島田一旗
しまだかずき
人物
小学時代の石田将也のクラスメイトで、転校生の西宮硝子へのいじめに加担した男子生徒の1人。
死人のような目つきをしていて、ほとんど表情の変化がないのでどこか不気味な印象の少年。口癖は「ふ」で、吹き出しの外で効果音のように描かれている。将也をクラス内のいじめの標的に変え、彼が人間不信になる最大の元凶となった人物である。小学時代のクラス内における「影の支配者」であり、改心する前の将也以上に悪辣な性格のため、自分の都合が悪くなれば平然と裏切りも行う。元から将也の事も利用していた節がある。
小・中学時代
小学校のクラス替えにより将也と仲良しになり、広瀬啓祐や植野直花と行動を共にすることが多かった。広瀬と共に将也の自宅に遊びに行ったり、将也による度胸試しの川への飛び込みを度々行っていたが、塾通いを前後して辞めた。意外にもピアノが特技で、小学校の合唱コンクールではピアノを担当。登下校中にはなぜか旗のようなものを持っている。
転校生の西宮硝子を将也・広瀬らと共にいじめていたが、将也の行き過ぎた行動が問題視されて学級会にまで至った際には、自己保身に走り広瀬と共に将也を裏切り責任を押し付けた。それ以降、「俺らに罪を着せようとしたから許せない」として将也に成り代わっていじめグループのリーダーとなり、広瀬と共に将也に暴力的ないじめを行うようになる。
小学校卒業後、将也と同じ中学校に進学した際には広瀬と共に一変して辛辣な態度を取り続け、自分たちの過去のいじめを棚に上げて将也が小学校時代に硝子に行っていたいじめの件を自分たちの都合の良いように周囲に流布して孤立させる陰湿な行為を働いた。このことが、後の将也が人間不信に陥る原因となり、「思い出したくもない」人物の1人になった。
高校編
その後は暫く姿を現さなかったが、将也たちが遊びに行った遊園地の売店の店員をしている。植野の差し金により、将也はそこで望まない再会をする破目になるが、将也とは口も利かずに終わった。そのときは以前のいじめのリーダーだった頃のような雰囲気はなく、抜け殻のような顔つきになっていた。
後に将也が硝子と行った縁日で二人を見かけ広瀬と追いかけていた折、硝子を助けて川に落ちた将也を広瀬と共に救出した。このことで改心の兆候が見られたものの、自身は過去に将也を
いじめたことに対して後ろめたさがあったのか、植野や、事故現場に駆けつけた硝子には自分たちが助けたことを将也に言わないように口止めした。
また、永束が企画した映画作りにも植野の手引きで音楽を担当した。映画作りコンテストの評価後、将也と接触するも「(見栄を張るのは)ダサいからやめろ」と一言いい、永束からギャラを貰いその場を去る(このときだけ何故かいつも暗かった目にハイライトが入っていた)。その後は音楽修行のためにフランスへ留学する。
物語終盤
将也と和解したかどうかは語られないまま終わった。
評価
これらのことから、ネット上における、作中での非難の対象の1人となっている。なお、高校編での顔つきに至っては一部ネットでは「広瀬に裏切られたのではないのか」と噂されている。が、後の心境変化によりそんなことは風化してなかったことにされた。
しかし、広瀬が関係している可能性があることを劇中全体から示唆されている。
その根拠は、
- 高校編において、遊園地の売店の店員をしている際、植野の差し金で将也との再会時には広瀬がいなかったこと(以前なら、決まって広瀬とセットで登場していた)。
- 時期は不明だが、広瀬に彼女が出来たこと(ついでに言うと、広瀬は成人式の時点で結婚して1児の父になっており、在学中に童貞を島田より先に卒業したと思われる)。
- 以上の2点から、広瀬が彼女との付き合いが濃密になり、そのときのショックで島田は孤立してしまい、ほとんど孤独の毎日を送っていたと仮定するならば合点が行く。そのうえで「もし、あのとき将也をいじめていなければ、俺は独りぼっちにはならなかったのか?」と過去に将也にしでかしたことを思い返し、そこから植野に将也との復縁することを進められ、「いまさら復縁なんて、どのツラ下げてしろと言うんだ」といわんばかりの態度を示し、植野が将也と自身を引き合わせた際には抜け殻のような顔つきで「ふ」としか言わず、植野に「余計なお世話だ」と突っ返し、騙されて怒った時の将也の顔を見て、「ああ、やっぱりまだ引きずっているんだな。当然だよな」という顔で将也が向こうへ行く姿を見送った。
こういう風に憶測するならば、島田の心境がだんだん読めてくるであろう。