概要
『天誅壱』の続編にあたる作品で、同作の一年後を舞台としている。
ハードがPSからPS2に移り、高性能なハードとなったことでシステムが大幅に改善され、追加要素もかなり増えた。後に不完全な箇所の修正や更なる追加要素を加えたXbox版とPSP版も発売された。ただしゲームの関係上残酷描写も見られる。
主人公として力丸、彩女の二人に加え、始末屋藤岡鉄舟が登場。それぞれの視点から物語が進められる。
『天誅弐』以前の作品はPS版のみで移植も無いため、現行の天誅シリーズのイメージの多くはこの参をベースにしている。後に追加要素のあるXBOX版「回帰ノ章」と、その移植版であるPSP版のPortableが発売された。
ストーリー
時代は戦国。
郷田家に仕える忍び力丸と彩女は、現世に進出せんとした冥界の魔王・冥王とその部下鬼陰の襲撃を退け、郷田の国を救った。しかし冥王を倒した後に力丸は巨大な岩石に飲まれて行方不明となってしまう。
それから一年。束の間の平和を享受していた郷田の国に、再び暗雲が立ちこめていた。
妖術師『天来』とその部下『天来六人衆』が郷田の国やその周辺諸国で暗躍し始めたのだ。
彩女はこの危機に立ち向かい、消息不明だった力丸も無事帰還。二人は再び戦いに身を投じる。
その一方、郷田領内に住む始末屋藤岡鉄舟は、自身の元締めを暗殺されてしまう。そしてその犯人が天来と繋がっていたことから、彼も二人とは違った形でこの陰謀に関わることとなる。
登場人物(ネタバレを含む)
主人公
力丸
東忍流の元頭目。代々受け継がれてきた名刀「十六夜」を振るい任務へ挑む。
天誅壱で死亡したかに思われていたが、那須と越後屋を潰しつつ無事郷田へ帰還。
その後、七支刀の調査に向かうも、封印場所で鬼陰に殺害されてしまう。
しかしそれは力丸が予め放っていた影の一人に過ぎず、本物は冥府に身を潜めていた。
そのため七支刀の封印が解かれると同時に現世への復帰を果たす。
今作ではド派手な究極奥義「紫電」や、隠し忍具の剛刀「富嶽」の存在など華やかな要素が多い。
紫電は力丸の体力が1になる代わりに、命中した敵を即死させる。前動作が長く、刀で円を描いたのち、体力が1になると同時に突き攻撃を放つ。ここで躱されるか潰されると目も当てられない(後者は即死)ので、起き攻めや煙玉などの工夫がいる。命中後の演出も長いが無敵のためあまり問題はない。
富嶽は移動速度とジャンプ力が低下し、攻撃パターンが激減する。しかしリーチの増加にくわえ、基本の三段目とジャンプ切りに崩し効果が付与されたり、ステップ切りが吹き飛ばし効果のある袈裟斬りになるなど、制約も多いが使いこなせると面白い武器である。
「忍び鎧」という隠し忍具もある。こちらは被ダメージを軽減および飛び道具を無効化し、見た目が無骨な黒い鎧武者に変わる。
特別任務では現代(アメリカ?)にタイムスリップしていた事が発覚。「禍々しいほどの悪の気配」を感じとり、Mr.Dの居るビルに潜入する。
ちなみにこの時持っている刀は冥王の部下から拝借したものだが、使用感は十六夜と変わらない。
クリアすると素顔の力丸と髪を降ろした彩女のおまけカットが見られる。
彩女
東忍流の忍者。僅か十四歳にして忍術皆伝を受けた天才で、ふた振りの小太刀が武器。
郷田で頻発していた人攫い事件を調査していく中で宝玉の存在を知り、調査・回収を試みる。
今作では自分の3倍の背丈はあろう巨大怨霊や、緑色のオーラを纏いながら床を這いずる爬虫類面のラスボス等、妙にイロモノとのバトルが多い。力丸と比べてリーチは短いが素早く手数も多い。ただし打点の都合上、野犬の相手は少々苦手。
