深緑の智将グリニデ
冒険王ビィト前半にて登場した強力な魔人(ヴァンデル)。魔人の中でも最強クラスに位置する七ツ星の魔人であり、奸智に長けた強敵である。
粗暴で品性に欠ける者が多い魔人という種族の中では珍しく紳士的でインテリジェンスを感じさせる異名通りの”智将”である。繁殖力に優れた植物系・昆虫系魔物(モンスター)を駆使して”黒の大地”と呼ばれる地域を荒らし回っており、その巧妙かつ情け容赦のない攻撃によって黒の大地の人口は10分の1にまで激減してしまった。
カリスマ性にも富んだ大物魔人であり、魔物のみならずスゴ腕の魔人、果ては人間をも配下に従えている器の大きなキャラクターである。
性格は怜悧冷徹だが、一方で大変な激情家でもあるため、激怒しそうになると部下のモンスター:ダンゴールに八つ当たりすることで冷静さを取り戻す一幕も。自分の本性を知りつつも、それを押さえつけて理想の自分にならんとしている努力の人でもあるのだ。
理詰めの戦い方を好んではいるものの、実はとてつもない怪力の持ち主であり、力任せに暴れられると誰も手が付けられなくなる。
黒の大地に踏み込んだビィト達を幾度となくその知性で追い詰めた強敵であり、個性的なキャラクター造形から読者人気も高い魔人の一人である。
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ロズゴート「・・・おまえの記事だけで説明されてもなぁ・・・」
「・・・お・・・・ま・・・・・え?」
「『おまえ』だとおオオオオオオォォオオッ!!!?」
ネタバレ
血塗られた獣グリニデ
”深緑の智将”・・・・それは自分の本性を忌み嫌ったグリニデ自身が努力によって己を律した姿である。彼の本性は、獰猛な戦闘本能と底なしの怒りによって暴れ狂う”最も魔人らしい魔人”なのである。
普段のグリニデは凶暴な本性を抑えるために精神安定作用のある薬草トラキラの樹液に体を漬け込んで緑色の外皮をまとい、精神を落ち着けていたのである。だが、ひとたび怒りが頂点に達すると体の筋肉が異常膨張し、真っ赤な本体があらわになるのだ。
本当の通り名は、真っ赤な血潮にその身を染めた様から名付けられた”血塗られた獣”。
この状態になると冥力の全てを肉体強化に活かしたことから得た超怪力で所構わず暴れ回るため”厄災”としか言いようのない被害を周りに撒き散らすことになる。肉体の頑丈さも魔人の中で最強クラスであり、生半可な攻撃では傷もつけられない程である。
単純だがそれ故に厄介極まりない能力であり、力量で劣っていたビィト達は半死半生の目に遭うことになった。
・・・しかし、怒りの赴くままに暴れまわるしか能の無い野獣であった自分を厳しく律し、深緑の智将と自称しうるまで知略と度量を磨き続けたグリニデの苦労を思うと、いささか胸が痛む姿でもあった。実際、怒りにまかせて長年の努力の結晶を破壊してしまった際のやるせなさは言語に絶するものがあり、悔し涙と無限に吹き出る怒りで暴れ狂う彼の背中は凄絶と言うよりもの悲しいものであった。
そのインパクトのある容姿と、どこか哀愁の漂うキャラクターから、グリニデは読者にとって忘れがたい人物の一人になったと言えるだろう。
本人も「魔人の典型」と自嘲した凶暴な本性の一方で、その凄まじい暴虐さを自ら律していた理性、そして知性面で優れていたのは紛れもない事実であり
・古代の魔人の古文書をキッスに解読させ、魔賓館に頼らないモンスター製造技術の復活を目指す
・その古代技術の確保の為に黒の地平の広大な土地を自らの支配地とする
・有能であれば人間でも同族である魔人とほぼ同じ待遇で迎え入れる
・製造技術の実験と勢力拡大を兼ねて戦闘力は低いが繁殖力の高い樹の章の魔物を制覇する
・基本的に魔札は札束のまま出す魔人の中では珍しく小出しで魔物を買い、研究費用などの必要経費を確保する
という他の魔人ではまず見られない行動を見せており、魔人博士ノアなど他に研究面で優れた魔人は存在しているが、ここまで戦略的に動いたのはグリニデただ一人である。
そのせいか、魔賓館館長であるシャギーからはその知略家としての面をもどかしく思われていたようで、作中ではビィトをぶつける事でわざとグリニデを怒らせたかった節があり、彼が激怒し本性を露わにした際は非常に喜んでいる。