Έρως,Eros
ギリシア語でパスシオン則ち受苦として起こる「愛」を意味する普通名詞が神格化されたものである。
ギリシア神話に登場する恋心と性愛を司る神である。日本語では長母音を省略してエロスとも呼ぶ。
ローマ神話との対応・姿の変化
ローマ神話ではエロースには
ラテン語でやはり受苦の愛に近い意味を持つアモール(Amor)またはクピードー(Cupido)を対応させる。(キューピッド)
クピードーは後に幼児化して英語読みでキューピッドと呼ばれる小天使のようなものに変化したが
元は髭の生えた男性の姿でイメージされていた。
古代ギリシアのエロースも同様で
古代には、力強い有翼の男性あるいは若々しい青年でありやがて、少年の姿でイメージされるようになった。
エロースの象徴は弓矢及び松明である。
古代の記述 『初期設定は最強の神』
ヘーシオドスの『神統記』では、カオスやガイア、タルタロスと同じく、世界の始まりから存在した原初神である。
崇高で偉大で、どの神よりも卓越した力を持つ神であった。
またこの姿が、エロースの本来のありようである。
後に、軍神アレースと愛の女神アプロディーテーの子であるとされるようになった。
古代のおいては若い男性の姿で描かれていたが
西欧文化では、近世以降、背中に翼のある愛らしい少年の姿で描かれることが多く、
手には弓と矢を持つ
(この姿の絵は、本来のエロースではなく、アモールあるいはクピードーと混同された絵である)
黄金で出来た矢に射られた者は激しい愛情にとりつかれ、
鉛で出来た矢に射られた者は恋を嫌悪するようになる。
エロースはこの矢で人や神々を撃って遊んでいた。
ある時アポローンにそれを嘲られ、復讐としてアポローンを金の矢で、
たまたまアポローンの前に居たダプネーを鉛の矢で撃った。
アポローンはダプネーへの恋慕のため、彼女を追い回すようになったが、ダプネーはこれを嫌って逃れた。
しかし、いよいよアポローンに追いつめられて逃げ場がなくなったとき、
彼女は父に頼んでその身を月桂樹に変えた
(ダプネー daphne とはギリシア語で、月桂樹という意味の普通名詞である)
このエピソードが示す寓意は、強い理性に凝り固まった者は恋愛と言う物を蔑みがちだが、
自らの激しい恋慕の前にはその理性も瓦解すると言う事である。