概要
2005年イタリアで開発されたマイコンシリーズ。その名は開発メンバーが通っていたバーの名前、11世紀のイタリア王『アルドゥイーノ・ディヴレーア』から採られた。
それまでのマイコンは周辺回路を自作する必要があったり、完成済みキットでも非常に高額だったりで、敷居の高いジャンルだった。当時大学生だった開発メンバーは、「もっとシンプルに、もっと安価に、技術者でない学生でもデジタルなものを作ることができるようにする」をテーマに、Arduinoという製品を作り上げた。
現在では、教育機関での教材や、個人の趣味目的などで、世界中で使用されている。
詳細
Arduinoハードウェアは、AVRという既製品のマイクロコントローラーに周辺機器を組み合わせ、一枚の基板に収めたもの。通信端子がUSBになっているので非常に手軽である。(当時では珍しい)
AVRの内部には「ブートローダー」と呼ばれるプログラムがあらかじめ書き込まれている。これが自作プログラムの書き込みや、実行を補助してくれる。(それまでのマイコンでは書き込み装置やブートローダーを用意する作業が最初の壁だった)
Arduino基盤の周辺にはピンヘッダが並んでおり、これがAVRとの通信路になっている。ここにLEDや、センサーなどを接続して、これらをプログラミングでコントロールする。
さらに、「シールド」と呼ばれる「拡張基盤」の仕組みが存在する。これは、複雑な追加回路を自ら組み立てずとも使えるようにする仕組みで、Arduino基盤の上に別の基盤を積み重ねることで、配線が完了する仕組みになっている。
プログラミングに使用する言語はC言語風の「Arduino言語」で、統合開発環境「ArduinoIDE」を使用して書き込む。ArduinoIDEはインターネットを通じて無料で入手できる。(それまでのマイコンではIDEが高額であることが多かった)
互換品
Arduinoはいわゆるオープンソースであり、回路は一般に公開されているため、公式に許可を取らずとも誰でも自作できるようになっている上に、模倣した商品を量産して販売してもOKである。
そのため、ちまたには公式販売品と同等の機能を持ちながら、価格が10/1といった「互換品」が溢れており、これがArduinoというシステムが普及した要因となっている。
(ただし互換品に「Arduino」という名称をそのままつけることは公式によって禁止されているため、名称の変更が必要)。
Arduinoが普及していくにつれて、Arduinoでの使用を意識した電子部品や「シールド」などいわゆる「Arduino向け」の商品が大量に出現し、これがコミュニティをさらに広げている。
競合品
同じように有名なマイコンとしてRaspberry_Piがある。(以下ラズパイ)こちらは、Arduinoよりも非常に高性能で、概念も高度である。ラズパイはOSを搭載出来たり、映像出力があったり、ネットワークやインターネットにアクセス出来たりする。
対して、Arduinoは初心者の組み込みプログラミングの教材や、簡単なロボット制御などが目的で、あくまで「電子工作」が専門である。
主な種類
搭載しているメインプロセッサによって、いくつか種類がある。
2023年には、AVRからARM系のプロセッサに鞍替えした、新世代機「UNO R4」が発売され、高機能化が進んでいる。
AVRコア
UNO…シンプルな機能が特徴の初心者〜中級者タイプ。最も普及している。
Mega2560…UNOより入出力端子が多い。
Leonardo…UNOとは搭載されているチップが違う。
Micro…かなり小さい。
ARMコア
M0…入出力端子の数はUNOと同じ。
Due…UNOより入出力端子が多く、分解能12bitのD/Aコンバータが2chある。
UNO R4 Minima…ARMコア品だが、入出力電圧がAVRコア品同様5Vとなっている。
UNO R4 WiFi…その名の通りWiFi接続対応品。こちらも入出力電圧が5Vとなっている。
ARMコア品はI/O電圧が3.3Vと低い(AVRコア品は5V)ものが一般的なため、「シールド」とよばれる拡張基板を接続する際は注意が必要。区別のためかI/O電圧が5Vのものはコネクタが黒になっているのに対し、I/O電圧が3.3Vのものは灰色となっている。