広軌は、狭く言えば国際標準軌(1,435mm)を上回る線路幅である。但し直通に差し支えない程度の差異の場合は標準軌に含めてしまうため、国際的には台車交換などが必要な5ft/1,520mm軌間(旧ソ連圏)より広い軌間を指す場合が一般である。
能力的には標準軌と差異がなく、後述の製鉄所のような場合を除きむしろコスト増のデメリットだけが目立つようになる。概ね5ft(上述)、1,600mm(5'3"・アイリッシュゲージ)、1,665~1,676mm(イベリア/インドゲージ)の3種に収斂する。それ以上の線路幅も19世紀には存在したが、鉄道用線路としてはいずれも改築され消滅している。
かつての日本においては、3’6”(1,067mm)が事実上の標準(デファクトスタンダード)であったため、国際標準軌どころか馬車軌間(1,372mm)も広軌に含めてしまうことがあった。
かつての地方鉄道法では、軌間の規定が1,435mm、1,067mm、762mmの三択であったため営業線としてこれを上回る軌間(つまり国際的にいう広軌)は採用事例がない。
但し海外の広軌鉄道への出荷をする鉄道車両メーカーの構内線路や、1,000℃超の高温の銑鉄を扱うため安定性を特に要求する製鉄所では、距離は短いながらも敷設例が存在し、日本国内では出荷の前例(インド向け)もある1,676mmがそうした場所の線路として用いられている。