『インフィニットループ 〜古城が見せた夢〜』(インフィニットループ こじょうがみせたゆめ)は、2008年7月24日に日本一ソフトウェアから発売されたアドベンチャーゲーム。
幽霊になった主人公が周りの人間に憑依し、城内を探索していく。
憑依といっても相手としゃべったり、相手を支配するということはできず、相手と一緒に動くことしかできない。憑依中の人物に夢を見せることで、間接的に悲劇を回避することが目的となる。
タグとしては「インフィニットループ」が使用されている。
物語
これは、とある王族社会の古城で起こった物語――
古き堅牢な城を中心とした辺境の国「リゼーブルグ王国」。
蛮勇で名を轟かせた時代は過ぎ、今は農業や商業が盛んな国として、平穏な日々が続いていた。過日、国王の崩御により国葬が執り行なわれたが、悲観する国民はいなかった。
国王には、国民に慕われていた世継ぎの王子がいたからだ。既に隣国の姫君を婚約者として迎え入れており、王位継承後に婚儀も行なわれると考えられていた。
しかし、そんな矢先、城内で死者が出る――
原因不明の突然死。外傷はなく、遺体は皆一様に恐怖で引きつったような表情をしていた。突然死していく病に恐怖し、王宮に近づく者は減っていた。城下からも人の姿が消え、国からの人の流出は国力の衰退を助長。
この病に違和感を持った若き王子ウィリアムはその原因調査に乗り出すものの、突如出くわした死神の目を見てしまい、死亡してしまう。
……気が付くと、王子は幽霊の状態になっていた。
彼は自分の遺体を見つけたメイドの背後につき、自分の死後の状況を見て回ることになる。
そのメイドが偶然立ち寄った占い小屋で、王子は自分の存在を認識できる占い師の言葉を聞く。
この流行り病は死神のせいであること。死神はまだ存在していること。
そして、どうやら死神に会い、命を落としたものの、幽霊となったのは王子のみであり、王子がそのような状況に置かれているのは何か意味があるのかもしれないらしい。
王子はその後もメイドと行動を共有し、慕ってくれていた妹姫や婚約者の深い悲しみ、王子の死による城内外の動揺の様子を知る。そして4日目の夜を迎えたとき、王子の婚約者が服毒死してしまう。
王子は悲劇のショックからか、深い闇に落ちていった。
……気が付くと王子は、自分の遺体を見下ろしていた。その光景は死神と出会い、幽霊となった直後のものだった。同じ時間を繰り返すようになった王子は、2度目に会った占い師に、他人に憑依する方法と憑依した人物に意図した夢を見せられることを教わる。
そして王子は4日後に起こるであろう婚約者の死を思い止まらせるため、城内の人物に憑依して干渉することになる。
その悲劇を回避した後も、次なる悲劇の円環(ループ)が待っていることも知らずに……。
登場人物
ウィリアム
主人公。リゼーブルグ王国の皇太子。18歳。愛称はウィル。
父王が死に、王位を継ぐところだった。父王からの直系の王族は、ウィリアムとヴィーネのみである。正義感が強く、人望も厚い。流行り病の調査に乗り出し、王位継承の前日に死神と遭遇して命を落としてしまう。
セレスティア(CV:松岡由貴)
隣国の姫君。17歳。愛称はセレス。少し気弱な性格である。自国には、老いた父王と皇太子である弟がいる。
ウィリアムの婚約者であり、彼を心から慕っている。乙女らしい外見だが、カエルを平気で手づかみできるなど、意外な一面もある。
ヴィーネ(CV:真堂圭)
リゼーブルグ王国の姫君。正式名称はヴァネッサ。9歳。お兄ちゃん子であり、婚約者のセレスティアが気に入らない。
遊びたい盛りで、興味はもっぱら大人の男女の話。ときどき”早く背が伸びる薬”や過激な情事の本などを購入し、メイドのアイシャに没収されている。まだ、おねしょが治らない。
アイシャ(CV:荒井静香)
王城に仕えるメイド。18歳。おもに城に住む王族たちの世話係である。
心やさしく、気立てもいい。ウィリアムの遺体を最初に発見する人物でもある。
ちょっとぽっちゃりで食いしん坊なところがあり、王族たちが残した食事をこっそり少しだけいただいていたりする。
グラント(CV:吉川裕朋)
王城近くの小さな領地を収めている貴族。30歳。この年齢でまだ独身。爵位は公爵。
財力が乏しく、そろそろ貴族としてやっていけないかもしれない。 先王の時代、若くも王に気に入られ、発言力があった。
ネルズ(CV:麻生敬太郎)
宰相の地位を持ち、先王の時代から政治を任せられている。爵位は男爵。58歳。
ネルズもまたこの歳まで独身である。騎士としての功績もあった。賢く、政敵には容赦ない。
タチアナ(CV:長島伸子)
先王の時代から、王城内の隅に占い小屋を許され、住んでいる。年齢不詳。
少しばかり世捨て人な性質がある。家族はもう居ないらしい。歴史あるジプシー。
メアリ(CV:香坂夏希)
王城に勤めるメイド。玉の輿を狙っており、時々仕事をサボっている。
別の職を探そうと思っていたが、流行り病の騒動でメイドが減って忙しくなり、逃げ遅れた人。
アイシャを残していなくなることが出来ない、義理堅い一面もある。
ジミー(CV:里見圭一郎)
本名はジェイムズ。31歳。王城に勤める衛兵。主に門番として城の警備に当たっている。
ヴィーネやセレスティアのためならば命を捨てられると思っている。その性格が仇となり、ネルズに良いように扱われるところがある。
ペリテ(CV:窪田吾朗)
政治と距離を置いている教会の司教。73歳。国の行く末を案じている。
多くの人が彼に相談に来る。また、司祭のくせに怖がりの一面もある
ルケス(CV:川村拓央)
成り上がりの商人。商売敵が消えた王国の現状をチャンスと考えるチャレンジャー。44歳。
王城の御用達になろうと様々な人に接触を図る。嫁と一人娘がいたが、仕事一筋で家族に逃げられている。仕事が終わったら、もう一度会いに行こうと考えている。
ドレン(CV:藤本隆行)
地下牢に囚われている囚人。10年以上地下牢に閉じ込められて、忘れ去られていた。52歳。
宰相ネルズの政敵であり、彼に負けた経緯がある。長い月日によって、恨みがつのっている。
自身に何が起きたのかは語ろうとしない。牢獄の日々が彼の口を閉ざしてしまっている。