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深海の悪魔の編集履歴

2020-09-02 00:16:29 バージョン

深海の悪魔

しんかいのあくま

ゲームブック「ファイティングファンタジー」シリーズの第19弾。著者はスティーブ・ジャクソン(米)。

「深海の悪魔」とは、イギリスの出版社「ペンギン・ブックス」から出版されていたゲームブック「ファイティングファンタジー」シリーズの第19弾「DEMONS OF THE DEEP」の日本語版タイトルである。出版社は社会思想社。

作品解説

 船乗りにして冒険者の君は、一等航海士として商船サンフィッシュ号に乗り込んでいた。

 ポート・ブラックサンドから出発し、五日後。ブラッドアックス船長の率いる海賊船・トロール号の襲撃を受け、サンフィッシュ号は君一人を残して全滅。

 君はブラッドアックス船長と、その部下の海賊たちにより手首を拘束され、そのままの状態で剣は返され、黒パンと塩漬け肉の食料十食分を腰ベルトに結びつけられた。

 そして、そのまま海に落とされた。縛られたまま、君は食料が重りになり、どんどん沈んでいく。

 だが、沈んでいく君は、海底に沈んでいる都市の遺跡、その一角にある広場の魔法陣に降り立ってしまった。息が続かず、浮かび上がる事も出来ず、思わず口を開けると……水中で呼吸ができる!

 サンゴ礁の角で手首のロープを切り、剣の刃を鏡代わりにして首筋を見ると、そこにはエラができていた。

 ここは、アトランティス。かつて栄華を誇った地上の島に築かれた文明都市だったが、神話の時代に大洪水の天変地異が起こり、水没した場所だった。

 遺跡に住んでいた人魚の少女から、魔法陣によりエラが出来た事、このエラは空気を吸ってしまうと消えてしまう事(つまり、水上に上がる事はできない)、そして効果は陽が沈むまで……つまり、今日の夕刻までという事を知らされる。

 ブラッドアックス船長と、その部下のトロール号の海賊たちに復讐するため、君はアトランティスの海底遺跡を泳ぎつつ、冒険を開始する。


 シリーズ19弾。

「恐怖の神殿」から五作目にして、再びタイタンが舞台になった一作である。

 今回はスティーブ・ジャクソン(米)が手掛けており、彼らしく一味違った、一ひねりした内容の作品になっている。

 舞台は「海底」。地上人が、海賊により乗っていた船を襲われ沈められ、自身も海の中に突き落とされた。しかし魔法によりエラが付き、水中を呼吸できるようになって、そのまま海中を冒険する。期限は今日の日没まで。……という、「サソリ沼の迷路」のように、主人公に何らかの魔法の加護が与えられたうえで冒険に臨むように。

 双方向性は無くなったが、「海底」という特異かつ特殊な舞台なため、冒険自体はオーソドックスだが、その分「海底という舞台と、そこに登場するモンスターやキャラクター」の魅力を存分に味わえるように。

 登場モンスターや別種族も、魚類や海棲生物が多いが、それだけでなく海オーガや海底人、そして人魚(マーフォーク)に剣魚人シラノなど、海底ゆえの存在が色々と登場し、飽きさせない。

 それに加えて、「黒真珠」というマジックアイテムの存在と、マルチエンディングである事が、スティーブ・ジャクソン(米)らしさを作品内で示している。

「盗賊都市」にて、海賊が有していた「黒真珠」。

 今回は、このアイテムがマルチエンディングの必要アイテムとして登場している。数を十分に揃え、なおかつ使い方を知れば、最後には海賊を倒すのみならず、船も手に入れるエンドになる事もある。

 黒真珠を用いずとも、アイテムを用い海賊船を沈める、あるモンスターの助けを借りて海賊を一掃するなど、マルチエンディングゆえに多くの終わり方があり、それ故にこれまたやり込み要素となっている。

 変わった舞台ゆえに、やや奇異な印象を与えはするものの、タイタン世界の奥深さを感じさせる一作と言える。


主な登場人物

主人公=君

 本作の主人公。船乗りとして数々の海を冒険しており、今回は商船・サンフィッシュ号の一等航海士として乗り込んでいた。

 海中に突き落とされ、沈められたものの、たまたまそこは、アトランティスの魔法陣のある場所だった。そのためにエラが付く魔法がかかり、水中での呼吸が可能になった。日没に魔法が解除されるため、その間に海賊に復讐するため、手掛かりを求める冒険を行う。


