概要
『ハリー・ポッター』シリーズでは、杖や魔法薬を用いることで魔法を行使できる。熟練者であれば、呪文を唱えなくとも効力が現れる(無言呪文)。
呪文のほとんどがラテン語に由来した造語で、複数の語を組み合わせた造語もある。ラテン語はインド・ヨーロッパ語族に多大な影響を与える言語であるため、インド・ヨーロッパ語族の読者であれば呪文名から意味を想起することができる。
原書において、各呪文に対する魔法名は、
Spell - 対象者/物を変容させる魔法、および呪文全般
Charm - 対象者/物に働きかける魔法
Jinx - ユーモアのある呪い
Hex - 軽度の呪い
Curse - 強度の呪い、および闇の魔術
と分類されており、2006年に著者ホームページで定義が解説された。なお、例外もある。
呪文一覧
ア行
アグアメンディ(Aguamenti)(水よ/水増し)
杖から水を噴出させる。反対呪文は「インセンディオ」
アクシオ(Accio)(来い)
「呼び寄せ呪文」。離れた場所にある物を、自分側に呼び寄せる。
アナプニオ(Anapneo)(気道開け)
気管に食べ物などの障害物が詰まった際、その障害物を取り除くことができる。
アパレシウム(Aparecium)(現れよ)
透明インクで書かれた文字を強制的に出現させる。
アラーニア・エグズメイ(Arania Exumai)(蜘蛛よ、去れ)
白い光が杖先から飛び出し、蜘蛛を吹き飛ばす。
アロホモーラ(Alohomora)(開け)
扉にかかっている鍵を開けることができる。この呪文を無効にする呪文は「コロポータス」。
インカーセラス(Incarcerous)(縛れ)
対象にロープを巻きつけ、縛り上げる。対象の首にロープを巻きつけ、窒息に至らしめることも可能。
インセンディオ(Incendio)(燃えよ)
対象を炎上させる。煙突飛行粉にもこの呪文が使われている。反対呪文は「アグアメンティ」。
インパービアス(Impervius)(防水せよ)
水をはじくことができる。「防水・防火せよ」と唱えていることから防火の効果もある模様。
インペディメンタ(Impedimenta)(妨害せよ)
対象を妨害し、その人物の動作を遅延・一時停止させる。相手を吹き飛ばすことも可能。
ヴィペラ・イヴァネスカ(Vipara Evanesca)
効果は定かではないが、マルフォイが呪文「サーペンソーティア」で出現させた蛇を、スネイプがヴィペラ・イヴァネスカの呪文で消した事から、少なくとも蛇を消す事が出来ると思われる。可能性としては他にも、蛇が消える際に静かに燃え灰になった様に見える事から燃やす系統の魔法、また出現させる魔法の無効化等が考えられる。他の呪文がラテン語ベースでネーミングされていることからVipera = 蛇[Viper])+Evanesco = 消える、消滅する[Evanence, Vanish]となり、サーペンソーティアで出現させた蛇を消す際に用いる対の呪文であると考えられる。
ウィンガーディアム・レビオーサ(Wingardium Leviosa)(浮遊せよ)
「浮遊術」。呪文の発音がやや難しく、ロンは初めての妖精の魔法の授業ではよく発音を間違えて失敗していた(小説では「ウィンガディアム・レヴィオーサ」、映画では「ウィンガーディアム・レビオサー」と言い間違えた)が、トロールの戦いで使用した時は成功し、この呪文でトロールを気絶させた。
エイビス(Avis)(鳥よ)
杖から鳥を出す。
エクスパルソ(Expulso)(爆破)
対象を爆破する。
エクスペクト・パトローナム(Expecto patronum)(守護霊よ来たれ)
「守護霊の呪文」。守護霊を創り出す。守護霊は銀白色で半透明。形状は術者によって異なり、基本的には実在の動物だが、魔法生物になる者もいる。守護霊を出現させることで吸魂鬼を追い払うことができるほか、熟練者になると守護霊に伝言を託すことも可能。守護霊を創り出すためには幸福なことを思い浮かべる必要がある。そのため術者の精神状態や人間関係に影響されやすく、守護霊の形状が変化することもある。なお、ヴォルデモート及び死喰い人は、守護霊を出さない(スネイプを除く)。
エクスペリアームス(Expelliarmus)(武器よ去れ)
「武装解除術」。紅の閃光を放ち、対象の持つ武器を強制的に吹き飛ばす。術の当て場所や練度次第で、武器を持つ人間も同時に吹き飛ばして気絶させたり、吹き飛ばした武器を自分の手元に来させることができる。ハリーが得意とする呪文のひとつ。映画では作品によって術の表現が変わっている。
エネルベート(Enervate)(活きよ)
失神した者の意識を回復させることができる。反対呪文は「ステューピファイ」。
エバネスコ(evanesce) (消えよ)
その場にある物を消せる。反対呪文は「アパレシウム」。
エピスキー(Episkey)(癒えよ)対象の負傷部位に杖を向けて呪文を唱え、対象に応急処置を施す。
エマンシパレ(Emancipare)(解け)拘束から解放される。
エレクト(Erecto)(立て)対象を立たせる
エンゴージオ(Engorgio)(肥大せよ)対象を肥大させることができる。反対呪文は「レデュシオ」。
オーキデウス(Orchideous)(花よ)
花を咲かせる。
オパグノ(Oppugno)(襲え)
オブスキュロ(Obscuro)(目隠し)
対象の目を隠す。
オブリビエイト(Obliviate)(忘れよ)
「忘却術」「記憶修正術」。対象の記憶を修正・消去する。術者の力量次第では、対象の持つ全ての記憶を消去することも可能。忘却術は強力な魔法使いなら破ることができる。魔法省魔法事故惨事部には、魔法を見てしまったマグルの記憶を修正することを仕事とする『忘却術士』が勤務している。