「俺の仕事は見るだけさ」
概要
声:真殿光昭
第七妖怪・夢幻の白夜
奈落から生まれた「幻」を操る分身であり末弟。
紅を差し、長い黒髪を一つに束ねた青年の姿をしている。女性と見紛う程の中性的な美貌の持ち主だが、れっきとした男性である。
基本的に戦闘には参加せず、犬夜叉や殺生丸の動向を監視し、奈落に報告する「観察者」に徹している。
移動の際には、術で巨大化させた白い折り鶴を用いる。遠方の様子は、自身の眼球を変化させた一つ目蝙蝠を飛ばして窺う。背中に差している刀には刀身がないが、妖力を写し取る力があり、一度しか使えない。
多彩かつ強力な幻術で犬夜叉たちを翻弄するほか、諜報や偵察、奈落の代わりに策を考案・実行するなど、その活動は多岐にわたる。事実上の「奈落の腹心」と呼べる存在。
性格
飄々とした言動で掴み所がない雰囲気を放つ。敵対関係にある犬夜叉や殺生丸にも敵意や殺意を見せるどころか、馴れ馴れしく接する。
奈落に対しても例外ではなく、彼は他の分身たちとは異なり奈落への嫌悪感や恐怖心をもたず、命令には唯々諾々と従う。
上記の通り、立ち振る舞いすべてが異彩を放ち、その行動原理は謎に包まれている。その姿勢は最期まで変化しなかった。
奈落とは「主従関係」というよりも対等に近い関係を築いており、軽口も平然と叩く。アニメ版では、珊瑚の飛来骨に手ひどくやられた奈落をからかっていた。
その一方で、観察者の役割を通り越し「傍観者」然として振舞っている節があり、犬夜叉たちとの闘いや因縁も「他人事」として捉え、一切の興味を示さない。
また、神楽や神無に見られた人間らしい感情も希薄であり、犬夜叉や殺生丸はおろか生みの親たる奈落の言動すら、自分には理解できないと述べている。
彼のある種冷笑的とも言えるスタンスは、「薄情」というよりも最早「無関心」に近いものである。
能力
「観察」という仕事柄、戦闘は一貫して避けているので直接的な攻撃力や腕力は未知数。本人は幻術による敵の妨害や、味方のサポートを得意としている。
基本的に命令には素直に従い、与えられた仕事は確実にやり遂げるので、部下としては非常に有能。
- 蓮の花で身代わりを生成する
- 腰に下げている瓢箪から無数の毒蛇を召喚する
- 式神を人に取り憑かせて操る
- 異空間を作り出す
この様に扱う技は多彩であり、その実力は確かである。
奈落が白霊山で強大化した後の分身であるため、基礎能力が高く、奈落や赤子と同等の結界を使う事ができ、身体能力も高い。
身のこなしも軽く、戦国最強を誇る殺生丸の奇襲すら素早い動きで幾度もかわしている。仮に攻撃が命中したとしても蓮の花で自身の身代わりを作り出す為、白夜本体にダメージを与える事は困難である。
白夜が自らの過失でダメージを負った事は一度もなく、彼が負傷したのは最終決戦で奈落本体にかごめの破魔の矢が当たった時と、殺生丸の爆砕牙で奈落の体内を斬られた時のみである。
いずれも奈落本体への攻撃を共同体の特性故に巻き添えで喰らった時であり、彼本人に落ち度はない。
真相
実は奈落が最後の切り札として生み落した存在。
その役割は「自身を滅し得るかごめの存在を永遠に葬り去る」ことであり、犬夜叉たちを観察し続けていたのは、その方法を探すため。
そして目を付けたのが冥道残月破で、その力を写し取る機会を耽々と狙っていた。
奈落とは共同体であり、奈落が手傷を負うと白夜も同じダメージを受ける。その為、彼は奈落の分身たち(奈落の心臓たる赤子は除く)の中で唯一固有の臭いを持たず、その臭いは「奈落と同一」である。
それ故、劇中で彼が起こした事件の殆どが「奈落の仕業」だと犬夜叉たちに誤認されている。
そして奈落の体内では犬夜叉に気付かれる事なく、かごめへの接近に成功した(周囲に充満した奈落の臭いと同化してしまう為)。
最終決戦においても、犬夜叉たちとの戦闘には終始消極的であり、奈落のサポートと観察に徹していた。
最後は、奈落の命令で犬夜叉の冥道残月破の能力を前述の刀でコピーし、その刀でかごめを斬りつけた直後、犬夜叉の斬る冥道残月破で倒された。
その時でさえ「奈落の死と同時に滅びる身体だから未練はない」旨の発言をし、死の恐怖にも最期まで無頓着だった。
奈落の分身の中で唯一彼を裏切らず、他の分身と異なった理由として、作者は「白夜には『かごめを斬る』という使命があって、案外それが生き甲斐だったのかもと想像します」とコメントしている。
追記
作者は奈落が鬼蜘蛛の心を捨てている時点での分身である事を挙げ、彼の背中に蜘蛛の火傷がない可能性に言及している。
また奈落の眷属である最猛勝と比較し、曰く「より奈落に近いのかもしれない」「白夜もなぜか奈落を裏切らなかった」とのこと。