概要
ヒロインの一人。鬼月家の長女であり伴部とは同年齢。
『滅却の炎』と呼ばれる極めて強力な異能を操る退魔士。
これは正確に言うならば濃縮された霊力が炎の形を模して現実に作用するモノであり、その炎で焼却するという形で事象を否定し、改竄し、変質させる力がある。
敵の攻撃や能力を焼却して無効化できるだけでも強力だが、この異能の破格なところは自身の危機に対して自動的に発動するという点。
例え腕が飛ぼうが、内臓が弾けようが、頭を砕かれようが、その事実を焼却して死すらも無かった事にできる。
これは初見殺しが多い対妖、対退魔士戦で極めて大きなアドバンテージとなる。対策はあるので無敵ではないが。（霊力が尽きるまで頭を潰し続ける、肉体が復活しても無駄な状況にするなど）
原作のヒロインの中では例外的に人格者と言ってよく、公明正大な性格や凛とした振る舞い、病んでも束縛が強くなる程度という比較的安心して付き合えるキャラだったことからファンには「姉御様」という異名で呼ばれていた。
貧乳
先代『鬼月家』当主の三男だった父が小作人の娘と駆け落ちして生まれた。
父が連れ戻され新当主となった時に、彼女も母親から引き離されて鬼月家に引き取られたのだが、下賤な血の混じった娘と蔑まれていた。
それもあってか『鬼月家』に売られてきたばかりの下人になる前の伴部が「同じ農民みたいなものだから」と世話役に任じられる。
他の世話役や遊び相手と違い自分と対等に話してくれる伴部と親しくなり、いつか『鬼月家』から逃げ出してどこか誰も自分たちを知らない場所でひっそりと暮らしたいなんて冗談を語り合い遊びで脱出計画書を作ったりしていた。
しかしある日なぜか敷地内まで侵入した妖に襲われた彼女が、異能に目覚めて妖を倒したことで事態は一変する。
後継者候補として担ぎ上げられるようになり、今まで彼女を軽んじていた者たちが掌を返して擦り寄ってくるようになった。
そんな環境の変化に恐怖した彼女は現実逃避からあの冗談を実現しようと伴部に迫ったものの、そんなことは不可能だと理解しているが故に即答できなかった彼に癇癪をおこし、「あなたなんて嫌いだ」と泣きながら走り去ってしまった。
彼女に取り入る上で邪魔だった伴部の排除を狙っていた者たちからすれば彼女自身が都合のいい証言をしてくれたわけであり、例の「脱出計画書」も鬼月に不利益をもたらそうとした証拠として利用され、伴部は二度と彼女に近寄らぬよう妖に襲われ助けを求める彼女を見捨てて一人で逃げた裏切り者という偽りの記憶を植え付けられて下人に落とされることになった。
そういった経緯から伴部に対して好意と共に罪悪感を持っており、かつて語り合った冗談のように伴部と共に全てを捨てて雲隠れしひっそりとただの農民として生活したいという願望を本気で抱くようになった。
そのためにまずは彼の待遇を改善すべく理想の後継者を演じて権力を手に入れつつ、時が来るまでは夢を悟られないよう彼との接触も控えて、表向きは他の下人と同じように扱っている。
また、自身の父親が葵に対して行った陰謀を伴部が（死にかけながらも）最悪の展開だけは阻止し、葵を当主にしようと考えている者たちの派閥に半ば強引に入れられたせいで、派閥争いという面では敵対関係になってしまったのも何とかしてうやむやにする（又は自身の方に入れる）事を画策している。
しかしその助けられたはずの葵が恩を仇で返し彼を虐げている（ように見える）ことから、彼を救えるのは自分だけだと思い込み原作とは比べ物にならないほど拗らせてしまった。
伴部は『改変された記憶』もあって気まずさを感じているのと、下人に落とされて以降そこまで深いかかわりがないので好意を持たれている事に一切気付いていない。
