物語
明治23年、築地居留地で孤児として育った皆川真次郎は、念願の西洋菓子屋「風琴屋」を開店した。
しかし、やってくるのは甘いお菓子目当ての元幕臣の「若様組」と称する巡査と幼馴染と騒動ばかり。
今日も今日とて、何処からか騒動が舞い込み・・・。
*主要登場人物*
■ 皆川 真次郎 (みなかわ しんじろう)
主人公。西洋菓子屋「風琴屋」の主人。
築地居留地で通事(通訳)をしていた父を6歳で亡くし、父の仕事先の居留地で下働きをしながら育った。
菓子作りはその時に覚え、いつか職人になる事を、心の支えにしてきた。
居留地では苗字を縮めた「ミナ」という名前で呼ばれている。
元幕臣の巡査「長瀬健吾」や、成金のお嬢様「小泉沙羅」は幼馴染。
沙羅曰く「寂しがり屋でお人好し」の性格で、気がつけば騒動に巻き込まれ、しかも嫌とは言えない状況に陥っている。
子供の頃から遊びのようにして覚えた射的が得意で、小型の銃を所有。その腕前はかなりのものである。
■ 長瀬 健吾 (ながせ けんご)
真次郎の幼馴染。
元旗本二千石の若様で一級巡査。警察署内で元幕臣たちが自然と集まった『若様組』の頭。
居留地の外国人以外で、真次郎を「ミナ」と呼べる唯一の人物。
元々は帝国大学進学を希望していたが、父が余命幾許も無い事を知り、元家臣を養わねばならない為、巡査になる事を決める。
武道にも長け、頭の回転も速く、大将らしく頼ってくる人も多いが、性格は少々難あり(真次郎曰く)。
幼馴染の沙羅が、初恋の相手である。
■ 小泉 沙羅 (こいずみ さら)
同じく真次郎の幼馴染。
親が明治の世で大いに出世した、成金のお嬢様。現在は、女学校に通う学生。
「黙っていれば花の様」だが、口を開けばかなりのおきゃんで物事をはっきり言う性格。
「若様組」のマドンナ的存在で、巡査たちから慕われているが、本人は色気より食い気である。
女学校を卒業後は、家の商売を継ぐ予定。
真次郎に想いを寄せているが、はっきりと言い出せる状況ではないらしい。