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佐福(四十七大戦)の編集履歴

2018-01-19 21:34:21 バージョン

佐福(四十七大戦)

さふく

都道府県擬人化WEB漫画『四十七大戦』に登場する佐賀さん×福岡さんのBL(腐向け)カップリング。

概要

「福岡には触れさせない」

「佐賀は呼べばすぐ来るしな」


都道府県擬人化WEB漫画『四十七大戦』に登場する佐賀さん×福岡さんのBL腐向け)カップリング。


言動からして飾り気がなく、無口無表情がデフォルトの素朴で実直な青年だが、戦闘中はその寡黙な雰囲気を一変させ、武士の「死ぐるい」の如く苛烈に猛々しく剣を振るう佐賀さん。

鉄火肌で喧嘩っ早く、九州トップとしてのプライドの高さが滲み出る派手な風貌をした青年だが、他のゆる神に対する仕種や表情にどこかアンニュイな色気が漂い、戦闘中も極めて鷹揚に構えている福岡さん。


見た目も性格も対照的なゆる神様だが、手の甲に浮かぶ親密度の紋が示すとおり強固な絆で結ばれている。


※作品及びカップリングの腐向けタグが確定次第、現在のタグは変更する予定です。


本編での描写

以降ネタバレ注意











●第漆話(単行本第2巻収録)

★博多駅前にて

記念すべき佐賀さんと福岡さんの初登場シーン。

野次馬が群がる博多駅前で、アイスクリームを食べ歩いている福岡さんの姿が確認できる。佐賀さんは吹き出しの陰に隠れているが、後に鳥取さんと対峙する場面で彼もアイスを口にしていることから『往来の多い博多駅前でアイスクリームを並んで食べ歩く成人男性ふたり』という図であることがありありと想像できる。

このシーンに限らず、第漆話における佐賀さんは吹き出しの陰にいることが多い。単行本をお持ちの方には是非佐賀さんを探して頂きたい。

ちなみに第2巻発売特典イラストカード(九州限定の佐賀さん&福岡さんver.)には、上記シーンを彷彿させる場面が描かれている。画面奥から佐賀さんが見つめているのは勿論、目の前の……。

★対照的な私服と郷土の味

しっかりとセットされた金髪にサングラス、両耳のピアス、複数の指輪、そしてライダースジャケット。

人目を引く派手な装いの福岡さんに対して、佐賀さんは黒髪に黒のタートルネック、ジーンズという極めて飾り気のない服装で登場する。ふたりのファッションには、各々の性格や嗜好の違いが如実に現れている。

また、作中で佐賀さんが食べているアイスは佐賀に、福岡さんが食べているアイスは福岡にそれぞれ本社を置くメーカーの看板商品である。

ふたりは共に時間を過ごす時も自分の好きなものを身に着け、好きなものを食べている。頑固者と評される佐賀さんからも俺様と評される福岡さんからも、自分の好みを相手に押し付けようとする様子は見受けられない。時間や空間を共有しても互いの嗜好には干渉しない、ふたりの絶妙な関係性が窺える。

★佐賀さんの強みと福岡さんの理解

「影の薄さでは負けていない」

「佐賀の位置は九州人でも特定できないことに定評がある」

佐賀さんのことを指した上記の福岡さんの発言は、一聴しただけでは散々な評価を下しているように思えてしまう。

しかし「負けていない」「定評がある」という言葉から、福岡さんは佐賀さんの「影の薄さ」という個性を佐賀さん自身の強みとして見ていることが分かる。

後述する第捌話の戦闘においても、佐賀さんの技を福岡さんが当人に代わり詳しく解説するシーンが見られる。福岡さんは佐賀さんの個性を受け止め、理解し、それを強みとして評価していると考えられる。

更に、福岡さんと対峙した鳥取さんの逃走を阻む位置に始めから佐賀さんが立っていたことにも注目したい。ふたりが会話を交わしていないことから、アイコンタクトによる意思疎通、あるいは福岡さんの思考を汲んだ佐賀さんが自ずから望ましい立ち位置を選んだのではないかと推測できる。

