概要
大今良時は、2008年に第80回週刊少年マガジン新人漫画賞に投稿した「聲の形」で入選した岐阜県出身の女性漫画家である。
2009年より「別冊少年マガジン」にて、冲方丁の同名小説を原作とする「マルドゥック・スクランブル」の連載によりデビューした。
その後2013年より2014年まで「週刊少年マガジン」で聲の形を、2016年より同誌で不滅のあなたへを連載している。
経歴
小学生時代、高田裕三の漫画作品『3×3EYES』とゲームの『クロノ・トリガー』が好きで、それらの作品のキャラクターを模写していた。小・中学校時代はコピー用紙に描き、高校時代に初めて原稿用紙に描き始める。その後専門学校時代に週刊少年マガジン新人賞に「聲の形」を応募。見事入選を果たす。が、諸事情ありその時は掲載が見送られた。
漫画家として
初連載作品の「マルドゥック・スクランブル」の原作者の冲方丁氏は、同作品の単行本二巻のあとがきで、大今氏の漫画力を「上手い。絵柄の幅が広い。どんな描き手にも化けることが出来る。まさに逸材だ」と絶賛しており、その後、二巻の帯の推薦文でもある「この勢い、この熱量、僕より上か?」と強い競争意識を抱かせた旨を語っている。
冲方丁氏のブログにても大今氏を絶賛する記事があり、そのブログによると「(漫画のマルドゥック・スクランブルの)一話はアシスタント無しで描かれた」「彼女(大今氏)に描けない絵はない」と評している。
同作の単行本一巻に2008年冬、冲方氏に提出した「マルドゥック・スクランブル」の主人公バロット対プッシーハンドの試作版漫画が数ページ載っている。(この当時、氏は十九歳)
躍動感溢れるアクションシーン、十代の女性が描いたとは思えない、ややアメコミや劇画の影響を受けているような、ただ綺麗なだけではない重厚な絵、コマ割りや構図など新人とは思えない圧倒的な画力である。
実際、マルドゥック・スクランブルは内容が非常にハードで、アクションシーンは勿論、主人公を取り巻く環境が劣悪なもので、少年誌に載せていいのかと疑問に感じるシーンも多々ある。(同作の詳細な内容は、リンク先を参照)
それを大今氏は独自の解釈を加えながら、吉川英治文学新人賞受賞作家である原作者に「ライバル」と言わしめる程の完成度の高い「大今版・マルドゥック・スクランブル」を見事最後まで書ききったのである。(単行本にして全七巻)
ベテラン作家でも描くのが難しいとされるサイバーパンク・アクション小説のコミカライズを、まだ新人の、二十歳前後の女性が非常に高い完成度で描ききったことは、原作者の冲方丁氏のみならず、「マルドゥック~」のファンからも奨励の声が多い。
その後、2011年に別冊少年マガジンにて聲の形の入選版を、2013年に週刊少年マガジンにリライトした聲の形読切版を掲載。同年より翌年まで週刊少年マガジンにて聲の形連載版を連載した。
人物像
家族構成は、母、姉と三人家族。母は手話通訳者。姉はアシスタントとして手伝うことがある。好きな音楽はインド音楽や洋楽。作画時に流している。
また、ダヴィンチ・ニュースのインタビューで、学校生活は苦痛でした。厳しい校風が、とにかく面倒に思えてしまって。最後の半年間は学校に行かなくなりました。と不登校の時期があった事を話している。(詳細はリンク先を参照)
また、「マルドゥック・スクランブル」の作画風景を収めた動画にて、「作画中はアイスが主食」との発言あり。アイスだけであの濃密な作画を描いていたのだろうか・・・。
いずれにしよ、色んな意味で「規格外」で「天才」な漫画家であるのは間違いないだろう。
講談社公式の「【別マガ】「マルドゥック・スクランブル」大今良時が作画風景を公開!」