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アルテミスの編集履歴

2018-09-13 21:34:15 バージョン

アルテミス

あるてみす

ギリシア神話に登場する狩猟・貞操の女神である。のちに月の女神ともなった。 アニメやゲーム等の創作物のキャラクターにも使われる名前。

概要

ギリシャ語での表記:ΑΡΤΕΜΙΣ, Ἄρτεμις, Artemis

ギリシャ神話に登場する狩猟・純潔の女神。のちに月の女神ともなった。ローマ神話においてはディアナ(英語読みでダイアナ)と同一視される。また、セレーネーとも同一視されており、セレーネーはアルテミスの一部分にもなっている。


諸説

主神ゼウスとティターン族のレトのあいだに生まれた狩猟と純潔の女神。大勢のニンフ達をお供に、狩りを楽しむのを常としていた。オリュンポス十二神の一柱で、太陽神アポロンとは双子の兄妹、あるいは姉弟とされる。

父・ゼウスに可愛がられ、彼女の持ち物の大半は彼から授かったものである。永遠に処女神でいる保証も父から得ている(もっとも、その父が下記のように彼女のお供の者に手を付けたりしているのだが)。


ギリシャの女神らしく彼女もプライドが高く、普段は凛とした冷静な女神だが、逆鱗に触れるようなことをすればその怒りは留まるところを知らない。


自身が純潔の女神である為、侍女を務めるニュンペー達にも純潔の誓いを立てさせ、それを破った者には容赦のない厳罰を与えた。ただし、彼女が嫌うのは「愛の名を借りた性行為」である為、心の底からお互いを愛し合って結婚する信者は祝福し、快く送り出したという。


生まれてすぐに母親のアポロンを産む際の難産を手助けしたという逸話から『子宝の女神』という神格も持ち、純潔の神でありながら慈母神という特異な立ち位置にいる。もともと地母神として崇拝されていた女神と習合した結果と思われ、ギリシャ神話はこういう対極的なものが多いので仕方がないが。

このためにアルテミスの方が姉とされることもある。その一方、神話内の役柄として考えた場合、「処女神」のイメージが定着すると彼女はどうしても「少女」として表象されやすく、アポロンがそれより年少の少年神とは考え難いことから、アポロンが兄、アルテミスが妹として扱われることの方が多くなっていると思われる。


お供のニュンペーの一人が…

彼女の病的なまでの純潔へのこだわりを象徴するエピソードその1。

カリストはお供のニュンペーの一人で、アルテミスの特にお気に入りだった美少女。ところが美しい彼女に浮気性のゼウスが一目惚れしてしまう。貞節の固い彼女を誑かす為にゼウスが使った手段は、なんと実の娘であるアルテミス自身に姿を変えること。

カリストはすっかり騙されて偽のアルテミスの愛撫に身を任せてしまうのだが、この誘惑が成功したこと自体、もともとアルテミスと彼女の間にそういう関係が出来ていた疑いもある。絵画にしばしば描かれる誘惑の光景はそれにしか見えない。それほどアルテミスに気に入られていたカリストだったが、この一件で妊娠してしまう。数か月後、水浴びのときにそれがバレるとアルテミスの寵愛を失い、追放される(あるいは、そのまま熊に変えられる)ことになる。彼女はどう見てもゼウスの被害者なのだが、事情を問わず純潔を失った者には容赦しないというのがアルテミスの冷徹さを象徴している。カリストを問答無用で追放してしまったので、彼女を孕ませた張本人が誰なのかをアルテミスが知ることは無かった。ちゃんと事情を問いただし、それが自分の父であることを知っていたら父娘の間に何が起こっていただろうか。


アクタイオンの事件

彼女の病的なまでの純潔へのこだわりを象徴するエピソードその2。

テーバイ王カドモスの孫であったアクタイオンは、狩りの途中で森深く迷い込み、聖なる泉でアルテミスとお供のニュンペー達が水浴びしているところを目の当たりにしてしまう。

自分とニュンペー達の女性としての尊厳を汚されたことにアルテミスは怒り、「この私の裸体を見たと吹聴できるものならしてみるがいいでしょう」と呪詛を放った。途端にアクタイオンの姿は牡鹿に変わってしまう。彼は鹿の姿のまま逃げ出したが、自身が連れていた猟犬たちに獲物と思いこまれて襲いかかられ、ズタズタに引き裂かれて殺されるという悲惨な末路を遂げた。アクタイオンも悪意があって覗きをしたわけではないはずだが、乙女に恥をかかせた者には命の代償を求める。それがアルテミスという女神である。


崇拝を怠ると……

「純潔」とは直接には関係ないが、彼女の不寛容さが表れたエピソード。

カリュドン王オイネウスはその年の豊作を祝い、これを感謝するためもろもろの神々に捧げものをしたのだが、どういうわけかアルテミスへの供物だけは忘れてしまった。自分が蔑ろにされたと激昂した女神は、一頭の巨大でをカリュドンに送り込んだ。猪は田畑を荒らし、家畜を蹴散らし、人々をも襲って手がつけられず、とうてい並みの狩人の手に負えるものではなかったという。この猪を退治するために、ギリシア中の勇士たちを集めたオールスターチームが組まれたほどなのである。これに参加した紅一点が美貌の女狩人・アタランテであり、一番槍を挙げる功績も果たしたのだが、彼女も本来アルテミスの信奉者なのであった……。


