刑法によると、“急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為”と定義される行為。
要は“自分や誰かの権利を守るためにそうするしかなかった行為”と言ったところである。
大半が法治国家で禁止される「自力救済」の一つだが、これは数少ない合法的な例であり、これが成立すれば刑法上は“その行為自体が犯罪行為に該当しても犯罪が成立しない”上、民法上の責任である損害賠償責任すら負わずに済む。
ただし、成立条件は一般に使われている定義と比べて圧倒的に厳しく、よっぽどの事が無い限り成立しない。(一般的に言う「正当防衛」は大半が「過剰防衛」、あるいはそれすら満たさない。)
メイン画像の例だと、
加害者T(仮称)は反撃する必要はなかった(一発だけなので防御するだけでもよかった)が、Tは被害者I(仮称)から恒常的に暴行を受けており、その暴力行為に対し生命の危機を感じていたと推測される(実際に死ぬことはないが)ため、正当防衛が発生するかもしれない。
ただし、Tが完全に日頃殴られている事への怨嗟から殴ったとすれば、当然正当防衛は発生しない。
(ただし、Iが殴りかかっているので、たとえ過剰防衛が成立しなくても情状酌量の余地はある。)
まあ、そんな殺伐とした世界観でもない上、Iに訴訟の意志がないため、この検証は意味がないのだが。
また、概要を見れば分かる通り、急迫的で他に対処の使用がない権利の侵害ならば暴力行為以外にも適用され、他者の権利のために防衛を代行することも可能である。
ただし反撃の程度の正当性などの立証は難しく、情状酌量の余地が認められたり過剰防衛にはなっても正当防衛と認められるのは難しい。
この例はそもそも「誤想防衛」なので検証のしようはないのだが。
関連イラスト
貞操の危機>暴行
まったくもって急迫ではないのだが・・・
犯罪行為に該当するかすら疑問(程度が軽い上に責任能力すら疑わしい)