能力や武器が総合的に力丸より恵まれている反面、高耐久のボス戦が多く、力丸編では一話限りの登場だった物の怪が再登場するなど、任務の難易度は高い。ザコの配置も厳しめ。
彩女も究極奥義の「裏疾風」を持つ。こちらは前動作の長さこそ同じだが演出が一瞬で終わり、複数の敵をまとめて始末出来るため実用性としてはより優れている。ただし即死技ではなく100ダメージを与える技のため、ボス戦では注意(一部ボスには更に軽減される)。
「朧」という真っ赤な刀身の隠し忍具を入手できる。これは毒効果を持ち、定期的に怯みとダメージを与えるチート武器。装備時に自分も毒を食らうが、ただちに毒命丹を服用すれば良いので実質デメリット無し(強いて言うなら持ち込み忍具枠が2つ埋まる)。
忍び鎧は赤いセクシーなデザインで人気がある。
藤岡鉄舟
郷田で活動する始末屋で、表向きは町医者。主に「生駒屋」から仕事の斡旋を受けている。
力丸編と彩女編をクリアすると選べる三人目の主人公。PSP版のみ最初から選択可能。
那須の始末に向かうが、力丸に出し抜かれてしまい、報復に向かう。しかし、いざ交戦すると途中で満足し退散、奇妙な縁ができる。彩女編では生駒屋を殺害したと誤解し襲いかかってくる。が、太刀筋を見て東忍流と見抜き交戦を中止する。その後勘違いした詫びとして、奇舞羅に捕まった彩女を救出するなど義理堅い面が伺える。
脳を針で突き刺す、心臓を握り潰す、背骨を叩き折るなど、刃物主体の忍び達とはひと味違った忍殺技を駆使する。レントゲン演出もあり。
究極奥義はないが、真似笛や力命丹を素の能力として有しているうえに使い放題など、強力な特性を持つ。忍者じゃないのに天井張り付きも出来る。
攻撃力・手数も最高だが移動速度は遅い。また、素手なのでリーチも短く彩女以上に野犬は苦手。ボス戦では高威力の投げがお薦め。
隠し武器や忍び鎧はないものの、使い捨て忍具として超ダメージの「竹鉄砲」、遠距離から忍殺できる「鋼糸」、鉄舟版痺れ団子の「春画」と、モロに必殺シリーズのものが揃っている。
最終決戦後に爆炎の中へ消えるが、エピローグで針使いの始末屋に力丸が出し抜かれるシーンがわざわざ映されるため、おそらく生存している。
関係者
郷田松之信
郷田家当主。野心が無く、常に民と領内の安寧を第一とする名君。
力丸ならびに彩女を影とし、指令を下す。
三つある宝玉のうち、仁の宝玉については何か知っている模様。
菊姫
松之信の娘。彩女を姉と慕っている。
力丸編では奇舞羅の手にかかり、溶岩に落とされそうになる。しかし駆けつけた力丸の手により難を逃れた。
彩女編では敵の本拠地へ赴く彩女に姉妹鈴を貸し、無事に帰ってくる約束をする。
関谷直忠
郷田家の筆頭家老。彩女編では天来の本拠地への道を突き止め、そこを塞ぐ岩盤を吹き飛ばす作戦を立てるも捕まってしまう。乗り込んだ彩女により無事救助されるが……
生駒屋善之助
始末屋の元締めで、鉄舟に仕事の斡旋をしている。冷徹だが義理堅く渋い爺さん。
彩女編と鉄舟編に登場。形は違えど、どちらのシナリオでも死んでしまう。
郷田城内でも数人しか認知していない影の詳細や、天の宝玉の在り処を知っているなど只者ではない。
鉄舟編での最期のやり取りは善之助という人物のなんたるかが詰まっている。
続編「紅」「忍大全」でも登場。どちらも本作より過去の話で、鉄舟も登場する。
天来一派
鬼陰
天誅壱で倒されたが、天来の手により復活した力丸の宿敵。八百歳を超えているため実は天来より年上。
冥王の復活を掛けて協力している。
影で惑わし力丸を殺害するという衝撃の登場をするが、その力丸もまた影であった。