オリオンとの恋

そんな彼女だが、一度だけ身を焦がすほどの恋をしたことがある。

その相手が狩人の青年オリオンで、彼の精悍な佇まいとそれに違わぬ豪快で逞しい言動から、神格が揺らぐほどにメロメロになっていった。これが気に食わなかったのが父・・・ではなく兄のアポロンであった(さすがシスコン)。焦燥して大地の女神ガイアに相談し、オリオンを亡き者にしようと考える。さらにオリオンを牡鹿と誤認されるように工作し、挙句に何も知らない妹を挑発してオリオンを射殺させるという超ド級の外道行為に及んでいる。

兄よ、自重しろ

その後、事の真相を知ったアルテミスはアポロンの息子で死者蘇生の技術を編み出した天才医師アスクレピオスに依頼してオリオンの復活を目論むも、「余人が我が領域を侵すことは許さん」と、冥界の王である伯父ハーデスに断られ、ゼウスもハーデスの叱責を支持した為これを断念。せめてもの代償としてゼウスにオリオンを星座にしてもらうよう懇願し、その星座が冬の星座の代表格であるオリオン座となった。

なお、この件でアルテミスが処女神としての立場を失ったという話は伝わっていないので、そういう関係にまでは至っていない模様。プラトニックなお付き合いだったようである。ちなみにこの際、間接的とはいえアポロンにオリオンを殺されたことに関し、彼女は特にアポロンに対して特には怒っていない。母親の胎内にいる頃からの仲だからだろうか、それとも彼女も隠れブラコンなのだろうか。


ヒッポリュトス蘇生事件

ヒッポリュトスアテナイテセウスの王子で、母親はアマゾネスの王女である。彼は男性ながらアルテミスを尊崇してその教えを忠実に履行しており、アルテミスの方も例外的に彼を狩猟の供への参加を許す特異例の寵愛を示していた。

ところがヒッポリュトスの父テセウスの後妻であるパイドラーが義理の息子に求愛するという事件が勃発。当然の事ながら、ヒッポリュトスはその不義を非難して求愛を拒絶したものの、これを逆恨みしたパイドラーは「ヒッポリュトスに強姦された」との讒言を記載した遺書を残して自殺。これを鵜呑みにしたテセウスはかつてポセイドンから与えられた「三つの願い」を行使して、海から怪獣を召喚。ヒッポリュトスは狂乱した自身の戦車の馬に轢殺されると言う凄惨な最期を遂げた。

愛弟子が全くの冤罪で父親に殺された惨事に憤ったアルテミスは、アポロンの息子の天才医師アスクレピオスに依頼してヒッポリュトスを蘇らせた。オリオンの件でも死者蘇生を「自然の理に反する」と叱責したハーデスはヒッポリュトスの蘇生で遂に堪忍袋の緒を切らし、それに押されたゼウスの放った稲妻によってアスクレピオスは即死。息子が殺された事に激怒したアポロンは(ゼウスやハーデスに正面から立ち向かっても勝ち目が無いので)稲妻の製造所で大暴れをしてそこで働いていたキュクロープス達を殺害してしまう。結局のところアポロンはオリンポスを1年間追放され人間の王の牧場番をする羽目になってしまった。妹の恋人を謀殺した報いとして、自身の息子が死に追いやられた・・・因果応報とも言える結末である。


アレトゥーサの事件

お供のニュンペー達にも貞節を誓わせている彼女は、それを守ろうとする者には積極的に救いの手を差し伸べることもある。ニュンペーのアレトゥーサは誰もが絶賛する美しい容姿に恵まれながらも、処女神アルテミスに仕える身として色恋にはまったく無関心で、女神のお供で狩りに励む日々を送っていた。しかし、川で水浴びする彼女の魅力的な肢体を見てその川の主・河神アルペイオスが欲情に駆られて口説こうとし、それが通じないと見るや手籠めにしようと襲いかかってくる。アレトゥーサは服を着る間も無く必死で逃げたが、やがて体力も尽き、アルペイオスの魔手が迫ったところで女主人のアルテミスに祈り、救いを求める。それに応えた女神の助けで、彼女の身体は溶け出し、水に変じた。それに気づいたアルペイオスは自らも水に変じて(両者とも怒りの王子を思わせる能力である)交わろうとしたが、アルテミスは大地に裂け目を開いて逃げ場を用意し、水に変じたアレトゥーサは海底の地下を通ってシチリア島まで逃げ延びて純潔を守り切った。彼女はこの地の泉となったが、随時ニュンペーとしての姿も取り戻せるようで、その姿でこの地に来ていた女神デメテルと会話したこともある。


トロイア戦争では

ミケーネアガメムノンが「自分の腕はアルテミスにも劣らない」と高言した事に立腹し、トロイア側を援護する。しかし、応援したトロイアは滅亡し、自身もミケーネ側を応援したヘラとの闘いで一方的な大惨敗を喫すると散々な結果に終わり、あのアルテミスがゼウスに泣きつくという意外な一面を見せている。アガメムノンの件では「長女のイピゲネイアを生贄に捧げれば怒りが解ける」との予言を下すも、アキレウスとの縁談と言う名目に騙されてやってきたイピゲネイアがいざ生贄にされかけると、同情心を起こしてイピゲネイアを安全な場所に転移させ、プライドが高いと同時に直接的な非の無い相手には非情に徹し切れない一面も見せている。

ミケーネ王妃クリュタイムネストラと騙し討ちに勝手に名前を使われたアキレウスの2人は必死でイピゲネイアの助命運動を行ったものの、アガメムノンが生贄の儀式を強行した為に彼に深い遺恨を抱くに至り、トロイア戦争の泥沼化とアガメムノンの破滅を招く事になった。




関連タグ

ギリシャ神話 女神

 狩猟

オリオン セレーネー

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