概要
全14話(第7話から第8話の間に第7.5話があるため、話数は13話まで)構成となっており、これとは別に番外編や設定集がある。
作者のS.SHIMIZU氏自身は普段メカ系の作品を投稿しており、戦後生まれのため被爆者ではないが、個人的こだわりから当作品を投稿する7年前から8月6日になると広島原爆に関連した作品を投稿している(後述)。実際この漫画を執筆にあたり30年以上に渡り資料を調べるなどしたうえで執筆・投稿しており、人物や一部地名等はフィクションではあるが、当時の情勢や主要建築物等は事実に基づいたものとなっている。
登場人物
滝田家
元々は広島浅野家に仕える武士であったが、明治維新後は快田村(広島から約10km離れた架空の地名)に移住。そこで塩屋を営むようになり、明治21年に商店となり現在に至る。
滝田星(たきた せい)
本作の主人公で、広島光明高等女学校の1年生。昭和7年(1932年)9月15日生まれ。明朗活発な性格で、だれとでも仲良くなれる。建物疎開作業中に被爆し、左頬に火傷を負ったことやクラスメイト全員が死亡したショックなどから性格が歪むが、家族や新たに編入したクラスの仲間などに支えられ再び元気を取り戻す。
滝田精一郎(たきた せいいちろう)
星の兄で、唯一血が繋がった肉親。父親が借金を抱えて蒸発したため死を選ぼうとしたが、夜空を見て思い留まり、祖父の遺産などで借金を返済しその後結婚し2人の子を授かる。被爆当時は市内から35km離れた向原にいたため被爆を免れ、その後広島へ行き発見した星の看病にあたる。火傷を負った星に対する愛情は変わらず、戦後闇物品を売り捌き星の火傷を治療するための資金を稼いでいる。
滝田松子(たきた まつこ)
精一郎の妻で、星の義姉。星の母親代わりとして面倒を見る。被爆時は家にいたが、10km離れていたため無事であった。広島光明高等女学校出身で、被爆した星のために自分が着ていた服を新しい制服として与える。
滝田時生(たきた ときお)
精一郎の長男で、星の甥。星同様やんちゃな性格である。被爆前に島根へ学童疎開していたため無事で、被爆後の星の容姿から同級生からいじめを受けていたが、義姉思いは変わらず仕返しをする。
滝田光子(たきた みつこ)
精一郎の長女で、星の姪、時生の妹。星になついていたが、被爆後はその容姿に慣れず怖がっている。
火神家
大日本帝国軍人の家系で、家の規律は非常に厳しい。
火神礼子(ひがみ れいこ)
メガネがトレードマークの滝田星のクラスの級長。昭和7年(1932年)5月6日生まれ。厳しく躾けられており、クラス内でも規律を重んじる性格である。星とは当初対立していたが、敵軍の空襲で腰が抜けて動けなかった中星に助けられ、それ以来仲良くなる。星らとともに建物疎開作業中に被爆し、黒焦げの状態で即死。
火神厳造(ひがみ げんぞう)
大日本帝国海軍大佐。軍人として礼子を厳しく躾けていた。息子2人は大戦で戦死し、妻と娘の礼子は原爆で予後不良となり、自分もB級戦犯として巣鴨プリズンへ収監されることとなる。収監前に滝田家を訪れ、礼子の最期を星から聞こうとする。
白鳥家
皇族とも親しい伯爵の家系。元々東京に住んでいたが、疎開のため叔父の家があり戦災を免れていた広島のへ移住するが、原爆により全員死亡。
白鳥雪恵(しらとり ゆきえ)
東京から編入してきた伯爵令嬢。昭和7年(1932年)12月22日生まれ。広島光明高等女学校に登校する際は本来の制服である白いセーラー服で登校したりするなど浮いていたが、次第に星と打ち解けるようになる。奥田大尉によって一時は不登校になるが、星によって再び登校するようになる。星らとともに建物疎開中に被爆し何とか生き延びるが見分けがつかないほどの裂傷を負い、星と逃げる中最後は火に巻かれ死亡したと推測される。
白鳥貴子(しらとり たかこ)
伯爵夫人で、雪恵の母親。戦時中にもかかわらずピンクのワンピース姿で雪恵を付き添っていた。軍費として財産を供出する一方「この戦いは続かない」と雪恵に言っていた。主人を送った後原爆により倒壊した家の下敷きになり、雪恵と主人の名を叫びながら火に巻かれ死亡。
白鳥杜博(しらとり もりひろ)
雪恵の父親で伯爵。不登校になった雪恵を説得する。8月6日は知人に会うため中島(現在の平和記念公園がある地域)へ向かい、付近で被爆し死亡。
広島光明高等女学校1年3組
被爆前星が所属していたクラス。爆心地から1.3kmの場所で建物疎開作業中に被爆し、星を除き全員が死亡している。
森永敏江(もりなが としえ)
二木悦子(にき えつこ)
中田久美子(なかた くみこ)
猫川環(ねこかわ たまき)
鶴木加代(つるき かよ)
高橋栄子(たかはし えいこ)
広島光明高等女学校1年西組
戦後被爆によって死亡したり、転校などによって生徒が減少したため改組されたクラス。
藤巻平(ふじまき たいら)
広島光明高等女学校の英語教師で、1年西組の担任。英語が敵国語であったため原爆投下前は授業を中止していたが、終戦により復帰。元3組で唯一生き残った星を心配し、級長である佳子とともに星を何とかして登校してもらうよう画策する。
岡崎佳子(おかざき けいこ)
広島光明高等女学校に通う西組の級長。昭和7年(1932年)6月2日生まれ。星とは別のクラスである6組の級長で、爆心地から3kmの地点で林の陰で他のクラスメイトと共に休んでいたところ被爆したが、軽症を負っただけで免れる。戦後西組にクラスに編入したが3組はほぼ全滅したことを知りショックで不登校となった星を気にかけ、再び登校するようになった星と一緒に行動するようになる。
その他関係者
黒田夕子(くろだ ゆうこ)
紙屋町に住む女学生。女子挺身隊として爆心地から3.8km離れた宇品の紡績工場で作業中に被爆。自身はほぼ無傷であったが、家族全員を失う。その後親族からは受け入れを拒否され、さらに米兵に強姦されるなどし自殺未遂も行ったが、生き証人として生きることを決意する。その後生きるためにパンパンとなる。容姿は雪恵にそっくりで、星と会った時誤解されるが、事実を受け入れられず性格が歪んだ星を気にかけるようになる。
本編終了後、夕子を主人公とした「上を向いて歩こう」が掲載されている。
奥田栄吾(おくだ えいご)
陸軍大尉で、第3特別輸送隊隊長。大正3年(1914年)8月24日生まれ。広島光明高等女学校を接収し、女学生に対し奉仕活動を強要する。広島市内で被爆したがほぼ無傷で一命を取り留めるが、妻を亡くす。戦後は復員し、運送会社に勤務するようになる。星と再開した時責められたがが、その後星や夕子がヤクザに絡まれた時助け、その後星や夕子と打ち解けるようになる。
S.SHIMIZU氏によるその他の広島原爆に関連した作品
この世の涯に咲く花の・・・
2012年8月6日に前編、9日に後編が投稿された。昭和30年頃の設定で、被爆で左目を喪失し全身やけどを負った女性と取材を行う記者の物語。
ダンガン
2014年8月6日に前編、9日に後編が投稿された。昭和26年~28年頃の設定で、原爆により孤児になった少年が暴力団の構成員としてケンカに明け暮れる日々を送る。
S.SHIMIZU氏のpixivアカウント
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