概要
京極 夏彦(きょうごく なつひこ、1963年3月26日- )は、日本の小説家、妖怪研究家、アートディレクター。世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)、関東水木会会員、東アジア恠異学会会員。「怪談之怪」発起人の一人。北海道小樽市出身。北海道倶知安高等学校卒業、専修学校桑沢デザイン研究所中退。代表作に、『百鬼夜行シリーズ』、『巷説百物語』シリーズなど。株式会社大沢オフィス所属。水木しげるの弟子。
経歴
デビューの経緯
桑沢デザイン研究所を経て広告代理店に勤務、その後独立しデザイン会社を設立。1994年、講談社に投稿した『姑獲鳥の夏』でデビュー。この作品は仕事の合間に書かれたもので、小説の執筆は京極にとって初めてのこと(ただし漫画の執筆経験はある)。原稿枚数が新人賞の規定を越えていたため、手元にあった講談社ノベルス版『匣の中の失楽』の奥付を見て、投稿先を決めたという。原稿を読んだ編集者・唐木厚により、すぐに講談社ノベルスとしての発売が決定する。無名の新人であっただけに衝撃は大きく、これを機にメフィスト賞が創設された。そのため、しばしば「第0回メフィスト賞受賞者」と称される。本人曰く、暇つぶしに書いた原稿であり、作品の構想は10年前に考えた漫画のネタという。
アニメ化
2003年に『巷説百物語』は『京極夏彦 巷説百物語』として、2008年には『魍魎の匣』がTVアニメ化した。また、アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』第4作101話で脚本および自身をモデルにしたゲストキャラ「一刻堂」のキャラクターデザインと声の出演を担当した。
映画化
『嗤う伊右衛門』は演出家・蜷川幸雄により映画化(唐沢寿明、小雪主演)、第16回東京国際映画祭に特別招待作品部門で出品される。
また2005年7月、京極のデビュー作を原作とした映画『姑獲鳥の夏』が公開された。本人も傷痍軍人(水木しげる)役として出演している。
作風
新しい推理スタイル
デビュー作以来続く、京極の代表作と言える百鬼夜行シリーズには、憑物落し(つきものおとし)と同時に推理する、新しいスタイルの探偵が出てくる。装飾部分やサブストーリーに様々な伝承、オカルティズムをふんだんに用いながらも骨格は論理的な謎解きに徹しているため、狭義の推理小説の王道を歩むと同時に、作者いわくの「妖怪小説」とも呼び得るという、特異なシリーズとなっている。
分厚いページ数
百鬼夜行シリーズは、極めてページ数が多いのも特徴で『鉄鼠の檻』で826ページ、『絡新婦の理』で829ページ、『塗仏の宴 宴の支度』『塗仏の宴 宴の始末』で上下巻に分けて1248ページという厚さに達している(以上、全て講談社ノベルス版の数字)。そのため、百鬼夜行シリーズ作品は「レンガ本」「サイコロ本」とも呼ばれており、合作の経験がある漫画家とり・みきには、漫画中の登場人物が京極の本をアコーディオンのように持つと言うパロディをされている。
装幀家
作家デビューする以前からデザイナー・装幀家としての顔も持っており、自著は自らMacintoshで組版・装幀を行っている(組版ソフトのAdobe InDesignをワープロ代わりに使っている)。また、綾辻行人の『眼球綺譚』や『フリークス』などではカバーデザインを担当している。
主な作品一覧
百鬼夜行シリーズ
- 百鬼夜行――陰
- 百器徒然袋――雨
- 今昔続百鬼――雲
- 百器徒然袋――風
- 百鬼夜行――陽
巷説百物語シリーズ
- 巷説百物語
- 続巷説百物語
- 後巷説百物語(第130回直木賞受賞)
- 前巷説百物語
- 西巷説百物語
古典改作シリーズ
ルー=ガルー
- ルー=ガルー 忌避すべき狼
- インクブス×スクブス
※百鬼夜行シリーズ、巷説百物語シリーズ、古典改作シリーズ、ルー=ガルーは同一世界上にある。