概要
通常ヘリコプターは、水平に回転するメインローターのみで揚力と推進力を確保している。
故に速度を出すためにはメインローターの回転速度を上げる必要があるのだが、ローターは前進する側(上から見て時計回りなら機体左側)が「対気速度=回転速度+機体速度」となっているため、高速で回すとあっさり音速を超えてしまう。
音速を超えると抵抗が激増するとともに揚力が激減し、墜落するのみである。そのためヘリコプターは原理的に高速が出せない。
というわけで考え出されたのが複合ヘリ。
推進力をメインローター以外の装置で確保することにより、メインローターをそれほど高速で回さなくてもよくなり、速度の限界が緩和される。
推進力としてはプロペラが有利。
ジェットエンジンを搭載した実験機も作られたが、ジェットが活かせる速度域になるとさすがにメインローターは邪魔過ぎた。
課題
メインローターを高速で回せないため、メインローターの揚力が不足する。
このための解決策として単純なのは主翼を着けることだが、この主翼はそこそこ速度が出てからでなくては効果を発揮しないため、低速移動、ホバリングにおいては完全なデッドウェイト。
このため低速時、ホバリング時の航空性能に多大な悪影響があり、ヘリコプターとしてのアイデンティティを見失いかねない。
二重反転ローターであれば、増加した翼面積をホバリング時にも活用できるのだが、複雑さゆえにコストや整備性に響くのが難点。
近年は技術向上により二重反転ローターのハードルが下がったため、こちらの形式で開発が進んでいる。