★親密度MAXの紋

鳥取さんの逃走を阻止し、口の端のアイスを拭った佐賀さんの手の甲に紋が浮かび上がる。

県同士の親密度が最高値に達していることを証明する『親密度MAXの紋』である。

佐賀さんと福岡さんには既にこの紋が刻まれているため、初登場以前からふたりが固く深い絆によって結ばれていたことは疑う余地もない。

ちなみに福岡さん側の紋については第捌話にて確認することができる。

★対照的な戦闘服

和帽子のようなギャリソンキャップに丈の短いジャケット、シンプルかつ機能性を重視したモノトーン基調の戦闘服を身に着ける佐賀さん。

ベレー帽に膝丈ミリタリーコート、スタッズベルト、ボンテージパンツを組み合わせたパンキッシュスタイルの戦闘服に身を包む福岡さん。

私服と同様に対照的な出で立ちであり、互いの個性を引き立てている。第漆話ラスト3ページに描かれた戦闘服姿のふたりのツーショットは圧巻の一言である。

後にも記載するが、戦闘時の福岡さんは太腿や膝下を黒いベルトで締めつけるようなボンテージパンツを着用している。足を組む、歩くといった動作に合わせて黒いベルトが足のラインを強調し、非常に煽情的に見える。彼自身の高圧的な台詞や振る舞いも合わさり、一部の福岡さんクラスタからは「SM女王様を思わせる」「踏まれたい」との意見も上がっている。




●第捌話(単行本第2巻収録)

★ふたりの力関係

鳥取さん・島根さんとの戦闘開始前、ふたりは闘技場へと至る扉の前で会話を交わす。

革張りのソファに腰かけて長い脚を組み、背凭れに腕を回したやや気怠げな雰囲気の福岡さん。彼のローアングルショットにM心をくすぐられる人は決して少なくないだろう。高圧的態度と傲慢な物言いで佐賀さんに命令(オーダー)を下すその姿は、まさしく"福岡様"である。

そして福岡さんのオーダーに恭順し、剣を携える佐賀さんの姿はどことなく"騎士"という存在を見る者に連想させる。

ふたりの力関係(パワーバランス)が明らかとなったシーンであると同時に、佐賀さんの雄々しさと福岡さんの艶やかさが垣間見える場面でもある。高慢な印象の言動に目が行きがちになるが、福岡さんの手の仕種や足の動作には色気を感じさせるものが多い。じっくりと観察していただきたい。

★佐賀さんの宣言

福岡さんを背にし、剣を構えて敵の元へと疾走する佐賀さん。瞳孔を見開き、鋭い目つきで戦う相手を見据え、彼は宣言する。

「福岡には触れさせない」と――。

口下手とされる佐賀さんが、決死の覚悟とパートナーである福岡さんへの切なる想い(あるいは執念か)をあらわにした決定的な一言だ。

「絶対に」「指一本」等といった飾りを一切排した言葉は、かえって内に秘められた信念の力強さを物語る。

ここであらかじめ踏まえておきたい点が2つある。ひとつは、福岡さんが佐賀さんの5倍以上の人口を抱え、2つの政令指定都市を持つ自他共に認める九州の雄であるということ。もうひとつは、福岡さんは身体的にも佐賀さんより背が高く、体格も悪くない、立派な成人男性の見た目をしているということだ。

佐賀さんはそんな福岡さんを庇うように己の背にし、全力を以て戦いに臨んでいるのである。それは人口の多少や性別、体格差などは関係なく、福岡さんという存在を守ろうとする佐賀さんの信念の表れである。

この背景と、前述の佐賀さんの台詞から、佐賀さんが福岡さんに対し並々ならぬ情を抱いていることは明らかだろう。

このシーンにより、彼らの外的なパワーバランスではなく、内的な矢印のベクトルに重きを置いて「佐福」としたクラスタも多いのではなかろうか。

★福岡さんの惚気

斬った対象をイカの活き造りにする佐賀さんの剣技"呼子斬(よぶこスラッシュ)"を、無口な当人に代わって福岡さんが解説する。

自分のことを語るかの如く得意げな表情で、しかも歴史背景に至るまで詳しく佐賀さんの技について語る福岡さんの様子は、一部佐福クラスタ間において「惚気だ」「彼氏自慢だ」と囁かれている。

★ふたりの信頼関係

島根さんが放った弾(牡蠣)が福岡さんの眼前に迫ったところを、咄嗟に投げた短刀で佐賀さんは見事に弾く。

自らも前方からの攻撃に晒される可能性があるにも関わらず、佐賀さんは振り向きざまに短刀を投げ、背後にいた福岡さんが被弾することを阻止している。

「福岡には触れさせない」という先の宣誓を行動で示した佐賀さんと、目の前に弾が迫っても全く微動だにしなかった福岡さん。ふたりの親密度の高さや互いに対する信頼が浮き彫りとなった、非常に印象的なシーンであると言える。

佐賀さんが取り逃した弾を「差し入れ」と言い換え、「"いつもの"貧乏性か」と評して流す福岡さんの懐の深さにも注目しておきたい。

★佐賀さんの獲物

戦闘中の佐賀さんの表情を見ていると気付くことがある。彼の瞳孔が開くのは、福岡さんが関わる時ばかりなのである。この傾向は、福岡さんに向けられた強い情念が表れた結果だと見て取れる。

