エルンスト・フォン・アイゼナッハ
OVA版で声優を担当したのは津嘉山正種
人物
ローエングラム陣営の主要提督の一人で階級は上級大将である(皇帝ラインハルト・フォン・ローエングラムの崩御後、最終的に元帥に昇進する)。極端に無口なことから、「沈黙提督」の異名を持つ。
原作では中盤まで出番はなく、後方支援や撹乱の任務についていたとされる。本格的な出番はマル・アデッタ会戦以降となる。ラインハルトの信頼も厚く、ラインハルトの人事にしばしば異を唱えるオーベルシュタインも、彼の元帥府への登用には全面的に賛成したとされる。
逆に言えば、良くも悪くも存在感の大きいビッテンフェルトなどとちがい、人材を広く求めることに貪欲なラインハルトの目にとまらなければ、栄達することはなかったとも言え、もし人を見る目がない人物が上司であったとすれば中級以下の指揮官で終わった可能性もある。
極端に無口なせいで、周囲からは気難しくて厳格な人物だと思われていた。
ただ、第2次ラグナロック作戦のときに、従卒の幼年学校生が合図を間違えてコーヒー2杯を出した際(本来は指を1回鳴らせばコーヒー、2回鳴らせばウィスキー、この従卒は言われた指示を間違えて指2回でコーヒーを2杯出すミスを犯している)には何も言わずに2杯とも飲んだという逸話がある。
従卒の緊張を慮って何も言わなかったのか、あるいは従卒にさえはっきり物を言えないほど気弱だったのかは定かではないが、少なくとも周囲の言うような厳格な人物にそぐわないのは確かである。
劇中で殆ど喋らないため彼の内面や考えをうかがい知ることは出来ないが、作戦行動中に酒を飲もうとしたり、部下に戦闘指示をするときすら喋らず、手振りや指を鳴らすといった方法で指令を下すなどわりと無茶な人物である。
ローエングラム陣営の上級指揮官においては数少ない既婚者で、ケンプ亡きあとは唯一の妻帯実子持ちとなる。同僚達のあいだでは、彼がどうやって夫人を口説いたのかは大きな謎となっている(妻帯者はほかに妻はいるが子のいないミッターマイヤーと息子はいるが妻は亡くしているワーレンのみである)。
時系列的にそれらより早い外伝において、補給艦の艦長をしていたころには既に「沈黙艦長」の異名で呼ばれている。
能力
見栄えよりも確実な戦果を重視する堅実な艦隊運用を身上としているが、他の提督たちほど前線での作戦行動は多くなく、陽動作戦・撹乱戦術・上陸支援といった後方支援に任用されることが多い。そのため派手な活躍とは無縁だったが、堅実な指揮能力によってただの一度も失敗がなかった。加えて、他の個性溢れる提督達と見事な連携戦法を取ることも多く、敵にとってはある意味一番えげつない相手である。
チェックメイト
回想を除いて原作において初めて喋ったのは新帝国暦3年5月18日16:00に「チェックメイト」と呟いたのが最初であり(特にOVA版ではこの一言以外台詞がない)、居合わせたビッテンフェルトやワーレン達が驚愕したほどである。この一言のためだけに俳優としても名高い津嘉山正種氏を起用している。
「チェックメイト」以外でも、ミッタ-マイヤーやミュラーの証言では、コーヒーカップを落とした際に「しまった」と呟いたことがあるという。
皇帝ラインハルトの前でも「御意( Ja )」と「否( Nein )」としか言わなかったとされる。
余談
なお、彼はジェスチャーによって艦隊を指揮しているが、それをどうやって伝えるのかと言えば、それは当然の事ながらアイゼナッハの周囲にいる副官達である。
常人なら何となくのイメージでアイゼナッハの言わんとする指揮内容の3割か4割くらいは考察できるであろうが、驚くべきことに参謀長は100%読み当てており、アイゼナッハも異論を唱えるそぶりを見せていない。
視聴者たちすら、「なんでそこまで分かる」と疑問を持つほどの読解力を有するほどに慣らされている。逆に言えば、彼らのような優秀な意思翻訳機が居なくなると、アイゼナッハ艦隊は司令官の意に反する行動により致命的なダメージを被ると言う事である。さすがにもしそのような窮状に陥った際は、沈黙提督自らの肉声による指揮が行われるものと信じたいが、あるいは物語の完結までそのような事態に至らなかったのも、彼の指揮能力の高さを暗に示しているものともとれる。