メイプル戦記
めいぷるせんき
タイトルからは想像が付きにくいが実は野球漫画で、同作者の『甲子園の空に笑え!』の続編。
セ・リーグ7番目(!)の球団として、札幌を本拠地とする女子チーム(身体が男性でも心が女性ならばOK)の「スイート・メイプルス」が参入し、優勝を目指す物語。
野球漫画としてはいろいろ無理があるのだが、それを補って余りある川原漫画の傑作の1つ。
なお作中にメイプルズの本拠地として「札幌ドーム」が登場するが、連載開始は'91年であり、実際の札幌ドームのオープンを10年も先取りしている。
主な登場人物
メイプルス首脳陣
広岡真理子(ひろおかまりこ)
監督。豆の木高校野球部監督としての活躍から「スイート・メイプルス」の監督にスカウトされる。
史上初の女子プロ野球チームを1から育て、率いていく事になる。
高柳邦彦
コーチ。前作で豆の木高校と優勝を争ったライバル校・北斗高校の監督として広岡と出会う。
広岡から誘われメイプルスのコーチに。
立花俊之
球団社長。オーナー・立花小雪の孫。マネージャーやらトレーナーやら寮の食堂のおばさんも兼任する。事故で祖父と両親を失い、自身は激しい運動はできない程足を痛めている。
メイプルス選手
神尾瑠璃子(本名:聡史)
投手。オカマバーで働いていた元高校球児の23歳(実は高柳の教え子)。
ドラフトで6球団競合するほどの逸材だったが、高校でバッテリーを組んでいた小早川を好きになってしまったことで苦悩し、球界から姿を消していた。
同僚のママたちの後押しで入団テストを受け、「心は女」と言う事で入団合格する。
160km/hの剛速球を武器に奪三振の山を築くメイプルスの大エース。
芹沢桜子
投手。『笑う大天使』などに登場する聖ミカエル学園出身の18歳。
野球部のない高校で、薫子と2人でずっと練習を続けていた。
7色の変化球を駆使する技巧派だが、球が軽く被本塁打が多いのが弱点。
ノエル・スコット
投手。アメリカ出身の20歳。宗教オタクで、しょっちゅう改宗している。
マウンド度胸は抜群でピンチほど燃えるタイプだが、宗教絡みで不吉なことが起こると途端に弱気になるなどムラっ気の強い生活。
若生薫子
捕手。桜子の幼なじみで、同じ聖ミカエル学園出身18歳。2番打者を務める。
相本姉妹
そっくりな4つ子の姉妹で内野手。兄は前作に登場した相本四兄弟(つまり4つ子×2の8人兄弟)。
守備力を重視する広岡に鍛えられた鉄壁の守りを誇る。
仁科紘子
左翼手。24歳。夫は東京タイタンズのエース・仁科雅樹。
浮気ばかりする夫に切れて三行半を突きつけ、メイプルスに入団。
打撃センスはチーム随一の3番打者。肩が弱く守備は並。
パトリシア・エドワーズ
中堅手。アメリカ出身の19歳。
熱い性格とパワフルな打撃でチームを支える不動の4番打者。
里見笑子
右翼手。聖ジュリアナ女子大出身の22歳。
ディスコ・クイーンとして鍛えた俊足を飛ばす1番打者。
他球団の選手
仁科雅樹
東京タイタンズの投手。仁科紘子の夫。
タイタンズのエースとしてメイプルスの前に立ちはだかり、紘子とは因縁の対決を繰り広げる。
小早川秀明
パ・リーグの球団、西部リンクスの捕手。神尾と高校時代バッテリーを組んでいた。
オカマになった神尾にも変わらず接し、神尾を気に掛けるが、それが周囲の誤解を生んでしまい……。
前作『甲子園の空に笑え!』とは
九州のどこかにある豆の木村。
広岡真理子は新任教師として「豆の木高校」へ赴任してくる。
「若い」と言うだけで野球部の監督を任せられるが、当の広岡は、野球の知識は0、野球部の監督をやる気も0
そして肝心の野球部は部員全員でやっと9人という弱小チームだった。
そんな野球部も県大会へ出ることに。
ところが幸運に恵まれて、あれよあれよと県大会優勝。
そして豆の木高校野球部は甲子園へ・・・。
高校野球をテーマにしたほのぼのコメディ。