「佐賀もんの通った道には草も生えぬ」

「獲物は一匹だって逃がさないんだからよ」

佐賀さんの行動を受けて福岡さんが発した言葉であるが、果たして佐賀さんにとっての"獲物"とは取り逃した弾であったのか。それとも、弾道の先にいた福岡さんであったのか……。

余談だが、短刀を投げた佐賀さんの後ろでソファに座っている福岡さんの姿を拡大し、確認していただきたい。よく見ると、佐賀さんが差し入れた牡蠣をちゃっかり食べている。可愛い。

★福岡さんのデレ

負傷した佐賀さんに対し、福岡さんは「……佐賀ァ、そろそろ交代するか」と呼びかける。

ここで気付かれた方も多いのではなかろうか。そう。この言動は明らかに福岡さんの"デレ"である。

戦闘突入前の会話シーンにおいて、福岡さんは以下のことを佐賀さんに命じていた。

「俺様が飽きる前に終わらせろ」

「(面白い相手なら)粘れ。俺様の血が滾るまで」

しかし、いざ佐賀さんが大怪我を負うと自ら交代を促し、助け舟を出そうとしたのだ。

「交代するか」という呼びかけは命令ではなく提案であり、あくまでも決定権は佐賀さんに委ねられている。この点から、福岡さんにとって佐賀さんの存在が決して軽いものではなく、彼を都合のいい駒として見ているのではないということが一目瞭然である。

また、今回の鳥取さんとの戦いに自分が終止符を打つと決断した福岡さんは、小さく手を振りながら「佐賀、いいぜ。見てろ」と呼びかけ、再び剣を振るおうとしていた佐賀さんを止めている。この時の"小さく手を振りながら"という福岡さんの行動に注目していただきたい。何気ない仕種ではあるが、そこからはしっかりとパートナーに対するぬくもりを感じられる。

★続・福岡さんのデレ

戦闘開始後、福岡さんは四度も佐賀さんに呼びかけている。この呼びかけは、口下手な佐賀さんの意思を確認するために、福岡さんが意識的に行っていることではないかと考えられる。福岡さんの佐賀さんに対するささやかな気遣いは、作中ところどころに隠されている。

ふたりの関係は佐賀さんからの想いの一方通行ではなく、その熱量に差はされども想いを向け合う相互関係であることが窺える。




●第玖話(単行本第3巻収録)

★九州の意識の向き方

大分さんのイメージ図により、九州のゆる神たちの意識が福岡さんへ一極集中していることが分かる。(1名除く)

この図における各県の『意識の向き』を示した矢印は、訓練された腐女子の皆様には『好意の向き』として見えてくることだろう。

念頭に置いていただきたいのは、福岡さん自身の矢印の向きである。佐賀さんとどれほど親密な関係にあっても、福岡さんが第一に意識しているものは自分自身であり、それこそが福岡さんというゆる神の持つ個性、そして本質なのである。

しかし、福岡さんが佐賀さんに対し、一番とはいえずとも少なからず意識を向けていることは明白である。

大分さんに「自分以外見てない」と断言されている福岡さんだが、前述した第捌話の戦闘シーンでは佐賀さんの活躍から目を離していない。それどころか、まるで自慢するかのように彼の剣技について説明していることを忘れてはならない。

★連合として歩むふたり

佐賀さんが福岡さんに併合されていないことが判明する。

この事実は、佐賀さんは福岡さんに強制されて付き従っているのではなく、あくまでも自主的に行動しているということを立証するものである。

つまり第捌話の戦闘における「福岡には触れさせない」という宣言も、その宣言を裏切らない行動も、佐賀さん自身の意思によるものだと言える。

★親密度の紋の発現

審判者スターベックスは、紋の仕組みについて次のように語る。繋がりが深い県同士であれば戦いを経ずとも勝手に出るものだが、ライバル意識が妨げとなり発現に時差(タイムラグ)が生じることがある、と。

相手を併合する戦いを経ずとも紋が発現していたことから、佐賀さんと福岡さんの間には対抗意識を起因としたタイムラグは発生していなかったと考えられる。

第玖話時点で佐賀さんと福岡さんの内心が全て明示されたわけではない。

しかし、彼らが互いに向けて抱いている感情が、親密度の紋の発現を妨げるものではないことはまぎれもない事実である。

★親密度MAXの根拠

「佐賀は呼べばすぐ来るしな」

「…福岡は都会で尊敬する」

親密度が最高値となった理由は一体何かと尋ねられ、ふたりはこのように語っている。

福岡さんは佐賀さんとの物理的な距離の近さに加え、「呼べばすぐ来る」という佐賀さんの忠実さや誠実さ、熱意を評価しており、佐賀さんは福岡さんが都会であることやそこへ至るまでの努力を評価し、純粋な敬意を表しているのである。

