概要
(株)拓洋興業/TAKUYOが開発・発売したPSP用恋愛アドベンチャーゲーム『月影の鎖-錯乱パラノイア-』(発売日:2013年4月18日)と、そのファンディスク『月影の鎖 -狂爛モラトリアム-』(発売日:2013年12月19日)の表題。狂爛モラトリアムのジャンルは「悲哀と激情の恋愛ADV」
2015年12月23日に『月影の鎖-錯乱パラノイア-』がVitaに移植された。続いて、2016年12月21日に『月影の鎖 -狂爛モラトリアム-』が、藤堂兄弟ルートや花柳街ルート等追加要素と共にVitaに移植された。
粗筋
本土から遠く離れた小さな島にある唯一の街『紅霞市(こうかし)』。
風光明媚なこの街は、良質な温泉と華やかな花柳街で賑わう温泉観光地として独自の発展を遂げていた。
しかしそれも昔の話。
大正末期の情勢不安からか、はたまた島を襲った災害のせいか、次第に客足は遠のき始める。
観光産業が主だった資源である島は、財政破綻の危機にまで陥り、住民に暗い影を落としていた。
しかし、彼等には一筋の希望があった。
島の治安と未来を想う若者達の集団『紅霞青年団(こうかせいねんだん)』。
特に、その団長である『神楽坂響』、彼の右腕の『望月理也』は、住民達の期待を一身に受けていた。
他にも、本土から派遣され、災害復興と治安維持にあたっている軍人『猪口渉』。
旅行者であるが、島で何らかの仕事を行っているという謎多き青年『榛名望』
島を揺るがす問題に、それぞれが自身の正義を掲げ向き合っていた。
そんな中、市長が呼び寄せた男が提唱した『駐屯地誘致案』を巡り、街は混迷を深めてゆく。
勿論それは、小料理屋『月の畔』の女将である主人公『冬浦めぐみ』も例外ではない。
幼い頃に両親を亡くし、大井川家に厄介となった彼女は、兄と呼び慕っている『大井川護』と共に穏やかな日常を過ごしていた。
彼女は、島を巡る騒動の渦中に巻き込まれてゆくことを未だ知らない。
これは激動の時代を必死に生きる人々の戦いの記録である。
(『月影の鎖-錯乱パラノイア-』公式サイトから引用)
登場人物
冬浦 めぐみ(ふゆうら めぐみ)※名前変更可能(初期設定だと名前呼び有り)
『月影の鎖』の主人公。
紅霞市の一角にある住居を兼ねた小料理屋『月の畔』で働く少女。17歳。
血の繋がらない兄と二人暮らしをしている。
神楽坂 響(かぐらざか ひびき)
声 - 新垣樽助
紅霞青年団団長。知識が豊富で能弁家。年齢不詳。
元々は地元の人間ではなく旅行者。震災があった際役人に代わり的確な指示を出し、人命救助や復興の手引きなどの役所仕事を1人で成し遂げた事で市民達から賞賛され英雄視されている。
それ以来、街の再建の為にと紅霞青年団の長に抜擢された。
片目は包帯に覆われ、着物の下も首まで巻かれた包帯の下には火傷の痕が残っている。
現在は団子屋に居候しており自身も団子が好き。
望月 理也(もちづき さとや)
声 - 松岡禎丞
神楽坂の側近。19歳。
紅霞青年団の幹部で切り込み隊長を務める。頭よりも身体を動かす方を得意としている。
真面目で礼儀を重んじる性格。神楽坂には軽口を叩く様子もみられるが信頼している反面、自分が人の役に立てているか不安に思っており自信を持てない傾向がある。
女性に興味はないが優しいので人気があり、神楽坂からはフェミニストだと言われている。
身長は低めで童顔なため年齢より幼く見える。幼少時から慣れ親しんでいた金魚が好き。
猪口 渉(いのぐち わたる)
声 - 浅沼晋太郎
陸軍軍人。22歳。
誠実で気配りに長けており部下からの人望も厚い。実家は紅霞市を発展させた有力者「猪口家」。
軍に入るため本土へ渡った際に勘当同然で島を出たが、その後震災の復興として島へ派遣され今に至る。実母が亡くなった後、父親の再婚相手が異国人だったためその血を引いている異母兄弟のノアという年齢の離れた弟がいる。異国人の母と腹違いの弟が永らく島民から差別を受けている現状をどうにかしたいと思っている。また、父親は1人で島を出ておりその後の消息は不明。
榛名 望(はるな のぞむ)
声 - 成瀬誠
月の畔の常連客。17歳。
観光客として島には5ヶ月前から滞在。主人公を気に入っており顔を見る度に口説いては悦に浸っている。自分のことはあまり話したがらず、何かと秘密が多い。
物事の考え方が負の方向に進む性質で、脆い面があり1人でいるのが苦手。
よく悪態を吐き皮肉を言う傾向にあるが、主人公に対しては浪漫的な発言もよくする。
渉とは本土に居た頃からの友達で仲が良い。甘味が好きで月の畔ではよく冷やし飴を頼んでいる。
大井川 護(おおいがわ まもる)
声 - 三浦祥朗
新聞屋。主人公の義兄。19歳。
いつも眠そうでだらけた素振りを見せている。
母である大井川螢が主人公を引き取った後は妹としてとても大切にしており、気を遣いすぎる主人公に対し家族には遠慮するなとよく口にしている。
仕事柄不規則な生活をしており、家事は主人公に頼りっきり。
また、店を継いでくれた事に関しては感謝しており一切の事を任せている。
深海 尊人(ふかみ みこと)
声 - 桐本琢也
西洋文化に精通したコンサルティング会社の社長。54歳。
紅霞市の財政建て直しの為、市長より招聘される。
菖蒲(あやめ)
声 - 進藤尚美
花柳街の『紅華楼』で働く元芸妓。38歳。
後輩の指導にも熱心な姉御肌。
猪口 ノア(いのぐち のあ)
声 - 広橋涼
猪口家に住む異国人との混血の子供。9歳。
兄が大好きで、一緒の時はいつもべったりしている。
藤堂 雅(とうどう みやび)※狂瀾モラトリアムVitaで初登場
声 - 佐藤拓也
残月島に呉服を売りに来る商人の男。
本土では有名な『藤堂呉服』を弟である樹と共に、一代で築き上げた商才を持つ成金の富豪である。
だがドケチな上に守銭奴であり、金持ちに優しく貧乏人に厳しく当たる節がある。
特に主人公に対しては何が気に入らないのか、非常に冷たく当たる。
相棒として鷹を勝っており、非常に風格のある長い名前がついているらしい。
藤堂 樹(とうどう いつき)※狂瀾モラトリアムVitaで初登場
声 - 神奈延年
残月島に呉服を売りにくる商人の男である雅の実の弟。
『藤堂呉服』のトップを務める雅の下につき、黙って兄の言葉に付き従っている。
物静かで冷静沈着。感情を表だしにすることは殆どなく常に無表情のため、何を考えているのか分からない節がある。
兄だけはその些細な機微を理解出来る様子だが……。
時々、後ろを向いて苦しそうにしている姿を見かける。