ピクシブ百科事典は2024年5月28日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴

マスタングの編集履歴

2012-08-19 15:33:33 バージョン

マスタング

ますたんぐ

アメリカ合衆国の自動車メーカー、フォード・モーター社が製造販売する乗用車。かつて日本では「ムスタング」とも表記された。

初代の大ヒット

開発開始当時副社長であったリー・アイアコッカの指導下で、第二次世界大戦以降に出生したいわゆる「ベビーブーマー」世代向けの中型車として開発が開始され、1964年4月17日から開催されたニューヨーク万国博覧会の初日に発表された初代マスタングは、後発の4ドアセダンであるフォード・トリノより低価格ながら、スポーティーな外観と十分な性能、「フルチョイスシステム」と呼ばれる多彩なオプション群と巧みな広告戦略などでアメリカ人の心を掴み、1960年代中盤の好景気も背景にT型フォード以来と言われる同社の大ヒットとなった。


高い人気

初代マスタングの販売戦略とその成功は、日本において1970年に発売されるトヨタ・セリカにも多大な影響を与えたと言われている。マスタングはフォードのみならずアメリカを代表するスポーツカーとしてその後も途切れることなく継続的にモデルチェンジを重ねている。アメリカ国外においても、フォードを象徴する存在、また比較的低価格なスポーティカー、カスタムベースとして人気が高い。


特徴

初代から現行型まで一貫して2ドアに4人もしくは5人乗りのレイアウトで、マッスルカーもしくはポニーカーと呼ばれる2ドアクーペに分類される。他の代表的なポニーカーとしては、ダッジ・チャレンジャーやシボレー・カマロなどがある。


名称

「マスタング」とは「野性馬」を意味し、その名は第二次世界大戦後期に活躍した戦闘機、ノースアメリカンP-51マスタングともイメージを重ねたと言われている。なお、当初はイタリア北部の都市の名前を取った「トリノ」という名前になることが決定していたが、当時のフォード会長のヘンリー・フォード2世が当時イタリア人のクリスティーナ・ベットーレ・オースティンと不倫中であったため、スキャンダルの報道に油を注ぐようなイタリアの名前を避けて、広告代理店のJ・ウォルター・トンプソンなどとともに再考した結果「クーガー」(アメリカライオン)と「マスタング」の2つの名が残り、最終的に「マスタング」に決定した。

ちなみにフォードは後に「フォード・トリノ」という車種を販売した。また「クーガー」の名称は、後にマーキュリーブランドのラグジュアリークーペとして採用されている。


歴史

マスタングにはおおまかに分けて6世代のモデルが存在する。なお、文献などによっては1964年~1973年までのモデルを初代とする場合と、1971年~1973年までを3代目とする場合もあるので注意を必要とする。

初代(1964年~1968年)

1959年に発売されたフォード車初の小型車で、大ヒットモデルとなっていたフォード・ファルコンをベースとしたスポーティカーとして、1964年にコンバーチブル及びハードトップのラインナップで登場した。バランスのいいスタイリングや巧みなマーケティングで発売当初から高い売れ行きを記録し、アメリカの自動車史に残る大ベストセラーとなった。

「フルチョイスシステム」と呼ばれる、オートマチック・トランスミッションやビニールレザーシート、ホワイトリボンタイヤなど多彩なオプションの選択肢を用意したことで、幅広い年齢、収入層に受け入れられることとなった。

1965年にファストバックが追加。トップモデルは「GT」で、1967年モデルは映画ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFTに緑色に白のストライプバイナルで登場。1968年モデルは映画ブリットに登場している。マスタングのシンボルマークが車体の左右にもつけられていた。

2代目(1969年~1973年)

初代に比べ大型化され、価格も全体的に高くなって登場した。「ファストバック」の名称を「スポーツルーフ」に変更。レース用ホモロゲーションモデルである「BOSS」をシリーズ追加。1969年にハイパワーモデルの「Mach1」を追加。「BOSS」シリーズには、1969年と1970年モデルにBOSS302とBOSS429の2タイプがあり、特に前者は「トランザムシリーズ」のホモロゲーションモデルであった。「BOSS429」はビッグブロックのHEMIエンジンが搭載されていて、カタログスペック上は375馬力であるが実際には600馬力近くあったと言われている。1971年には「BOSS351」の1種類のみになっている。

また「Mach1」は、1969年と1970年モデルでは428cu.in.CJ(「コブラジェット」)だが1971年モデルでは歴代最大の429cu.in.CJ(「コブラジェット」)を搭載、オプションでS-CJ(「スーパーコブラジェット」)ラムエアを搭載していたが、1年のみで429は姿を消し、翌年からは351cu.in.のみになった。かつて栃木県警察に「Mach1」の1973年モデルのパトカーが高速取締用車両として導入(寄贈)された。現在鹿沼市の免許センターに展示されている。

映画では下記にもあるとおり、1971年モデルが『007 ダイヤモンドは永遠に』のボンドカーに採用され、1973年モデルが『バニシングin60″』で主役の “ELEANOR(エレノア)”として約40分間の迫力あるカーチェイスシーンを見せてくれる。

