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売血の編集履歴

2023-12-19 03:16:08 バージョン

売血

ばいけつ

輸血のため必要とされる血液を金銭で売ること。この記事では主にその血液を買い取り、保存と供給を行っていた血液銀行について解説する。なお血液銀行は医療機関の一種であり、システムの類似性から銀行の名称があるものの、金融機関ではない。

概要

日本では1940年頃まで、輸血は主に近親者に頼り、患者の枕元で直接処置が行われていた(直接輸血)。しかし量が賄いきれない場合など、病院を通して供血者から血液を購入する場合もあった。


1950年前後から輸血用製剤の原料を集めるため、製薬会社による売買血が行われるようになるが、この流れの中で大阪に日本初の血液銀行である日本ブラッドバンクが開設される。日本ブラッドバンクは大阪と神戸に採血プラントを置き、1か月で1万5,000人、採血量3,000リットルを目標とした。これを魁として、福岡血液銀行や富士血液銀行など、全国に次々と血液銀行が設立されていく。

これらの民間血液銀行では広く供血を募るため、一定の価格で血液を買い取る形(買血)をとっていた。

同時期には日本赤十字社による日赤血液銀行が設立されたが、こちらは善意に頼った無償での供血を呼び掛けていたため、成果ははかばかしくなかったという。


売買血の問題

買血の価格は当初かなりのもので、一度売れば数日は暮らせる程だった。そのため手持ちの金が尽きると安易に血液を売るという行為が横行し、ついには赤血球不足で血が黄色く見えるというおぞましい例が増えていった。


血液を売るのは貧乏な学生や肉体労働者が主であり、特に後者の層には覚せい剤の回し打ちなどによって感染症に罹っているものも多かった。こうした危険な供血者を暴力団がまとめて提供し、その上前をハネるなども当たり前で、血液銀行での検査もおざなりだったため、医師たちは手術の際、20%程度の感染症リスクを見込まねばならなかった。


こうした状況の中、1964年(昭和39年)、親日派の米外交官として知られたライシャワーが暴漢に襲われ負傷、輸血を受けたために肝炎に感染してしまうという事件が起きる。

これをきっかけとして政府は血液の提供を献血に切り替えるよう閣議で決定。売買血には厳しい規制がかけられた※。1968年には売血由来の輸血用血液が製造終了となり、翌1969年に売買血は終息を迎える。


※ただし、規制下でも預血(輸血に備えてあらかじめ血液を採取しておく制度)を利用し、預血証書の売買や血液銀行から供血者への謝礼目当てによる預血と言った形での売買血は存在し続けていた。


その後

民間血液銀行は、医薬品製造や医療機器の販売などにその業態を変えていった。

なお、日本初の血液銀行だった日本ブラッドバンクは、1964年、社名を「ミドリ十字」へと変更し医薬品製造業となるが、1980年代に非加熱製剤による薬禍(薬害エイズ事件)などを引き起こした後、1998年に他社との合併により消滅している。


一方、供血の手段は献血のみとなったため、少しでも多くの人を集めようとかつては図書券やクオカードが謝礼として渡されていた。しかし換金性の高さが問題となり、2002年の血液法施行後は飲み物や菓子類の提供などに留められている。



関連タグ

塩見周子:献血が趣味(お菓子が食べ放題でお茶も飲み放題だから)。


水木(鬼太郎シリーズ):昭和30年前後を舞台とする『墓場鬼太郎』等の鬼太郎シリーズで、血液銀行に勤める青年。墓場鬼太郎では売買血が物語の重要なファクターとなっている。

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