作品解説
「CITY」は、週刊モーニングで連載されているあらゐけいいちによるガールズ・コメディ漫画である。あらゐは前作として「日常」を月刊少年エースにて連載していたが、同作品の完結に伴い、新しい作品として「CITY」の連載を週刊モーニング10月号から開始した。一つの町を舞台に複数の人物が物語を繰り広げる形式は前作を踏襲しているが、今作はそれら人物が噛み合わさって大きな歯車のような一つの物語になっているのが特徴である。
舞台
舞台はある一つの町、「CITY」。通称名としてのCITYなのか実際CITYという町なのかは定かではない。CITYには「CITY商店街」という商店街が存在し、この商店街を中心に物語は進んでいく。
- モクメセイ荘…御婆が経営する、木造2階建てのアパート。南雲やにーくらが住んでいる。
- モンブラン大学…南雲やにーくらが通っている大学。CITYキャンパスには 人文学部・工学部・モンブラン学部がある。
- 洋食マカベ…真壁鶴菱が経営する、ひょんなことから主人公の南雲がアルバイトをすることになった洋食屋。三階建ての建物で、一階が店舗、二、三階が住居部になっている。一階は出入口の他、持ち帰り用の商品受け渡し窓口がある。
- ビール 酒 ㈲安達太良ワイン…道路から見て洋食マカベの左隣に位置する、安達太良家経営の酒屋。昔ながらのタバコ屋を併設しており、面には自動販売機もある。洋食マカベと同じく住居併設型店舗で、三階建て。
- 戸村牛書房…道路から見て洋食屋マカベの右隣に位置する書店。ホビーショップなどが入居する煉瓦造りの四階建て雑居ビルの一階にある。「日常」の登場人物、桜井はじめの作品も入荷している様子。
- 株式会社バナナ…戸村牛書房の上の階に事務所を構える小さな出版社。CITY商店街の特集や占い、鬼カマボコ先生による『落胆くん』『ジャンプちゃん』などを掲載した「週刊CITY誌」を発行している。
- リサイクル 東堂商店…リサイクルショップ。店内には様々な商品が並ぶ。
- スタジオ唇泥棒…東堂商店の上にある、長野原大介が構える、漫画制作事務所。
- 本官の交番…交番。名前が非常にあやふやであるがいっぱしの交番であり、表には事件や事故を書き記す掲示板もある。西側は児童公園になっている。
- スーパー大菩薩…スーパーマーケット。大型駐車場の他、入口には証明写真撮影機が備え付けてある。
登場人物
モクメセイ荘三人組
南雲美鳥 (なぐも みどり)
二階建てアパート「モクメセイ荘」の201号室に住むモンブラン大学モンブラン学部2年生。非常にがさつであり、貯金を競馬でスってしまうことも。性格そのままのべらんめえ口調も相まって、「理想の女子大学生」からは程遠い。
にーくら (新倉)
南雲と同じアパートの101号室に住むモンブラン大学1年生。。南雲の後輩にあたる。少なくとも南雲よりは真面目でお人好しだが、策士な一面もある。
泉わこ (いずみ わこ)
南雲と同じアパートの204号室に住むモンブラン大学2年生。交番に落し物を届けた女性。天然ボケな不思議ちゃん。
洋食マカベ
真壁鶴菱 (まかべつるびし)
洋食マカベを経営する男性。口ひげが特徴で、交番の前任の警察官とは顔なじみであった。
真壁母
鶴菱の妻であり、兄妹の母。研究者らしく、よく掘り出した埴輪などを真壁家に送り付ける。
御婆 (おばば)
真壁家母方の祖母。真壁家に同居している。同時に南雲らの住むアパートの大家でもあり、南雲には手を焼いている。異常なほど強い。
真壁立涌 (まかべたてわく)
真壁家の長男で高校生。くりんとはねたアホ毛が特徴。サッカー部だが家の手伝いでなかなか顔を出せないでいた。よく路地でサッカーの練習をする。
