ボーイング747
ぼーいんぐななよんなな
元は軍用輸送機として開発計画があったが、この計画は同じく米軍に計画を上申していたロッキード社の「C-5」に軍配があがり、中止された。後に超音速旅客機製造までの繋ぎとして計画がスタートしたが、超音速旅客機の方は結局開発が中止、一方同機は大ベストセラーとして、設計変更・改良を繰り返しつつ、2014年現在も製造が続けられている。
世界的な航空機輸送の大衆化を果たした理由の一つとして、747就航による圧倒的な輸送力改善により、航空会社が大衆向けに航空券の安売りを始めた(後のエコノミークラスである)ことが挙げられる。
現在の最新型は『747-8(通称:ダッシュエイト)』型。
2007年時点でのシリーズ総計の引き渡し機数は1410機にも上っており、
まさに旅客機のベストセラーである。ただしボーイングにはこれを上回る製造数の旅客機としてボーイング737(1967年からの47年間で7500機以上)も存在する。
747の特徴として、旅客型と貨物輸送型との違いが少ない事が挙げられる。
コクピットを2階に設置する事で、1階すべてを旅客・貨物に使えるのである。
旅客型と貨物輸送型の大きな違いとしては、
機首部分を丸ごと跳ね上げる「ノーズカーゴドア(機首積み下ろし口)」が挙げられる。
747は通常の積み下ろし口では積み込めない、長尺モノの貨物輸送が可能である。
この点の便利さは世界一であり、他の追随を許さない。
例えそうでなくても、貨物の積み下ろしでは断然便利な機能であり、
この点では最新のエアバスA380をも凌駕している。
(747-8貨物型に限ってはA380以上の受注を得ている。というかA380は旅客型の開発遅延による貨物型の開発遅延の危惧やノーズカーゴドアを持たないため長尺荷物が扱えない、2階部分に積み込むには専用車両を導入しないと行けないといった欠点も見えてきたため、導入予定航空会社がすべて発注をキャンセルしてしまい開発が凍結されているため、このクラスの貨物型機としては当分ライバルがいないという状況である。)
ただし、ウクライナにはアントノフAn-124という747以上の超大型貨物機が存在する。旧ソ連時代に量産されたものであるが、近年ではウクライナのチャーター会社により世界各国で活躍しており、日本でも広島電鉄5000形グリーンムーバーの輸送などに活躍した。今後アントノフ社は同機の製造を再開する方針で、747に対する新たなライバルとなる可能性は十分にある。
ただし旅客型についてはこの限りではなく、最新型の旅客機を相手に不利を強いられている。
日本国内では日本航空(JAL)・全日本空輸(ANA)の両社が保有運用しており、かつては世界で唯一輸送時間3時間未満の国内輸送に使われる747でもあった。それ故に高頻度運航に対応するため脚部を強化し翼長を変えた日本国内専用機「747-SR」や「747-300D/-400D」が製造された。SRは短距離を示す「short Range」の略、Dは単純に国内線を示す「Domestic」から来ている。
この理由として、諸外国と比べても格段に多い公共交通による大量輸送需要に加え、日本国内の空港がどこも混雑し「747のような巨大旅客機でなければ輸送が捌けない」状態であったことがあげられる。その結果、747は各地で一般人により手軽に利用出来る国内線で頻繁にその姿を確認出来るようになり、「ジャンボジェット」が日本では特に大衆化される要因となった。
しかし、日本国内でも空港の発着枠(その空港に飛行機が離着陸可能な総量)が増加した。特に羽田空港の沖合展開事業と滑走路増大による輸送力緩和、関西国際空港開港による大阪の空港事情の大幅な改善は、中型機による多頻度運航を可能にした。更には航空会社がそれにつられて増大し、大手航空会社もその競争によって必然的に輸送量を減らした。また、新幹線が東西に伸長し、航空機のシェアを奪った。以上のことから747による大量輸送はさほど必要が無くなっただけでなく、大阪伊丹空港では4発機の運用が制限されることもあって、数少ない大型輸送も777に交代。特に経済性が高く、輸送力も747に引けを取らない777は、国際線でも747を世界的に置き換えていった。このことからJAL保有機は2011年3月に引退した。そして、ANA保有機も2014年3月に引退した。
日本の空にも省エネ化の波が押し寄せているのだ。
アメリカ大統領専用機(エアフォースワン)、日本政府専用機等にも本機が用いられている。
エンジンの数と経済性
同じ距離ならば、少ない燃料で飛ぶ方が経済的である。
同じように、同じ性能ならばエンジンの数が少ない方が経済的だ。
なぜなら、エンジンはそれぞれ燃料を消費しているからである。
双発機と4発機が同じ燃焼消費量であるためには、
4発機のエンジンが双発機の半分の燃料消費でなくてはいけないのだ。
最新の旅客機が軒並み双発なのは、こういった理由からである。