概要
『クイーンズブレイド』における大陸西部を支配する、最強の貴族。マリアが飼っていた白虎をシンボルとしている。
大陸四強が一角のクローデット、初代主人公のレイナ、『Hide&Seek』並びに『アンリミテッド』主人公のエリナはいずれもヴァンス伯爵の自慢の三人娘である。ただし、長女クローデットは結婚前に平民の妾に産ませた子なので庶子。
当主であるヴァンス伯爵は王国の半分に及ぶ勢力圏を有し、絶対君主たる女王に次ぐ権力を有する。
というのも元々ヴァンス家の先祖はガイノスの王族であり、それがクイーンズブレイド初代覇者により打倒されて、現在のクイーンズブレイド制度が出来たからである。
そのため基本的にどの作品においても伯爵と逢魔の女王アルドラとの仲は極めて悪い(小説版及びアニメでは妻の仇である)。
ヴァンス家は(元々一応は国を支配していたというのもあって)貴族の中で一番マシな治世を行っているため、基本的に平民はみんな貴族嫌いと言っても過言ではないガイノス領においても、唯一支配者として支持されているのがヴァンス家だったりする。
…が、ガイノスは上見て暮らすな下見て暮らせが当たり前なほど腐敗しているため、万民からヴァンス家が慕われているとは言えない状況にある。あわせて保守的な伯爵の気風に加え、初代王女から追い出され伯爵領に逃げのびてきた貴族たちがとてつもなく腐敗している(小説版リベリオンに至ってはあまりの腐敗ぶりにエリナ一派が率先して悪徳貴族狩りを行っているほどである)こともあり、伯爵家を露骨に憎悪している平民などもザラにいる。
小説版においては現女王アルドラが有無を言わさず攻め込んできたこともあり、女王軍・伯爵軍・民間人揃って膨大な死者を出した事が明かされている。吉川かば夫漫画版においては女王軍迎撃の際の増税もあり、領民からの人気は地の底まで落ちている。
こうした国内の貧困や階級闘争的な派閥問題は、(方法の如何を問わず)アルドラを打倒しても「邪悪な女王をやっつけた正義の伯爵さま万歳」とすぐ解決するような安易な問題では収まり切れなくなっており、事実『クイーンズブレイドリベリオン』でクローデットが女王の座に着き実質ヴァンス家が国を乗っ取ったに等しい状況においても伯爵領内外を問わずまるで改善の兆しを見せていない。
このように書くと(作劇上の都合もあり)ヴァンス伯爵やクローデットが脳筋なだけの無能な暴君みたいに思えるが実際はそうではなく、ヴァンス親子も目の上のたん瘤である旧女王政権や周辺の腐敗貴族の掃討(強兵)に尽力しているものの、その財源となる民衆への福祉・産業奨励(富国)が追い付いていないというのが根本的な問題にある。
ヴァンス親子が為政者として(客観的に見れば)疑問符が付くのは事実ではあるが、彼らも彼らなりに国や民を想っており、無策で戦争や弾圧がしたいだけの冷血漢ではないのである。
レイナはこうした風潮に我慢ならず出奔しており、それを引き戻す為にエリナが伯爵の名を受けて出立する…というのが、『クイーンズブレイド』および『アンリミテッド』の始まりとなっている。
なおクイーンズブレイド世界において苗字の概念は非常に希薄であるが、三姉妹の苗字は一応「○○・ヴァンス」なようである。
伯爵家の人々
ヴァンス伯爵
当主。妻に先立たれており、厳格かつプライドが高い、良くも悪くも貴族らしい男性。このアニメで一番胃を痛めてそうな人。
中々のナイスミドルだが、娘たちとあまり顔が似てない。
マリア
伯爵夫人。かつては武器屋カトレアと並ぶ最強と称される美闘士であるが、エリナが幼い頃に早逝している。
小説版では沼地の魔女により強制蘇生させられるが、副葬された愛虎と混ざってしまいワータイガーとなってしまう。
伯爵長女。大陸四強に数えられる剣聖。前掲の通り庶子なので、伯爵からもやや他人行儀に扱われており、それがコンプレックスとなっている。シスコン。
伯爵次女。『クイーンズブレイド』主人公。
伯爵の治世に疑問を抱き出奔する。『クイーンズブレイドリベリオン』においては魔女の呪いを受け、「幻影の戦士マリア」という母と同じ偽名を名乗る。シスコンではない。
伯爵三女。『Hide&Seek』主人公。リブート作『アンリミテッド』では絶影の追跡者エリナ。
伯爵家の象徴である白虎の意匠に身を包む好戦的な少女。シスコン。