主な登場人物
雛咲 深紅(ひなさき みく):本作の主人公。霊感がとても強いため、ありえないものを見ることが多く、兄の真冬にしか心を開かなかった。射影機と呼ばれる古いカメラで怨霊に立ち向かう。
雛咲 真冬(ひなさき まふゆ):深紅の兄で唯一の肉親。恩師である人気作家、高峰準星を追って氷室邸へと向かう。後に行方不明となる。
高峰 準星(たかみね じゅんせい):ミステリー作家。取材旅行で氷室邸に二人の助手と訪れるが、行方不明となる。
白い着物の女:霧絵(きりえ)。氷室邸に憑く怨霊。氷室邸で起きた事件の鍵を握っている。
射影機について
どのシリーズにも共通する必須道具。
射影機(しゃえいき)とは、通常は見えない“ありえないもの”を写すカメラである。主人公たちの武器となり、鍵を握っている場合もある。
怨霊を封印する力を持つだけでなく、浮遊霊や地縛霊を写すことも可能。封じられている場所を撮影することでヒントを得られたりできる。
撮影をせずにカメラを構えていると、子供の霊や特殊霊を呼び出すことができるが、大抵の人は驚く。
ストーリー
氷室邸は、かつて広大な土地を持つ家柄であったが、ある年の神事に失敗し、当主が家の者を惨殺してしまい、人がいなくなった事で廃屋と化した。
後に移り住んだ家族が神隠しに遭い、近年では五肢を裂かれた奇怪な変死事件。どの事件も、氷室邸に関係していると思われていた。
真冬の恩師である高峰準星が、取材旅行中に行方不明となった。真冬は彼を探していくうちに、氷室邸にいるとの情報を掴む。深紅に「高峰先生の行方がつかめた」と連絡を残したまま行方不明に。
真冬との連絡が絶たれて数週間。深紅は氷室邸へ行く事を決意する。
捜索していくうちに、氷室邸での事件の全貌が明らかとなっていく。
過去に起きた事件の全貌。(ネタバレ注意)
神事で起きた災害。数十年に一度、黄泉の門が開かれる時があり、黄泉の門が開かれると、黄泉にいる瘴気がこの世にあふれ出るという。それを防ぐために巫女が必要だった。
巫女である霧絵は、幼い頃から監禁状態にあっており、格子の外にいる真冬と瓜二つの男に恋をする。男と一緒にいると、巫女である事さえも忘れられた。
霧絵は『生きたい』と思うようになり、巫女としての力が徐々に弱まっていった。
だが、その男は氷室邸を出たと言われたのだ。突然の事に動揺が隠せない霧絵。
巫女が注連縄となる日がきた。
もう一度、あの人に…!
生への執着が強すぎたために、霧絵の注連縄は黄泉の門を塞ぐことができなかった。
門は開かれ、瘴気があふれ出し、禍刻(まがとき)が起こった。
瘴気を浴びた当主は氷室邸の人間を一人残らず惨殺し、自らも命を絶った。
霧絵は氷室邸の怨霊となり、屋敷に来る者を呪うようになった。