天来城塞で再登場し、敗北後は奈落に飛び込み爆散するが、エピローグで何事も無かったかの様に生存し、影ながら復活した明王に立ち会った。
彩女編では尼飼城を脱出する際に突如出現。同時に力丸が駆けつけてくれるので任せるか自力で倒すかを選択でき、後の展開が分岐する。
彩女が戦う場合、倒しきることが出来ず、正気に戻った龍丸が心中をしてくれるのだが……この展開では力丸曰く本当に死滅したらしい。
ガチンコで戦う場合は最強クラスの実力なので、自信が無ければ癇癪玉や煙玉を持ち込むと良い。
体力が減ると神命丹で全回復する。
天来
齢三百を越える妖術使いで力丸編・彩女編のラスボス。
第二形態を持っており、主人公によって風貌や攻撃パターンが変わる。
宝玉の力で冥王を奴隷として復活させ、最終的に世界征服を目論む。
反魂の術や洗脳術など外法の技を数多く使いこなす。
戦闘においても氷柱飛ばし、地面の隆起、落雷などで攻めてくる。隆起攻撃が隙だらけなため狙い目。
第二形態時に力丸編では無敵化するが、暫くしのいでいると力丸が開眼し攻撃が通る様になる。また、七支刀を十六夜に打ち込んでると今度は力丸が無敵化するため自由に始末出来る。
彩女編では毒攻撃を仕掛けてくるので要注意。
手下に天来六人衆という幹部と、忍者・僧侶軍団を有しており、海上に城塞を構えている。
奇舞羅
天来六人衆の一人。
四白眼でマッド感のある不気味な顔付きをしている。
からくりのエキスパートで、尼飼城をトラップと殺人からくり人形まみれにした。ただしデザインはかなり悪趣味。
舞姫という大型からくり人形に心酔しており、戦闘時はこれを背負って打撃や仕込み銃で攻撃してくる。
体力は高いがとある技の隙があまりにも大きく、反撃も安定するためボスキャラでは最弱候補。
巌陀
天来六人衆の一人。
筋肉質な巨漢で、身体の至る所に呪符が貼り付けてある。錫杖が得物。また、キン肉マンもびっくりのド派手プロレス技を使ってくる。
後述の神楽と同時に戦う事もあり、追加の呪符を纏ってパワーアップしているが、神楽が死ぬと連鎖的に絶命してしまう。
鉄舟編では、はやりまじないの教祖というけったいな真似をしていた事が判明する。
陣内
天来六人衆の一人。彩女編の中ボスで、鉄舟編のラスボス。
着物に三度笠と、天来六人衆にしては無難な出で立ちをしている。
長刀を用いた居合術の達人で、その実力は彩女をして「できる」「恐ろしいやつ」と言わしめるほど。
実は陣内右京・左京という双子で、不意打ち戦法が持ち味。精度は高く、作中では昔馴染みでネタを知っている鉄舟にしか見抜けなかった。
続編の「天誅忍大全」にも鉄舟編に登場。過去のエピソードが語られている。
神楽
天来六人衆の一人。髪型は黒髪のツインテールで、改造した巫女服の様な衣装を着ている美人。
その見た目から本作のみの登場にも関わらずかなりの人気を誇る。
残忍な性格で郷田の家老・関谷に重傷を負わせ、侮辱し高笑いをしたため彩女の怒りを買った。
ザコ敵として式神を道中に放っており、前後が分かりにくい上に動きが見切りづらい難敵である。紙の筈だが高所から落ちると足を挫く。
戦闘では厳陀か大型の獣とセットで登場し、ガード不可の呪符飛ばしや瞬間移動を駆使して戦う。
体力は人型の敵で最低。
龍丸
天来六人衆の一人。
前作で死亡したが、天来の手により復活させられた元東忍流頭目。
相変わらず日本人離れした筋骨隆々っぷりで忍者らしくない風貌(身体つきは力丸も大概だが)。
洗脳されており、力丸編でも彩女編でも戦うが、どちらも天来撃破において重要な役割を持つ。
