概要
この言葉の起源は、中世ドイツにおける大学自治権要求運動であるとされる。
学生は若さゆえに社会への批判・懐疑を抱きやすい特性があり、運動近現代において社会変革の大きな勢力の一つとなったといわれる。
またドイツでは19世紀にブルシェンシャフトと呼ばれる学生団体が成立し、ドイツの自由主義運動を主導したといわれるが、弾圧により姿を変え、民族主義へと傾い手言ったと言われる。
この運動は特に1960年代末より中華人民共和国、フランス、アメリカ合衆国、ドイツ、イタリア、日本などで世界的な高揚を見せた(「スチューデント・パワー」と呼ばれ、文化大革命に始まり、これらはベトナム戦争反対などとかかわっていたとされる)。
日本の学生運動
日本におけるこの活動は大正時代、ちょうど大正デモクラシー(政治・社会・文化の各方面で民主主義の発展、自由主義的な運動、風潮および思潮の総称)の時期に始まった。その後昭和時代になると社会の締め付けにより沈静化したものの、戦後になって盛んになった。
昭和35年の安保闘争(昭和27年に締結された日米安保条約に変わる新たな条約にたいし反対する運動)、昭和43年から昭和45年の全共闘運動(実力闘争として行われた際学部や団体の枠を超えて活動した運動)・大学紛争(学費の値上げなど、大学の体制や制度改革等に対し学生が反対して発生した紛争)に盛り上がりを見せた。
ところが膨れ上がった流れは急速に衰退した。これは一部の急進的勢力が過度な暴力を用いたことにより一般学生の求心力を失ったとも警察の介入により将来の不安が生じたとも言われ、それ以降現在に至るまで下火の状態が続いている。
一説には1970年代以後に社会が豊かになったことでの政治離れ、内ゲバやテロなどの過激な行為への忌避などが原因であるとされる。
ちなみに現在でも多くの大学ですでに衰退しているとされるが、一部残存していると思われるふしがみられる。
活動家
運動の中心となるのは学生全体からみれば少数である活動家、あるいは学生運動家と呼ばれる学生(実際に学業に励んでいるとは限らない)である。活動家の多くは政治党派(たとえば日本共産党と関係があったとされる日本民主青年同盟)の学生組織に属しているか、その共鳴者(シンパ)が多いものの、政治党派とは距離を置き運動を担っている学生も存在(ノンセクトラジカル)。運動内容は時代や個別学校によって様々なものがあるが、代表的なものとして、反戦運動、学費値上げ反対運動、学生会館の自治要求、反差別への取り組みなどが存在している。
活動家は、通常は自治会(日本国憲法においては学問の自由を保障するため大学の自治が制度的 保障として認められており、それを実践するための学生が設立した組織)や様々なサークル(社研、すなわち社会研究サークル)などを拠点とし、その中で討論や学習をし、自らの主張を煽動するパンフレット(アジビラ)やポスター、立て看板(タテカン)などを作製し、講義前のクラスや昼休みの広場などで自らの主張や学校や社会における問題など演説やビラの配布やカンパのお願いなどをを行った。
時には校内で集会や講演会、学習会などのイベントを開くものの、通常は参加者は少ない。運動は日常的には地道かつ地味なものであるが、この運動がまれに盛り上がるときもある。
何らかの問題において通常大学問題や政治問題に関心のない一般の学生も運動に加わり、全学的に運動が高揚する場合でであり、そうなればデモや授業ボイコット(ストライキ)、大衆団交(学生の連合体との団体交渉)、果てはバリケードによる建物占拠などが行われた
学生運動家のその後*
ところが、これらの運動が挫折したその後、特に政治党派の学生組織に属していたり過激な活動を行ったりした活動家などは人生において、様々な困難にぶち当たった。
活動をやりすぎて逮捕され退学となったり(安彦良和など)、そうならなくても前科がついたり、無駄に有名となってしまった彼らは、大学を出ていた(当時は大学に行く人も少なく、一般的にはエリートとされていた)にもかかわらず就職できなかったりするようになった。
また彼らの多くは運動の収束により後継者に恵まれず、彼ら自身がかつて嫌っていた老人達と同じ年齢になっても、転向していない彼らはそれまでと同様に『夢』を見、反体制派の急先鋒であり続けているものの日本が既に経済大国化して久しい故、彼らの主張は時代遅れとされ、かつて左派が栄えた大学でも、彼らの主張はもはや化石扱いされているという。
逆に最盛期に高校生以下だった世代など関わりが薄かった者らはその挫折感を企業への忠誠心に転嫁し、企業戦士に転じていった者も多いといわれる。
前述のこともあり、また社会が全体的に活気を失ってしまったためにこういった運動は滅多に発生しない。しても、かつてのように人生をかけて行うものではなくなっている。
なお、当時の関係者は元警察官、元学生共に「あそこまでとは行かなくとも、最近はなんだかんだ言っておとなし過ぎるのでもう少し活気が欲しい」とのことだが、彼らの就職が仕事を選ばなければ比較的容易であった当時と異なり、現代では一度でもケチがつくと即就職が困難になる時代故、若者の大半は政治的行動は控えざるをえないという事情もあり、かつての熱気は戻らないだろう。
ただし、近年SEALDsをはじめとする運動逆の立場での右翼系列の運動が出始めているため、どうなるか状況は不明であるが。
学生運動を描いた作品
いちご白書(ジェームズ・クネンによるノンフィクション。コロンビア大学の学生運動に関して記述され、フィクション映画となった)
『ドリーマーズ』(ギルバート・アデアによる小説、パリ5月革命の設定。ベルナルド・ベルトルッチにより映画化)
『ベルリン、僕らの革命』([ハンス・ワインガルトナーによる[映画]]、設定は現代のドイツであり、当時運動に参加していた人たちが重要人物として登場する)
『サルバドールの朝』(マヌエル・ウエルガによる映画、スペインの反政府活動を行う実在した人物の半生を描く)