概要
1990年に展開した、トランスフォーマーのシリーズ。変形ロボット玩具であるトランスフォーマーシリーズの中で、『変形しない』という、特異なカテゴリになる。
ただし、それぞれのキャラクターには『非変形の本体とともに、変形するビークルや武器』を付属させており、変形玩具としての体面は(一応だが)保たれている。
『変形』という、トランスフォーマーにおける最大の特徴であり魅力を廃した本シリーズは、アメリカにおけるアクションフィギュアの標準的なサイズになっている。
しかし、非変形ゆえに当時のファンからは戸惑いと批判も多く、セールスも不調。結果、アメリカにおける(いわゆるG1期の)トランスフォーマーは、1990年のこのシリーズを以て展開を一旦終了することになってしまった。
ヨーロッパ(EU)圏では91年も続き、アメリカでは未発売のアクションマスターも発売。
中には「非変形のアクションマスターに類しながら、変形が可能」という、『アクションマスター・エリート』というカテゴリも登場した(後述)。
このため、後年になっても復刻や他カテゴリに流用なども行われず、不評に終わったために玩具の出回った数も非常に少ない。そのため、現在ではかなりのプレミアが付いている。
また、アクションマスター自体は、足が開き膝が曲がるため、それなりにアクションポーズは取れる(ちなみに腕の可動域は肩のみで、一軸可動。腕を開いたりはできない)。
が、両足は胴体内部にゴムで接続されているため、経年劣化で切れてしまい保持力がなくなってしまう中古品も存在する。更に、内蔵されているギアの破損や、その修理のしにくさ、プラの素材などから、中古品を入手してもリペアやメンテナンスが難しい玩具でもある。
日本においては、正式に発売はされていない。
91年の日本展開時における、「スターコンボイ」の販売時の店頭キャンペーン、および初代コンボイの復刻版「ニューイヤースペシャル」にアクションマスター・コンボイが付属した程度である。
なお、アクションマスター・コンボイに付属していたトレーラーは、後年(1998~2000年)に日本で展開した「ミクロマンレッドパワーズ」において、「ミクロトレーラー」として仕様変更され発売された。
これら以外の商品は、日本では発売されていない。また、日本のアニメ作品にもアクションマスターに該当する玩具やキャラクターなどは未発売・未登場である。
設定
新エネルギー「ニュークリオン」を発見したサイバトロンは、それを取り込んでパワーアップする。が、その代償として変形能力を失ってしまった。
そして、この技術はデストロン側も発見し、盗み出してしまう。彼らもまた同様に変形能力を失いつつも強化に成功。
互いに変形能力を失ったものの、両陣営は『アクションマスター』となり、変形するパートナードロイドやビークルとともに新たな戦いに臨むようになった。
玩具
上述の通り、アメリカのアクションフィギュアのサイズで、非変形のトランスフォーマーとともに、変形するパートナードロイド、またはビークルが付属するというフォーマットを有する。
1990年
90年度は、コンボイおよびメガトロンをはじめとする、84年~85年の両陣営のメンバーたちをアクションマスター化。
ラインナップは、サイバトロン側は17名、デストロン側は10名。うち、サイバトロン8名とデストロン5名は、本シリーズで初出のキャラクターである。
バンザイトロンも、その一人。
各々には、変形するパートナードロイド、またはビークルを与えられている。
ドロイドはそれぞれ、通常は様々な形状の小型のロボットだが(マイスターのスケートボード、バンブルのヘリパックのような、四肢の無いタイプもある)、武器やバックパックに変形する事が可能。
また、パートナービークルはアクションマスターを乗せる事はもちろん、車両が飛行マシンに、戦闘機が砲座になど、それぞれ変形する。
コンボイやメガトロンも同様。コンボイはトラックトレーラーで、メガトロンは戦車。当然ながら搭乗させての遊びが可能。さらにそれぞれキャブおよび砲塔部が飛行マシンに変形し、残った部分は基地に変形する。
1991年
ヨーロッパでのみ展開した91年度では、両陣営とも7体がラインナップ。
内3体がパートナードロイド、2体はパートナービークルを持つ。残り2体は変形機能を有した『アクションマスター・エリート』である。
また、こちらにもそれぞれの陣営に84~85年のメンバーが入っている。
パートナードロイドは、サイバトロン側はタンク型、デストロン側は動物型で、バックパックとヘルメットに変形。アクションマスターの武装となる。
パートナービークルは、エクソスーツ(外骨格強化服)に変形し、アクションマスターを包み込む事で強化体となる。なお、両陣営に一体ずつ、電動走行するビークル(四輪バギー)がラインナップに入っている。それらもエクソスーツに変形可能だが、単に立たせただけの簡易変形である。
アクションマスター・エリート
91年度のラインナップに入っている、変形するアクションマスター。
設定上は、『ニュークリオンを摂取しておきながら、変形機能を保てた個体』との事だが、非変形を謳ったアクションマスターとしては、矛盾する存在でもある。
全4種、各陣営で2体ずつが発売。変形自体は非常に単純なもので、身体を寝かせて手足を伸ばしたり畳んだりして、付属したパーツを取り付けただけ……というもの。
サイバトロン側の1体および、デストロン側2体は、過去にラインナップされたキャラクターの名前、および酷似した外観を持つが、関連性などは設定されていない。
コミック版
マーベルコミック版にも、終盤に登場した。
コンボイの死後、グリムロックが惑星ハイドラスフォーへ赴き、そこで未知の新エネルギー・ニュークリオンを発見。
グリムロックが自身の体でそれを試し、変形機能を引き換えに自身が強化される事を証明。コンボイ復活のために、ニュークリオンを用いる事を決意する。
当時コンボイは、惑星ネビュロスの科学者・ハイQをパートナーとして、パワーマスター化していたが、ユニクロンと戦い命を落としていた。
しかし、プライマスにより作られたトランスフォーマーの守護者「ラストオートボット」により、ハイQを核とした新たなボディを製造されたコンボイは、アクションマスターとして復活する。
劇中では復活後に、素手で殴る蹴るして戦う様子を見せていた。なお、アクションマスター版のコンボイは、下腕部および腿が青色に塗装されている(通常のコンボイは、青色部分は手首および膝から下部分)。コミック版もそれに準じている。
余談
ちなみに90年度のアメリカ展開では、アクションマスターの他にマイクロトランスフォーマーがラインナップされていた(こちらは小さく単純ではあるが、ちゃんと変形する)。
しかし、アクションマスターの不調で、アメリカでの展開は終了。
再開(というより、再始動)は93年の「G2(ジェネレーション2)」まで待たねばならなくなった。
EU圏では、91年にアクションマスターの他、日本の89年(トランスフォーマーV)のブレインマスター三体(合体用パーツが削除されているため、ロードシーザーに合体は出来ない)、および、88年(超神マスターフォース)のオーバーロード(名称は同じだが、ゴッドマスターのメガ・ギガは、名称の無いただのエナージョンフィギュアとされている)が、同時期に発売された。
日本では、90年に「トランスフォーマーZ(ゾーン)」で、ダイアトラスなどパワードマスターを、91年に「ザ★バトルスターズ」として、スターコンボイを、マイクロトランスフォーマーとともに販売していた(なお、この時期にはデストロン側の玩具はほとんど発売されていない)。
関連タグ
バンザイトロン……デストロン・アクションマスターマーシャルアーツ兵。アクションマスターで最も有名なキャラクター。