真壁まつり (まかべ まつり)
真壁家の長女で立涌の妹。中学生。前髪ぱっつんのおさげが特徴。
酒の安達太良
安達太良博士 (あだたらはかせ)
酒屋のご隠居であり発明家。高齢ながら機械を扱い、真壁兄妹へ仕掛けたイタズラをカメラで眺めながら楽しんでいる。しかし朝に弱く、安達太良母にはいつも〆られている。
安達太良父
酒屋の主人。口ひげに丸めがねが特徴。父親譲りで朝に弱いが、妻の「目覚まし攻撃」には慣れっこらしく寝ながらの攻防戦を繰り広げている。
安達太良母
酒屋の嫁。五人の子供の育て役にして安達太良家唯一の突っ込み役でもある。どったんばったん大騒ぎな子供たちと夫、ご隠居に世話を焼いているニッポンの母。
安達太良達太(あだたら たつた)
酒屋の長男で跡取り。頬に切り傷がある。安達太良家の子供の中では頼りになる兄として、弟たちには日頃から手を焼いている。
安達太良良太 (あだたら りょうた)
酒屋の次男で立涌の同級生。紙飛行機やコーヒー淹れが得意で、クラスメイトには「現代のウィリアム・テル」と評されるほど。
安達太良かもめ
酒屋の長女で新社会人。芸能プロダクションで、しあのマネージャーを勤める。いつもにこにこしていており、マイペースでおっちょこちょいな性格。実家ではしょっちゅう皿を割っている。
安達太良そら・安達太良うみ
酒屋の次女。双子で、髪型はしあのロングヘアの真似をしている。小競り合いが絶えず、毎日母に小突かれている。
その他CITYの住人
東堂
リサイクルショップの主人。りりしい出で立ちで、猫を一匹飼っている。
本官 (ほんかん)
交番勤めの警察官。名前は不明。前任のタナベ警察官に代わりCITYに赴任してきたばかり。よく洋食マカベの出前を注文する。「何ごとも無きように」が彼の願い。
タナベさん
交番前任の警察官。富豪であり、CITY詩の提供をしたり、さまざまなイベントを開催したりなどCITY市の活性化に努めている。また警察官という立場を利用して、いい人や南雲に表彰を贈ろうとポスターを作製した。
穂高(ほたか)
タナベさん付きの執事。表彰する相手にホタカチェーンという技を駆使する。
出版社である株式会社バナナの従業員。ヘルベチカスタンダードのものとは異なり目に活気がある。編集長が「誰も信じない」と言っている占いを信じたりする一面がある。
轟 (とどろき)
株式会社バナナの新人。鬼カマボコ先生の編集担当で長野原大介の大ファン。
しあ
絶賛売出し中の芸能人だが、仕事には消極的。泉わこの同級生で、彼女が立案した「爆発くん」を商品化し、自身もグッズを着用している。安達太良かもめがマネージャーを務める。
鬼カマボコ先生 (センセー)
南雲と同じアパートの203号室に住む漫画家。ベレー帽をかぶっており、いつも涙を流している。代表作は『落胆くん』かなり続いた模様である。
長野原大介 (ながのはら だいすけ)
超ドメジャーな漫画家。「スタジオ唇泥棒」という漫画制作事務所を構えている。
泉りこ (いずみ りこ)
わこの妹で、立涌の同級生。寝ていることが非常に多い。
南高校2年4組クラスメイト
立涌の同級生たち。主要な面々は黒髪ショート、青髪ぱっつんの女子と男子二人の計四人。立涌たちと青春を満喫している。
えっちゃん
まつりの同級生で親友。帰宅部のエースで、二人でさまざまな冒険をくりひろげる。
クイズ王
モンブラン大学2年生。空手部であり腕には自身があるが、御婆には一度として勝ったことがない。クイズで挑もうとしたがすぐにねじ伏せられた。
蓼科神威(たてしな かむい)
モンブラン大学1年生。クイズ王と親交を深める。実は鬼カマボコ先生の続投が決定したのは彼のおかげ(せい?)。