で栄えて来た。勝利は学ぶべきだ。価値観が合わないなら奪い合う…思想が違えば排除する…今度はそれを…俺達『怪人』がやる」


これまで様々なものを見て来た彼は、どうすれば怪人達が自由に暮らせる世界を創造出来るのかを模索して来た。その答えは、 今まで人間達が怪人達や他の生物達に行って来た戦い方を模倣する事だった。

新しい世界を牛耳る事を決め、光太郎を新しい創世王にしてやると自分と同じ道に誘うも、ゆかりと葵の想いを信じ続けている彼に拒絶される。


「…そうか。それがお前の答えか…」


シャドームーンに変身し、光太郎の仲間である蝙蝠、鯨、蚤を念動力で一蹴する。

光太郎も続けて変身しようとするも彼を押さえつけて変身を止め、生身の状態である彼を一方的に襲う。

内臓に損傷を与え、光太郎は二つのキングストーンを鯨のいる方向へ飛ばす。信彦はそのまま回収しようとするが、


光太郎「…どうした…殺すんじゃないのか…?」


何とかブラックサンに変身し、信彦の足を捕らえる光太郎を先程より苛烈に叩きのめし、遂に瀕死の重症を負わせてしまう。

力尽きた光太郎の為、鯨と鑿は互いにキングストーンを投げ渡し、唯一飛行能力を持つ蝙蝠に投げ渡すも、緑のキングストーンを取り損ねてしまい、信彦に奪われる。

逃げ回る蝙蝠を追いかけるも、出口で縄を張っていたニックに妨害され、蝙蝠を逃してしまう。

どうにか光太郎は捕らえようと研究所へ引き返すも既に彼等の姿は無く、外に停めてあった車で逃げられる。


「…光太郎…!」


こうして、鯨、蚤、蝙蝠、ニック達の決死の行動により一つのキングストーンの奪取に成功するも、もう一方は取り逃してしまう。更に、ビジュムに堂波のSPを殺させ彼を脅迫して政府すらも手駒とした。

ビシュムの部屋で大都市を眺めつつ、彼女から創世王の王位継承時の話を聞かされる。


ビシュム「創世王に意識は無い…それともある?ストーンを手にして創世王の前に立った時、私の意識が、創世王の中に入っていく感覚があった」


「それはお前の意思が、創世王を『支配する』感覚があった、という事か?」


ビシュム 「力があれば、恐らく」


光太郎か葵、どちらかに継承させるのか。それとも、自分が継承するのか。

『エキスを吸われ続ける存在に成り果てるなんて、考えれない』と告げられ、今までの創世王の在り方に徐々に疑問を抱いていく。


そして、新しいゴルゴムの長として、捕らえていたバラオムを牢獄から連れ出し、部下達の前に座らせると彼をナイフで刺すように促す。


「俺達はいつだって唾を吐きかけられてきた!」


「無意味な暴力に耐え、自分が産まれた理由を呪った!」


「こんな悲しい歴史なら終わらせるべきだと考えた!」


「創世王を消滅させ、我々怪人は自然に消えるべきだと思った!」


「だが『今』は違う!俺達は人間に縋るのでは無い…人間を『喰らって』生きる!」


「そして今俺達には、上も下も無い…」


「『全て』の怪人を護る為に俺は!『創世王』になる!!」



信彦は高らかに宣言し、その威厳は部下達を更に高揚させた。



憎悪と怒りに呑まれし影の王子の最期



そして最終回、仲間達の尽力により復活を遂げた光太郎と創世王の部屋で対峙する。信彦は、以前創世王がいた玉座で待っていた。

信彦の出した答えは、自分が創世王を継承し、その力で自身が望む世界を創造する事だった。


光太郎「そんな所に座って、創世王にでもなるつもりか?」


「そうだ。俺が創世王になって、世界を取り戻す」


光太郎「…じゃあお前を殺す…!」


「…やってみろ…この老いぼれが…!」












光太郎「変…身!」


「変身…!」


“変……身……!!”


