竜東一貫水路
竜東地域の段丘上の人々は、南アルプスの前山である伊那山脈に水源を依存してきたが、伊那山脈から流出している13の支・渓流の水量わ極めて少なく、さらにこれらの各支川は、段丘面と河床との高低差が100~200メートルに達する深い谷をつくっているため、各農村は用水確保に困難をきたしていた。そこで県営灌漑排水事業として、昭和42年に幹線水路の工事が始まった。その工事は昭和54年に完了し、この用水路によって、既成田407ヘクタール、開田141ヘクタール、畑地238ヘクタールの計786ヘクタールが灌漑されるようになった。
水路
幹線水路は小渋ダムから松川町生田部奈まで発電用水路を引き、生田から分水され、飯田市下久堅まで流れている。水路は山間地帯を貫くため、総延長16.7キロメートルの96%が隧道(10.9キロメートル)と逆サイフォン部分(5.2キロメートル)で占められ、開渠・暗渠等は僅か0.6キロメートルである。谷を渡る箇所には、水路橋やサイフォンを見ることができる。
竜東一貫水路は、15箇所の注水口を介し各河川に用水を供給している。この注水口から供給された用水は、一旦河川に流入後、取水口より各水路(井水)へ配水され、主に水田に供給されている。