概要
簡単に言うと
憲法やら刑法やら日本に数多くある法律のうち、「人と人との関係における基本的なルール」を定めたものである。
最も我々に身近な法律であると言えるだろう。
ちなみに人には生身の人間=自然人だけでなく、「法人=会社とか団体」も含まれる。
正式名称など
1898年に施行された法令番号明治二十九年四月二十七日法律第八十九号の法律「民法」。
「民法典」、「形式的意味の民法」と呼称される。
私法であり一般法
法律は大まかに二種類に分けることが出来る。
それは「公法」と「私法」である。
(公法) ……国と人との関係におけるルール
【★憲法】【★刑法】【行政法】【★刑事訴訟法】【★民事訴訟法】
(私法) ……人と人との関係におけるルール
広く適用される「一般法」……【★民法】
特定の事物が対象な「特別法」……【★商法】【会社法】【借地借家法】【消費者契約法】など
このように、民法は私法のうちの一般法に位置づけられる。
ちなみに★がいわゆる「六法」であり、民法もその一つ。
民法の全体像
全5章、全1050条から成る(ただし枝番号や削除済みの条文もあり)。
第1章『総則』……民法全体の基本ルール
財産法
第2章『物権』……土地や建物といった物に対する権利などのルール
- 占有権
- 所有権
- 用益物権
第3章『債権』……貸したお金の返済を求めるなど人に対する権利などのルール
- 契約
- 事務管理
- 不当利得
- 不法行為
家族法
第4章『親族』……親子・夫婦・兄弟といった家族関係を扱うルール
第5章『相続』……人が死亡したときの財産の帰趨を扱うルール
総則
法律行為
一定の権利義務の変動を発生させる行為のこと。売買契約(買い物)や賃貸借契約(借家)など、結構身近に存在する。民法とは大まかに言うと「権利の移動」を定めたルールなのだ。
権利能力
- レベル1
- 権利義務の帰属主体となるための能力
- 自然人=生身の人間が生まれながらにして持つ
意思能力
- レベル2
- 法律行為を行う前提となる能力
行為能力
- レベル3
- 一人で確定的に有効な意思表示を行う能力=レベル3のここで初めて法律行為が十分に行える
制限行為能力者
- 予め定まっている「行為を後から取り消すことが出来る」人
未成年者←法定代理人
- 成人(18歳)に達さない者
- 法定代理人=親の許可がなければ法律行為ができず、後から取り消される
- ただし、単に権利を得、義務を免れる行為については問題なし
成年被後見人←成年後見人
- 精神上の障害などで能力を常に欠いている者
- 本人や親族などの請求により家庭裁判所から後見開始の審判を受ける
被保佐人←保佐人
被補助人←補助人
民法改正(令和四年)
令和四年(2022年)四月一日より、民法における成年年齢が従来の20歳から18歳に引き下げられる。
18歳になれば、親の同意等を無しに様々な契約等ができる。
18歳になれば自分の意志で、クレジットカードの作成、携帯電話会社との契約・アパートを借りるなどできる。
女性の婚姻可能年齢が18歳に引き上げられる。
男女とも婚姻・入籍できるのが成年のみとなる。これにより女性も18歳以上にならなければ婚姻できなくなる。(ただし20歳未満でも、親の同意は必要なくなる)
(令和四年四月一日までに16歳を迎えた(2006年4月1日以前の生まれの)女性は、引き続き18歳未満でも婚姻可能)
民法改正以降は18歳未満の女性キャラが結婚(婚姻)する作品などは『過去のもの』となる。
- 高校3年生になってなるべく早く18歳の誕生日が来る(4月等)ようにする。
- 浪人(中学浪人)もしくは留年させて18歳になってから入籍させる。
- 定時制や通信制など、年齢に縛られにくい高校に入学する設定にする。
- 高専(高等専門学校)は5年制なので、在学中に18歳になり、その後も最低2年は在学期間がある。
- 大河ドラマや連続テレビ小説等では、「当時の法律や法施行前の時代」に設定する(実際、おひさまでは戦前の設定で女学校(現在の高等学校)在学中に結婚の演出があった。)。
- 内縁関係にする。
- 作品内の法律を捻じ曲げる。
のいずれかの設定をつけなければいけない。
三船美佳の16歳結婚では「当時(1998年)の法律では可能であった」等の表記も必要。
(入籍ではない場合は双方の親の同意があればこの限りではないおくさまが生徒会長!等)
お酒・タバコ・公営ギャンブルは20歳から
成年年齢が18歳に引き下げられても、お酒が飲める、タバコが吸える、公営ギャンブルの投票券をを買えるのはいずれも20歳になってから。
これに伴い、それぞれの法律の条文の『未成年』という表記が『二十歳未満』に変更される。
また、ひげを剃る。そして女子高生を拾う。では、現実で行うと『未成年者誘拐罪』になってしまう描写があるが、令和四年の民法改正以降はこの作品における『未成年者誘拐罪』は成立しなくなる可能性がある。この作品の女子高生は18歳で、民法改正後は民法においては『未成年者』ではなくなる。(民法四条により、親権に服さなくても良くなる)
ただし、刑法における未成年の定義が異なるか、条文(刑法224条)が『未成年』から『二十歳未満』に変更される可能性もある。
現在は「特定少年」で起訴後は実名報道が可能である(事故や労災では実名報道は少ない)。
余談
- 他国の民法と比べて特徴的な点は土地と建物の物権が分離されている点である。土地と建物をセットで扱う必要がないのだ。