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概要

地震が起きると様々な周期を持つ揺れ(地震動)が発生する。ここでいう「周期」とは、揺れが1往復するのにかかる時間のことである。巨大地震が発生すると、周期の長いゆっくりとした大きな揺れが生じる。このような地震動のことを「長周期地震動」という。

建物には固有の揺れやすい周期(固有周期)がある。地震波の周期と建物の固有周期が一致すると共振して、建物が大きく揺れる。高層ビルの固有周期は低い建物の周期に比べると長いため、長周期の波と共振しやすく、共振すると高層ビルは長時間にわたり大きく揺れる。しかも、高層階の方がより大きく揺れる傾向がある。

長周期地震動により高層ビルが大きく長く揺れることで、室内の家具や什器が転倒・移動したり、エレベーターが故障したりすることがある。

長周期地震動による被害事例

長周期地震動階級

固有周期が1~2秒から7~8秒程度の揺れが生じる高層ビル内における、地震時の人の行動の困難さの程度や、家具や什器の移動・転倒などの被害の程度から4つの段階に区分した揺れの大きさの指標のこと。

簡単に説明すると、周期(揺れが1往復するのにかかる時間)の長い揺れの大きさの指標のことである。

階級状況など
1吊り下げものが大きく揺れ、室内にいたほとんどの人は揺れを感じ、驚く人もいる。
2室内で大きな揺れを感じ、物に掴まりたいなど、行動に支障を感じる。棚から本などが落ちる。
3立つのが困難で、家具が動き、不安定な家具が倒れる。ひび割れたりすることがある。 ※一般向けの緊急地震速報の最低予想階級
4立つのが不可能で、這わないと動けない。家具のほとんどが倒れる。ひび割れや亀裂が多くなる。

なお、他にも長周期地震動でもかなり危険な揺れである「長周期パルス」と呼ばれる揺れも存在する一方で、逆に地震情報で目にする「震度」は短い周期で揺れる地震動を「短周期地震動」と呼び、その中でもかなり危険な揺れを「キラーパルス」とも呼ばれる揺れも存在する。

階級の誕生の理由

上記のように同じ地震動でも、「揺れの周期」なども関係するため、地震による"地上で体感する揺れ"の大きさのみを表す「震度」だけでは、長周期地震動には十分に対応できず、正確に被害の程度を表すことができないデメリットが存在している。

理由については、「長周期地震動」は通常の地震波よりも遠くに伝わりやすい特徴を持っていることと、柔らかい地盤になっている地域では長周期の波が増幅されやすいためである。その結果、特に平野・盆地などに存在している高層ビルなどでは、その建物の固有周期と地震波の周期が一致して共振することで、長い周期の大きな揺れを起こし、地上にいる人の揺れの体感と高層階にいる人の揺れの体感に大きく差が生じているのだ。

実際に、長周期地震動が注目されるきっかけは、2003年の十勝沖地震(M8.0)である。

そんな中、さらに2011年に東北地方太平洋沖地震東日本大震災)が発生し、撮影された高層ビルが長く大きく揺れる衝撃的な映像はメディアによって多くの人に視聴され、それ以前に想定されていた建物内での家具等の移動や転倒とは全く異なる挙動が起きたことが広く認識された。

「長周期地震動階級」が制定されたのは、これらが理由であり、気象庁は2013年に運用を開始している。恐らく誤解されるため記述するが、2023年2月1日から階級1以上を観測した場合は地震発生からおよそ10分程度を目安に「長周期地震動に関する観測情報」を速報として発表されるようになったが、これは緊急地震速報・地震速報の発表対象として入れて速報を出すのが、2023年2月1日から開始されたたという意味に過ぎず、「長周期地震動階級」自体は既に2013年から導入しており、2023年1月31日までの間は速報の発表対象ではなかったために、テレビなどの地震速報には表示されなかっただけである。そのため、決して「長周期地震動階級は2023年2月1日に導入された」という意味ではない

階級4を観測した主な地震の例

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