概要
アニメーションという表現形態が普及して間もないころは、背景もキャラクターも1枚の紙にまとめて描くというやり方が普通であったが、背景まで手描きしなくてはならないため、背景の絵まで線が微妙にぶれてしまうという難点があった。
商業アニメが普及してからは撮影の利便性と効率化、映像の美しさの保持を踏まえ、セルシートによりキャラクターと背景を別々に描くというやり方が確立された。
動画用紙に描かれた動画にセルシートを載せてペンとインクで写し取り、裏から不透明な絵の具を塗ることでセル画を作成する。そして作成したセル画を撮影台に乗せて1コマずつ撮影していた。
セルロイドは燃えやすいなど管理上の難があったため後にほとんどアセテートにとって代わられたが、慣習上「セル」と呼ばれ続けた。
技術の発達によって線画はトレスマシンでコピーできるようになったが、着色だけは手動でしないといけなかったためかつては主婦の内職の定番であり、それにつけ込み仕事を紹介するとうたった詐欺事件も発生していた。
着色は専用の絵の具で行わなければならず色数にも制限があったため、色指定にも当時はかなりの苦労があったが、1990年代末頃からデジタル作画への移行が進み、現在では国内外含め、セル画を使用してのアニメ制作はめったに行われない。