光太郎がキングストーンを投げ捨てたのと同時に、彼とは鏡合わせの構えをとって同時に変身。

壮絶な死闘を繰り広げ、圧倒的な念動力を使って彼を追い詰める。そして、彼の腹部にシャドーブレードを突き刺し、再び重傷を負わせる。


「『あの世』でゆかりが待ってるぞ…」


彼を掴み上げ、自分がこれまで抱いてきた想いを告げる。


「怪人になった時から…こうなる『運命』だった…諦めろ…!」


そして、彼を念動力で壁へ釘付けにする。

親友である光太郎と共に、お互いの両親からキングストーンを埋め込まれ、怪人として共に育ち、五流護無という新たな仲間達と巡り合わせた。

しかし、彼を待っていたのは怪人と人間の果てしない戦いの歴史。それどころか、かつての仲間達とも殺し合わなければならないという悲劇の歴史だった。そんな彼等に裏切られ、見限り、もう後戻りは出来ない今を彼は嘆く。


「創世王を新たに生み出すのに、キングストーンを奪い合う事を親父達は知っていた!それを俺とお前に持たせたんだ!」


光太郎「…信彦…」


「俺とお前は、奪い合う為に生まれたんだよ!」


お互いの仮面の下にある瞳は、怒りと悲しみに満ちていた。


「光太郎!!」


強烈な一撃を喰らわせ、彼にとどめを刺したかに思えたが、瀕死の重体でありながらも光太郎は自分の信じた事を信彦に告げる。


光太郎「…それは…違う…………親父達は…俺達に…争わせようとしたんじゃ無い…争わない、俺達だから、選んだ…!」


そして、腹部に突き刺さったシャドーブレードから逃れると、落ちていたキングストーンを拾い上げる。


光太郎「…そう思ったら…駄目か…?」


信彦は再び念動力で彼の首を絞めるがそれでも光太郎の歩みは止まらず、彼の渾身のアッパーを喰らって変身を解除される。そして、同じく変身を解除した光太郎から彼の想いを告げられる。


光太郎「俺はお前から奪うものなんて何も無い…!だから俺に託せ…!俺が創世王を殺す…!怪人は…人間だ…!誰かと出会って恋をする…!子供だって作る…!それで生きて…いつか死ぬ…。何も特別な事は無い…!」


光太郎は50年間幽閉の時を生きた信彦とは異なり、生きて様々なものを見てきた。恋をする怪人と人間。そうして生まれてきた怪人と人間の子供。人間と同じように学校に通う怪人。そして、ゆかりと同じ想いを受け継いだ一人の少女。だからこそ、彼は胸を張って言える。


光太郎「ゆかりが望んだ世界に…嘘は無いと…俺は思ってる…!」


そう言った光太郎の言葉で、信彦はかつての光景を思い出す。



50年前、人間と怪人の共存を望んだ仲間達。その名を刻んだ旗を見上げた。


光太郎「この世界は、本当に変わるのかな?」


「その為に何をすれば良いのか、まだ何も分からないなぁ」


そう呟くかつての二人に、ゆかりは告げた。


ゆかり「しょうがないよ。私達は何も特別じゃない。起こしたものを誰かに受け継ぐだけの、歴史の通過点だから」


そうして集まった彼等は、一枚の写真に映る。そこには怪人の姿で映ったとしても共に肩を並べた、夢見る若者達がいた。




「…もう皆いなくなった…ゆかりも…オリバーも…皆いたんだ…ダロムも…ビシュムも…バラオムも…ビルゲニアも…!」


共に誓い合った仲間達。もうその面影は無く、信彦の前から姿を消していった。


「…光太郎…俺はあの頃に戻りたい…!」


信彦の顔には、先程までの怒りと憎しみは無かった。自分を見失い、仲間達を手に掛け、悲しみに沈む男の涙があった。

そして、自分の腹部からキングストーンを抉り出し、光太郎に託す。


「…俺には…もう…必要、無い…」


光太郎「信彦!?」


「…光太郎…俺の…闘いは…終わりだ…」


光太郎「…信彦…おいっ!信彦!!」


信彦は光太郎に全てを託し、その長い人生の幕を閉じ、息を引き取った…。


余談

演者の中村氏は今作が仮面ライダーシリーズ、ひいては特撮初出演となった。また、同じ事務所後輩は13年前にある作品主演を務めていた。


中村氏は『仮面ライダーBLACKRX』を当時リアルタイムで視聴しており、その中でもシャドームーンが特に好きだったと語っており、今回のBLACKSUNの企画を聞きつけた際にはプロデューサーに直接「シャドームーンをやらせてくれ」と直談判したとも語っている。


一見現行のライダーたちと同じ20代の容姿に見えるが実際の年齢では上記の通り70歳で光太郎と同じ高齢のおっさんライダーである。


関連項目

仮面ライダーBLACKSUN 世紀王ムーンドライバー 仮面ライダーSHADOWMOON 銀殿様飛蝗怪人

もう一人の主人公 ラスボス 哀しき悪役 ダークヒーロー 悲劇のヒーロー


木場勇治:こちらは人間との共存を望む怪人だが、終盤では信彦と似たような行動に走ってしまった。



リブート2号ライダー変身者

一文字隼人(TheFirst)鷹山仁秋月信彦(BLACKSUN)???

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