扇一郎
おうぎいちろう
CV:郷里大輔
数字は全て同列だがな… お前に皆と同様の発言権があると思うなよ
人物
常に天蓋を被った巨漢で、素顔は不明。裏会の最高幹部を務めるほどの実力者ではあるが、裏会自体が「家督を継がなかったり、人間性にクセがあったりするはみ出し者の集まり」という側面を持っているため、自身もその例に漏れず一族の正統継承者ではない。
性格は冷酷非情そのもので目的のためなら手段を選ばず、自身の部下や他の兄弟のことも捨て駒程度にしか思っていない。そのため奥久尼からは「悲しい方」と評されているほか、弟の六郎からも「もう人間じゃない」と言われている(肉体的にも精神的にも)。
墨村正守とは「長兄でありながら正統継承者ではない」という部分が共通しているが、正守が年若いのにもかかわらず同じ十二人会であるのが気に入らないのか、部下に対する価値観が異なる(正守は夜行の頭領も兼ねており、メンバーには彼に引き取られた異能者の子どもも多いため仲が良い)からなのか、非常に折り合いが悪い(他の幹部に対しては「○○殿」と呼ぶが、正守だけは「小僧」呼ばわりしている。)。
家にいる時は培養液のような物に浸かっており、四方の壁には呪文のようなものが書かれているほか密封されて光が全く届いていないため、非常に怪しい。
能力
風使いの一族出身なだけあって、風を操ることが可能。正統継承者ではないものの本家の人間であるため、巨大竜巻や正守の絶界でも防ぎきれないほどの風の衝撃波を複数繰り出すほどの無尽蔵な力を持つ。当然ではあるが空を飛ぶことも可能。
作中での動向
十二人会の会合で初登場。この時から正守を気に入っておらず、嫌味を散々口にしていた。その頃の夜行や良守たちは黒芒楼との戦いが激化していたが、裏で黒芒楼を手引きしていたことが判明した(この騒動で夜行のメンバーで良守にとっても大切な存在であった志々尾限が死亡している。)。
その後は各地で起こる神佑地の騒動にも一枚噛んでいたようで、黒芒楼を使って烏森を襲撃したのも神佑地の力を欲していたため。弟の五郎や六郎を派遣して墨村家に神佑地狩りの罪を着せようとしており、特に五郎が起こした一件では夜行に数名の犠牲者が出ている。
しかし、裏会の秩序を重んじる奥久尼と部下や実家を巻き込まれた正守が協力し、遂に扇一族の別邸にて邂逅を果たす。
正守
「お前のくだらない嫌がらせのために、何人部下が死んだと思ってる。」
「サシでやれよ、男なら。」
次の瞬間、屋敷が風で木っ端微塵に破壊されるが、正守は絶界で防ぐ。
一郎
「小僧が… 生きて帰れると思うなよ。」
同時に異変を察知した扇一族の部下たちが正守を取り囲むが一蹴される。しかし、その隙に自身は上空から攻撃を仕掛けており、部下ごと地面を破壊する。
そこからは規模に物を言わせた攻撃を矢継ぎ早に仕掛けるが、一瞬の隙を突かれて結界で足を滅されてしまう。
しかし、それでも力が衰えることはなく、寧ろ怒りで更に大規模な竜巻を発生させ、正守を葬ろうとする。そして、正守は絶界と共に突っ込んできたため、真空波で真っ二つに切り裂くが…
正守
「後ろ取った。」
切り裂いたと思った正守ら式神による陽動であったため、本物の正守は竜巻に紛れてすぐ近くまで接近しており、そのまま結界で串刺しにされてしまった。そして、そのまま絶界で消し飛ばされそうになってしまうが…
一郎
「小僧…‼︎ 貴様ごときが…‼︎」
正守
「もう消えろよ。」
一郎
「仕方ない… お前達、術を解くぞ。」
と言った次の瞬間、一郎の身体が崩れて5つに分裂し、それぞれが風に乗って逃走してしまい、正守も満身創痍であったため取り逃してしまう。
しかし、残された一郎の残骸からもう一つ肉塊がずり落ち、正守は慌てて受け止める。そして、その肉塊は扇六郎に形を変える。
六郎
「俺達は、六人で一人… だった…」
「見捨てられた…」
「すべてっ… 捧げたのに…‼︎」
扇一郎の正体とは外法の術による兄弟6人による集合体であり、無尽蔵な力も6人分の力によるもの。一郎達は逃走する際に兄弟でも最弱だった六郎に傷を押し付けていたことが判明する。
六郎
「殺せよ。」
「いいんだ、わかってた… 兄さん達はもう、人間じゃないんだ」
こうして結末を迎えた両者の争いだが、他の十二人会からも噂になっており、本人達もアクションは起こさずとも更に険悪な空気が続いてしまっていた。
そして、夜行に保護された六郎から扇一族の内部事情が明かされる。
六郎曰く、自分達は合体を習得して裏会の最高幹部に上り詰めるほどの力を手にしていたが、それでも父である現当主から跡目に指名されなかった。
そして、自分達にはもう一人の弟がおり、その弟は父が65歳の時に産まれて現在は高校生とのこと。
しかし、その弟の力は兄弟どころか歴代の扇一族の中でも桁違いなものであり、彼は当時7歳であったのにも関わらず、他の兄弟を差し置いて次期当主に指名されていることが判明した。
その後は奥久尼が流した神佑地の偽情報に嵌ってしまい、一族が所有する寺に隠れていたところに正守達夜行が遂に攻め入るが…
肉塊
「あ“…あう…助…うえ…」
寺の中には既に争った形跡があり、血塗れの肉塊が5つ転がっていた。
唖然とする正守の背後に、突如謎の青年が現れる。その男が一郎達を殺したと知った正守は怒りのままに攻撃を仕掛けるが一蹴されてしまい、更には一郎達の残骸を塵にされてしまう。
「この大きな渦の中心に来たいのなら、もっとレベル上げてかないとダメですよ。」
という言葉を残した青年は風に乗って去ってしまった。
「さようなら、五郎兄さん、四郎兄さん、三郎兄さん、二郎兄さん、一郎兄さん…」
「ごめん、人である内に殺しとけば良かったね。」
一郎達を殺したのは、六郎の口から存在が語られたもう一人の弟で扇一族の次期当主・扇七郎であった。