戦闘は格闘が主で、鬼陰に並ぶ強敵。突進系の投げ技や、忍び鎧で無効化できない火矢で大ダメージを狙ってくる。
百化け
天来の部下。
顔を真っ黒な面で覆っている。
力丸編では彩女に、彩女編では力丸に化けて近づくが、どちらも一瞬で見ぬかれてしまった。
化けたままの姿で戦いを挑んでくる。吹き矢など忍具を使ってくる事がある。
浜田康之助
郷田の家臣だが、天来に内通している裏切り者。
眼鏡とハチマキを着用している。
力丸編だと瞬殺されるが、彩女編では対決する。
溜め突きが特徴だが、ほとんど踏み込まないため避けるのは容易。
その他敵対者
那須
郷田の家臣だが、越後屋と共に非道を重ねていたため力丸らに粛清された。
どのシナリオでも物語のきっかけとなっている。
戦闘時には刀と体当たりを駆使して挑んでくるが、実力は雑魚以下。
体力がある程度減ってくるとランダムな忍具を餌にだまし討ちを仕掛けてくるものの対処は容易い。
上手くやれば無数にアイテムを回収できる。
越後屋徳兵衛
二代目越後屋。親同様阿漕な事ばかりしており、影または鉄舟に命を狙われる。
宝玉や郷田の裏切り者についても知っていたが、最期は口封じで殺された。
田島英五郎
越後屋の用心棒で人攫いの下手人。
三連式の銃と刀を用いる。那須より先に戦うが、実力はこちらの方が上。
技は射程の長い銃撃と吹き飛ばし効果のある投げ技が特徴だが、隙の大きい技が複数あるため見抜ければ楽に勝てる。
死亡した筈だが続編「忍大全」にも登場。
田所勘兵衛
Xbox版「回帰ノ章」追加キャラの一人。
郷田の重臣だが、野心から謀反を画策。
しかし娘の三冬が密告したため、力丸および彩女に首を狙われた。
力丸編では三冬に、彩女編では彩女に天誅を下される。郷田の影を高く評価しており、死に際は潔い。
田所三冬
「回帰ノ章」追加キャラの一人。上記の田所勘兵衛の娘。
父が謀反を企んでいたため国への忠義から密告を行う。しかし父への情もあり、天誅を下しに来た影と戦いもした。二刀流の剣術を使いこなす達人で、隙の少ない連続技やガード不可の踏み込み斬りが強烈。
力丸編では父を自ら下し、謀反の事実を公にしないために戦いを挑んでくる。しかし力及ばず、松之信への遺言を力丸に託し死亡。彩女編では謀反について心中を告白し、同じくに戦闘になるが、彩女に諭され中止、生存する。
鉄舟編のみムービーだけの登場で対決はしない。鉄舟が始末したのは下記の弓削であり、完全なる誤解だった。こちらのシナリオでも生存。
続編「忍大全」にも登場。
弓削丞之助
「回帰ノ章」追加キャラの一人。
田所の家臣で、共に郷田への謀反を目論むが陣内の策略で謀反の発起人に仕立て上げられ、最終的に依頼を受けた鉄舟に始末される。
こちらも剣の達人で、突きやガード不可の円月殺法などを駆使する強敵。リーチが短い鉄舟で戦うため苦戦しがち。
死亡した筈だが続編「忍大全」にも登場。鬼陰と結託し郷田転覆を狙う。
Mr.D
難易度並以上で主人公三人の全任務を終わらせると出現する特別任務に登場。
オフィスウェアに身を包んだ逞しい肉体の外人だが、妙に赤い瞳や電光ほとばしる機械の腕を持つ異様な人物。武器は何故か日本刀。
体力がべらぼうに高い。攻撃面もガード不可の突進掴みや、機械の腕から奇妙な楕円形(光弾)も飛ばしてくるなど優秀。
また、力丸は初期技しか使えない(跳爪や紫電が使えない)上に忍具が固定なので苦戦しやすい。撒菱があるので有効活用しよう。
続編「忍大全」にも引き続き特別任務で登場。武器がビームサーベルになっている。
何度か殺し屋に狙われているらしく、返り討ちにするのが趣味とのこと。