概要
古代エジプトの第19王朝、第3代目のファラオ・ラムセス2世の第一王妃。
ネフェルタリは、アメン神の神后の称号を持ち、この称号によって、独立した多くの富と権力を授けられた。
ネフェルタリは夫ラムセスに深く愛されていたと見られ、王妃の谷のなかにあって、もっとも壮麗な彼女の王妃墓-QV66からもそれが窺える。ラムセスはこの最愛の妻を、「そなたが為、太陽の燿く者」と呼んだ。メリトアモンをはじめ、5人の息子と娘を儲けたが、ネフェルタリは若くして世を去ることとなった。
ネフェルタリの出自については、エジプト貴族の一員であったらしいことを除いて不明であるが、彼女が王妃の地位にあった間、ネフェルタリの兄弟アメンモセはテーベ市長の地位に就いている。
ネフェルタリの墓所の壁にも記されているように、彼女へのラムセスの寵愛は大きく、エジプト王妃を迎える婚姻には、便宜上の結婚や政略結婚のみでなく、愛情によるものもあったと見られる。
また、逝去した妃についてラムセスが詠んだ詩は、ネフェルタリの墓所の玄室内の幾つかの壁面を飾っているが、その一つは次のように述べている。
「余の愛する者はたゞひとりのみ。何者も余が妃に匹敵する者はなし。生きてあるとき、かの人は至高の美を持つ女人であつた。去りて、しかして余の魂を遙か遠くに奪ひ去りしが故 」
古代の絵において、ネフェルタリが常にラムセスの付き添いとして描かれていることより、彼女の王妃としての地位は揺るぎないものであったことが窺える。アブ・シンベルの地において、女神ハトホル(HaT-HoR)とネフェルタリ自身を称え記念して、新しい神殿(アブ・シンベル小神殿)の建造を命じるため、ヌビアに旅した際の航海の様子を描く絵の中にも、ネフェルタリが描かれている。
またネフェルタリは、アブ・シンベルの墓所と神殿の絵の両方にラムセスと同じ大きさで描かれており、こういった構図は極めて稀なものである。通常、ファラオの妃たちは、王の像や絵の膝ぐらいまでの大きさに描かれるもので、ラムセスと同じ大きさで描かれたネフェルタリの姿は、ラムセスにとって彼女がいかに重要であったかを示している。
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・・・小説作品。メイン画像の人物はこの作品の登場人物としての「ネフェルタリ」。ちなみに、この作品における彼女の夫はメイン登場人物の1人である。