『ラーゼフォン』(Rahxephon)は、ラーゼフォン製作委員会とフジテレビの製作によるロボット・SF・ラブストーリーTVアニメ。全26話。2002年1月21日 - 2002年9月10日までフジテレビで放映された。
2003年には『ラーゼフォン 多元変奏曲』として劇場映画化されている(以下、劇場版と表記)。
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概要
原作・監督はアニメのメカニックデザインを長年担当してきた出渕裕。キャラクターデザインは山田章博。アニメーション制作は後に『鋼の錬金術師』や『交響詩篇エウレカセブン』を手がけるボンズ。
本作品は、近未来の日本で少年少女が戦争に巻き込まれていく中で、未熟な心に渦巻く苦悩と葛藤を描いた作品である。
単なるロボット活劇ではなく、独特の神秘的な雰囲気を持つSFアニメとして評価され、とくに緻密に描き込まれた映像は高い評価を受けた。反面、視聴率では伸び悩み、後述のようにキー局のフジテレビでは途中から放送時間が夕方から深夜へ移動するなどした。これは、フジテレビが夕方帯放送時にバレーボール番組への差し替えをし不定期放送になったのも一因である。
なお放送前の雑誌『Newtype』インタビューで、出渕はこの作品が『勇者ライディーン』のオマージュである事を語っている[1]。ゲーム『スーパーロボット大戦MX』においては、同時出演したライディーンとの共闘も見られた。
各話は「楽章」と呼ばれ、「歌」に感応する主役ロボット、そのパイロットは「奏者」であり、最終目的は世界の「調律」にある。他作品に例がない音声を活用した演出が目立ち、敵巨大兵器の名も音楽用語が冠され、そして、如月久遠役・桑島法子による次回予告のナレーションでの決め台詞が「世は音に満ちて…」等々、本作の作品世界全体を通じて「音楽」にまつわる事物がモチーフとなっている点は、他の作品にない大きな特色のひとつである。随所に登場するボロディンの「だったん人の踊り」もプロモーション映像の段階で既に使われており、作品世界のイメージ構築における大きなファクターとなっていた。
ちなみにタイトルの由来は漫画版3巻の出渕のコメントによると、Rah(ラー)が太陽神から来た“神”という意味で、Phon(フォン)がphoneから来た“声”もしくは“音”という意味。そしてその間にあるXeは、『Xファイル』などのXから来ていて“未知”を表し、“神の未知なる声”という意味になる。
琉球王国の民間信仰やマヤ文明に一次的な造形のコンセプトを多く求めており、マヤ・アステカ神話に語られる、文明社会に終焉を告げるために現われる最高神ククルカン(羽蛇ケツァルコァトル)の化身「頭に翼を持つ、金や宝石で装飾された白い顔の男性」の偶像は、そのままラーゼフォンの外見上の大きな特徴と一致する。なお、マヤ・アステカ神話において、ククルカンは太陽神である。また、世界の終末を予言するとして劇中で語られた「マヤ・カレンダー」についても、マヤ文明が自らの終焉を予告したと言われる同名の暦が実際に存在しており、その最終年は西暦にして2012年で、作中でMUがTOKYO JUPITERを形成したのも2012年末であった。
キャッチフレーズは「美と神秘に彩られた究極のSFロボットアニメ」。
ストーリー
21世紀の初め、日本の首都・東京は外部侵入者の「MU」(ムウ)により、その全体を半球状の物 (TOKYO JUPITER ‹東京ジュピター›) によって外部から隔離されてしまった。それから数年後、東京に暮らす神名綾人は、模試会場へ向かう途中で電車事故に遭う。助けを呼ぼうとした綾人はその途中で神秘的な少女・美嶋玲香と出会い、彼女に導かれるまま、東京の地下神殿にたどり着く。
その時、突如東京上空に現れた巨大な「何か」が放つ「歌」に共鳴した綾人は神殿内で倒れてしまう。混濁した意識の中、綾人が囁いた言葉、「ラーゼフォン」。その時、何者かが覚醒した……!