ふたりが互いについて語る言葉は決して多くはない。されど、その少ない言葉の裏側には、ふたりが共に過ごしてきたであろう長い月日と、彼ら自身が積み重ねてきた努力の功績を感じられる。

また、佐賀さんは福岡さんについて「イオンの品揃えがいい」とも語っている。これは佐賀さんが福岡さんの観光スポットや代表的な繁華街だけではなく、地域レベルのショッピングセンターの品揃えまで把握し、評価していることの証である。

佐賀さんは福岡さんの内部まで踏み込み、その生活をも知り尽くしているのである。

★太宰府スタベデート

ふたりが親密度MAXの紋について尋ねられている場所は、その特徴的な木組みの内装から『スター●ックス 太宰府天満宮表参道店』であることが分かる。

第漆話で「博多駅前アイス歩き食いデート」をしていたふたりは、それよりも前に「太宰府スタベデート」を決行していたのである。

あちらこちらでプライベートの時間を共有するふたりの親密さは言わずもがな。仲良しさんです。




●第拾話(単行本第3巻収録)

★続・ふたりの信頼関係

大分さんが併合されたことを知り、激昂する福岡さんの姿が描かれた回想シーンに注目していただきたい。

怒り心頭のあまり暴挙に出ようとする彼を押しとどめる長崎さんと、その状況を静観している佐賀さんの存在を確認できる。

兄弟である長崎さんとは対照的に、福岡さんの感情をあらわにした振る舞いにも動じず、彼の怒りを制止することもせず、黙して傍らに立つ佐賀さん。これは佐賀さんが誰よりも何よりもまず先に自身のパートナーである福岡さんの感情に寄り添い、理解を示し、その意思を尊重していることの表れではないか。

回想シーン中の福岡さんの状態に関して、怒りの感情で正常な判断ができていない・爆発寸前で危なっかしい・そのままの勢いで乗り込むのは無謀である、といった意見はもっともである。

しかし、こういった思考はたとえ福岡さんのためを思ってのことだとしても、彼の心情を真に汲んだものとは言い難いだろう。

パートナーの心を否定せず、愚直なまでに信じ抜くこと。それこそが、ふたりの信頼関係におけるルールなのかも知れない。第捌話において「やれる。痛くない」と応えた佐賀さんの意思を、福岡さんが決して無下にしなかったように――。

更に、行動を制止しなかった理由として、福岡さんの戦闘能力や思考力・判断力等に対する信頼も背景にあるのではないかと考えられる。佐賀さんは「呼べばすぐ来る」と言われるほどに近しい距離で福岡さんの姿を見続けてきた。それゆえにパートナーの実力を熟知しており、感情を尊重する一方でたとえ勢いのまま乗り込んだとしても「負けるわけがない」と冷静な見方をしていたのではないだろうか。

また、この回想の一コマにおいては佐賀さんの表情も気になるところである。福岡さんと長崎さんのやりとりを見つめる視線は、何とも言い表しがたい感情を含んでいるように見える。




●第拾壱話(単行本第3巻収録)

★ふたりに関する第三者の証言

佐賀さんと福岡さんの共演こそ無かったものの、各々の特徴や性質が第三者により語られ、ふたりの関係性を指し示す有力証言が次々と挙げられた回である。

証言①「佐賀さんもそれを知っているから福岡さんと」

人口減が騒がれ出す50年以上も前から、先を見据えた街づくりに挑み続けてきた福岡さん。

『第二の東京』ではなく『唯一の福岡』を目指して個性を磨き上げてきた福岡さんの実力は、大分さんや長崎さんも認めるところである。

明言された事実を受けたうえで、ふたりの関係性について言及したのが上記の鳥取さんの台詞である。

今日の姿に至る福岡さんのたゆまぬ努力と青雲の志を隣県の立場で見てきたからこそ、佐賀さんは福岡さんを信頼し、尊敬し、全身全霊をかけて彼を支えていこうと心に誓っているのではないだろうか。

証言②「だからあいつ福岡しか見てないんだって…」

佐賀さんがいかに頑固であるか語られた後の大分さんの言葉である。

上記の台詞は、佐賀さんが『福岡さんの意見しか受け付けない』ことを表しているのか。それとも『福岡さんのことしか見ていないから自分の外見には無頓着である』ことを表しているのか。その真意については、まだまだ考察の余地があるものとする。

