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竹の水仙の編集履歴

2022-10-19 11:41:52 バージョン

竹の水仙

たけのすいせん

「竹の水仙」とは、古典落語の演目の一種で、名人として知られる江戸時代の大工・左甚五郎を主人公としている。

概要

主な演者には、桂歌丸や、5代目笑福亭枝鶴などがいる。また、左甚五郎が登場する落語は他に「ねずみ」「三井の大黒」がある。

あらすじ

藤沢宿のとある宿屋の二階に、一銭も払わず暴飲暴食し、長い間宿泊している男がいた。はじめは「宿賃は去る時に支払ってもらい、それまでは何があっても取り立てない」という約束だったが、こう暴飲暴食が続くと流石に宿の予算も食材も尽きつつあったため、宿の主人・大黒屋金兵衛は、苛立つ妻にせっつかれて、勘定を取り立てることにする。

すると、男は「もう金はない」と言う。怒った主人が「散々飲み食いした挙げ句金が無いだと?じゃあどうするつもりなんだ」となじると、男は「俺は上方の番匠(大工)だよ」と名乗り、「こういう算段がある。よく切れるノコギリを持って宿の裏にある竹やぶについて来な」と言う。主人は「自分が宿賃を払ってもらうように言ったもんだから、あちらさんが怒って自分をノコギリでバラバラに切って殺すんじゃあないだろうね?」と疑いつつも、言われたとおりについて行く。竹やぶに着くと男は、たくさん生えている孟宗竹のうち何本かを指さし、「これとこれを切るんだ」という。主人は、釈然としないながらも、言われたとおりに竹を切る。

男はその竹で、水仙のつぼみの彫刻と、花立てを作りあげる。男は主人に「これが売れたら、売り上げを宿賃として支払うよ」と言って、主人を呆れさせる。主人は男がさらに指示するとおりに、その花立てに水をたっぷり入れ、竹の水仙をさし、「売物」と書いた紙を貼って軒先の目立つ場所に一晩置く。すると、明け方につぼみが割れ、竹でできた水仙の花が見事に開く。

そこを偶然、肥後熊本の細川越中守の大名行列が通りかかる。越中守はたちまち軒先の竹の水仙に心を奪われる。側用人の大槻刑部が宿を訪ね、「値は如何ほどだ?」と聞く。主人は二階に上がり、「相手はお大名様だ。ちょっと高く取って、1朱ぐらいで売るか?」と男に提案する。ところが男は「200両で売るんだ」と言う。主人は狼狽するが、意を決して男に言われた通りに伝える。しかし、刑部は「たかが竹細工に払える値ではない。武士を愚弄するか」と激怒し、主人を殴って出て行ってしまう。主人は男に、せっかくの買い手を逃した上に理不尽に殴られたことを強く当たるが、男は「まだ表に立っときな。あの御用人は、すぐに顔を真っ青にして戻ってきなさるから」と言う。

一方その頃刑部は、本陣で休んでいた越中守に「先程の竹細工は買わずに戻ってまいりました」と報告する。すると、越中守は「あの竹の水仙は、今世に名を轟かせる名人・左甚五郎が作った貴重なものに違いない。あの他には京にしかない。また甚五郎は、いくら金を積まれても、気が向いた時だけあれを作る」と言う。それを刑部が「200両は竹細工にはあまりに高うござります」と言って帰ってきたことに越中守は激怒し、「もう一度宿屋に行け。もし買えなかった場合は切腹を命ずる」と言ったため、刑部は大あわてで宿へと走る。

主人は戻ってきた刑部に「先程お侍様に一発叩かれましたから、値段を300両に上げます」と言い放つ。それでも買おうとする刑部を不審に思い、「なぜたかが竹細工にそんなに大金を支払いなさるのですか」と聞いたところ、甚五郎の正体を知ることになる。

竹の水仙を売ったあと、主人夫妻は甚五郎に今までの無礼をわび、売り上げの300両を渡そうとする。売り値を200両と決めていた甚五郎は差額の100両を夫婦に渡し、宿賃と迷惑料としてさらに50両を渡し、「明日この宿を発つつもりだ。世話になったな」と言う。

夫妻は宿を去ろうとする甚五郎を止め、「どうかこのあとも、裏の竹藪から竹を取ってきて、300両の竹の水仙をこの宿で作り続けてもらえませんでしょうか」と聞くが、甚五郎はそれを拒む。理由を聞くと、「竹に花を咲かせると、寿命が縮まるからね」。

解説

上記のサゲは、百年以上も成長を続ける竹類が数十年から百数十年に一度花を咲かせると一斉に枯れてしまう、という性質にかけたものであるが、他のサゲには、甚五郎が去ったあとの宿の夫妻が「人は見かけによらないものだ」と悟り、「この前泊まっていったお坊さんも、もしかしたら弘法大師かもしれない」と言うものや、「『のみくち』がしっかりしてらっしゃる」と言うもの(甚五郎が大酒飲みであることと、ノミを使うことをかけている)がある。

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