ブラッドアックス船長

 本作のいわゆるラスボス。海賊船トロール号の船長である海賊。主人公の乗り込んでいた商船・サンフィッシュ号を襲い、主人公一人を残し皆殺しにした。

 ひとり生き残った主人公を、すぐに殺さずにわざわざ重りを付けて海に突き落とし、沈めて溺死するようにした事から、殺しを楽しむ残酷さ、悪辣さをうかがわせる。


グレイロック

 海中の、魔法の泡の小屋に住む魔法使い。泡の中は空気に満たされ、普通に生活ができる。

 主人公に、黒真珠の使い方と、冒険の助言とを行う。


シーモス陛下

 アトランティスの海底遺跡内、宮殿に住む海底人たちの王。会話する際にはゼイゼイと荒く呼吸するが、的確な返答をする。

 人魚たちと戦争中だが、(主人公のような地上人を含めた)風変わりな客を歓迎し、訊ねて来た者を友好的に迎えてくれる。

 娘の王女は呪いにかかり眠りについている(それを解くには、地上人の勇者のキスが必要)。

 選択によっては、主人公に味方し、重大な情報をもたらしてくれる。


シラノ

 大聖堂のステンドグラス内に住む、剣魚人の剣豪。

 自信家ではあるが、それに違わぬ剣の使い手。金貨二枚か黒真珠一個と引き換えに(文無しで支払えなければタダで)、剣を教えてくれる。模擬戦に勝っても負けても、剣の腕前は上がる。また、ヒーリングポーションを持ち、体力点にプラス2点、または体力点が10点以下なら10点にまで回復させてくれる。


幽霊

 海底の砂地で会う幽霊。散乱した自分の遺体である骸骨を、一か所にまとめて海底に埋めてほしいと、出会った主人公に嘆願する。


海の妖精

 終盤に、サンゴ礁で出会う、海中に住む妖精。主人公に助言を与えてくれる。


水の精霊

 全身が霧のような姿で、海草の腰布を付けた精霊。ある場所に閉じ込められており、そこから逃れるために黒真珠を求めている。選択次第では、海賊船のもとに向かったり、閉じ込められた時に脱出する手助けをしてくれたりする。


キークウィート

 イルカ。とある条件で、イルカの言葉がわかるようになった主人公とともに鮫と戦い倒した際に、その名前を教えてくれる。選択次第で終盤に移動を手伝ってくれる。


登場モンスター、異種族、アイテムなど

骨の悪霊

 表紙に描かれている怪物。

 頭部は巨大な鮫の頭骨。他に様々な魚類や動物(溺れた人間なども含む)の骨が寄り集まり、複数の腕を持つ巨体の怪物を構成している。その頭部には王冠を被り、黒真珠がはめ込まれている。

 腕は拳を握っているのみならず、剣と槍と巨大なバトルアックスを持ち、それらを用い戦う。そのため、同時に三体の敵と戦うのと同じ扱いになる。


海ドラゴン

 海中の洞窟に住む、巨体のドラゴン。ブレスは用いず(本作では用いなかっただけで、設定上は使えるらしい)、前足は無くヒレになっているが、その巨体と牙はすさまじい威力を有する。両目も砲丸のように大きい。

 自分の住む洞窟に、大量の金貨をはじめとする財宝を溜め込んでおり、より多くの財宝を得るためなら他者がどうなろうと知った事では無いとうそぶく。選択によっては、主人公に協力してくれるが、隙あらば喰らおうとしているため、油断ならない相手である。


クラーケン

 巨大なイカのモンスター。海上ではもちろん、海底でも住民たちにとっては恐ろしい怪物として知られている。その巣には、財宝が溜め込まれている。


海底人

 海底に住む、人魚とは異なる種族。

 大きな目はカエルのように突き出て、エラがあり、手には水かきと鉤爪がある。肌は緑色でイボだらけだが、兵士は宝石をちりばめた鎧を、大臣や王族などは豪華な服を着ている。

 人魚と戦争中で、アトランティスの大宝冠を奪われていた。


人魚

 海底人と戦争中の、海中に住む種族。下半身が魚。

 巨大な洞窟に住み、戦争中ゆえに部外者には辛辣。しかし海底人と無関係と知ると、寛容になる。

 生まれ変わるような気分になるサウナ・バスが洞窟にはあるが、試してみると……。

 また、賭け事の広間では、黒真珠や金貨など、貴重品を賭けて楽しむ事ができる。


黒真珠

 本作における重要なアイテム。

 由来・出自は不明。しかし海底に住む者たちの間でも貴重品とされ、通貨としても用いられている。海ドラゴンやクラーケンといったモンスターの巣にも、値打ちものとして金貨や財宝の中に混じっている事が多い。


道具魚

 人魚の老人が、工作の道具として用いていた魚。

 鋸として用いるノコギリ鮫、斧として用いる、鋭く大きい嘴を持ったオノ魚、錐のように細く鋭い嘴を持つキリ魚、照明として明かりをもたらすホタルイカがある。場合によっては、主人公も手に入れて、利用する事が出来る。

 また、選択によっては、老人の用いる武器として、剣になる太刀魚も出てくる。


不死の騎士

 あるアイテムを用いる事で召喚出来る。錆びた剣を持つ骸骨の騎士。一体だけでなく数体を一度に召喚できる。


呪いの剣

 ある強力なモンスターが持っていた剣。刀身が赤く輝いており、手にした者も呪い、手にした者に怖気を感じさせ、不運をもたらす。が、強力な武器ではある。


ウミツバメの剣

 ある場所で入手できる、魔法の投げ短剣。

 戦闘に用いると、自動的に相手に命中し致命傷を与える(体力点10点を引く)が、一度用いると消えてしまう。

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