いずれにしても、佐賀さんが"福岡さんしか見ていない"ということは第三者からすると一目瞭然なのだろう。一見何を考えているか分かりづらい佐賀さんだが、この事実は彼が福岡さんに対して抱く執着めいた想いを浮き彫りにするものである。




●第拾弐話(単行本3巻収録)

★5文字の返信

山口さんとの交渉中、秘密裏に佐賀さんへメールを送信する福岡さんの小悪魔っぷりをご覧になっただろうか。

福岡さんの計算高くしたたかな振る舞いにも惚れ惚れすることながら、ここはふたりのメールのやりとりにも注目したい。

詳細を極力省いた福岡さんからのメッセージに対して、「分かった。」という一言のみを返信している佐賀さん。

一見するとただの応答のように思えるが、よく考えてみてほしい。『中国地方に攻め入る』という一大決定事項に、佐賀さんは詮索も反対もなく、たった5文字で了解を示しているのである。佐賀さんがいかに福岡さんの判断に信頼を置いているのかがよく分かる文面である。

また、このふたりのやりとりによって(当時から現在に至るまで)福岡さんが信用できる相手は、親密度MAXのパートナー・佐賀さんただひとりだけであることが判明した。誰にも言えない秘密を共有する、ふたりは共犯者なのである。

余談ではあるが、『去る者は追わず』を信条とする福岡さんだからこそ、いつも傍にいてくれる(呼べばすぐに来てくれる)佐賀さんの存在に信頼を置いているのではなかろうか。福岡さんから佐賀さんに寄せる信頼の厚さも、今回の短いメールのやりとりに表れていると言えるだろう。

★福岡さんのしたたかさ

交渉を持ち掛けてきた山口さんに対し、「いいぜ。ジジイの頼みだ」と相手からの頼みであることを強調した(相手に貸しを押し付けた)うえで、自分に有利な不戦協定を結ぶ。しかもその話し合いの最中に、自身のパートナーである佐賀さんに『中国地方に攻め入る』旨を連絡している。

一部から『脳筋』と呼ばれている福岡さんではあるが、このように狡猾でしたたかな策略家としての面があることを忘れてはならないだろう。ヤンキーのような外見と『俺様』な言動が目立ちやすいが、彼は自他共に認める九州のリーダーでもある。

このような交渉事において豪胆かつ冷静に話を進めることができるのは、福岡さんが数多の修羅場を自らの知恵と行動によって潜り抜けてきたことの証であろう。

佐賀さんは福岡さんの機知と経験から得られた判断力を疑っておらず、重大な決断に対するたった5文字の返信にも強固な信頼が滲んでいると受け取れる。

★福岡さんが抱えるもの

九州にとどめた山口さんに対して好物料理を供し、「煎餅でもかじりながらゆっくりしてな」と言い放った後に自ら煎餅(垂れ眉が印象的な博多銘菓)を持って現れる。

福岡さんはしたたかな面を覗かせる一方、ところどころで相手を慮る優しさもあらわにする。負傷した佐賀さんへ交代を促したことや人間の前で煙草を吸う描写がないことなどからも、彼の小さな優しさが窺える。

そんな相反する性分も手伝ってしまうのか、福岡さんが何らかの要因でストレスを抱えていることが第拾話と第拾弐話で描かれた煙草の吸い殻の多さから見て取れる。

自らの言動を上手く駆使し、交渉事を有利に推し進めることができる福岡さん。しかし、第三者に「福岡しか見てない」とまで評される佐賀さんが、パートナーの喫煙量や感情の揺らぎに全くもって気付かないということは考えにくいのではないだろうか。

★ファッションの共通点

作中の季節は夏に移ったため、福岡さんは『ФYKYOKA XITΨ(FUKUOKA CITY)』のロゴ入りタンクトップを着用している。これは彼の自県に対する愛と誇りを示すものに他ならない。

奇しくも、彼のパートナーである佐賀さんも『どん3の森』『小城』等の文字Tシャツを着用することが多い。もっとも彼の場合、福岡さんのような自己主張というより広告塔としての役割を担って着用しているのではないかと思われる。

ふたりのファッションの系統はまるで異なるが、双方とも自身のスタイルを貫いたうえで地名ロゴ入り服の着用に至っているのだから実に興味深い。これはある意味ペアルックではなかろうか。

ともかく自県のロゴ入り服を惜しげもなく着用していくスタイルは、共通点が全くと言って無いふたりの数少ない類似点であることが分かる。

※単行本3巻において、福岡さんのタンクトップのロゴに変更有。

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