当初はそれなりの販売台数であったが、大型化、ハイパワー化したために、1970年代初頭のオイルショックによるアメリカの消費者の小型化、低燃費指向への対応ができず最終的に販売が低迷してしまった。

なお、英語版ウィキペディアでは1973年モデルまでを1代目として扱っており、英語圏の資料でも同様の記述が多く見受けられる。

3代目(1974年~1978年)

フルモデルチェンジにより「マスタングII」が正式名称となる。デザインはフォード傘下のデザインスタジオであるイタリアのギアが担当した。また上記のようにオイルショックによる低燃費、小型化志向を受けてボディサイズも大幅に縮小され、当初はV8エンジン搭載車の設定もなかった。1977年にTバールーフが追加された。

また、スポーツモデルとして1976年に「コブラII」が、1978年に「キングコブラ」が追加されたが、エンジンはパワーアップした訳ではなかった。特に「キングコブラ」は、ボンネットに巨大なコブラのイラストが描かれボディ全体にピンストライプが入るなど、派手な外観をしたものであった。

4代目(1979年~1993年)

創業2代目かつ社主であるヘンリー・フォード2世と対立したために、1978年末にフォード社を追放されたアイアコッカの開発主導による最後のマスタングとなった。

オイルショック以降続いていた小型化、低燃費指向を受けて全長4メートル半程度と3代目に続き小型化は継続され、FOXプラットフォームを採用した。またフォード車初となるターボエンジン(2.3リッター直4SOHC)が搭載された。

しかし1980年代初頭の好景気を背景に再びハイパワー指向が復活してきたことから、1984年にハイパフォーマンスモデル「SVO」が追加されている。他にも3代目には設定されていなかったコンバーチブルモデルが復活した。

本来ならば1980年代後半にモデルチェンジされるはずであったが、この頃に売り上げが再上昇した上に、1988年に登場したフォード・プローブが、本来マスタングとして開発されていた車だったにもかかわらず別のモデルとして発売されるなど、諸事情によりマイナーチェンジを重ねつつ1993年まで生産されることになる。姉妹車としてマーキュリー・カプリがある。

5代目(1993年~2005年)

プラットフォームは先代より引き継いだFOXプラットフォームを改良して使用。デザインの細部に初代を意識した箇所が見受けられる。エンジンは3.8リッターV6OHVと5.0リッターV8OHV。また、制動、運転性能、衝突や横転などへの安全性能にも大きな配慮がなされた点が、初代までとの最大の違いである。スピン防止のため変速機はオートマチックとされた。コンバーチブルの地上高は若干剛性を高めたため低い。

1999年には大幅なエクステリアデザイン変更が施され、さらに初代のデザインイメージを反映させたスタイリングとなっている。

1994年には日本でもフォード・ジャパン・リミテッドにより輸入が開始され、廉価版グレードはトヨタ・セリカや日産・シルビアなみの200万円台前半という車両価格で投入されたことが話題になった。また、東京で夏の渋滞時にエアコンテストを行うなど、日本市場を大きく意識していた。

1996年モデルより5.0リッターV8OHVエンジンを4.6リッターV8SOHC24バルブエンジンに変更した。

1997年にはSVT製作の4.6リッターV8DOHC32バルブエンジン搭載の「コブラ」が追加された。この車種はスタンダードではマニュアル車。

2001年には映画「ブリット」仕様が北米で限定発売された。これは劇中で使用された1968年式マスタングの外装をヒントにして作られたものである。

6代目(2005年~)

2004年の北米国際オートショーに新開発のDC2プラットフォームをベースにコードネーム「S-197」として登場。チーフエンジンニアはHau Thai-Tang、外装デザインはSid Ramnarace。フォードの「リビングレジェンド戦略」に基づき初代を意識したデザインを採用し、大きな話題となった。ベースモデルのエンジンは先代の3.8L OHVから4.0L V6 SOHCに変更され、GTにはアルミニウムブロックの4.6L SOHC V8 (24V)・VCT付が搭載された。ギアボックスはTremec T-5 5段マニュアルが標準で、オプションで5R55S 5段オートマティックが用意された。なおGTのマニュアル車には強化型であるTremec TR-3650 5段マニュアルが搭載された。 5代目の発売後にマスコミから問題とされた衝突安全性への不備が改善された。 アメリカ国内ではドリフト仕様としての評価が高く、フォーミュラDにはフォードワークス製を含む数台のマスタングがエントリーしている。

2009年春から「2010年モデル」として内外装を変更したモデルに変更された。ヘッドランプはターンシグナル内蔵式となり、 テールランプも3連式を継承しつつも新デザインとしLED化された。またルーフパネルに小変更を加え、V6モデルで4%、GTで7%の空気抵抗低減を図っている。

2007年には光岡自動車がこのモデルのコンバーチブルをベースにガリューコンバーチブルを製造している。


日本への輸入

フォードジャパンが「V6クーペ」「V8クーペ」「V8コンバーチブル」の正規輸入を行っており、2012年には30台限定だが「V6パフォーマンスパッケージ」の導入も行った。日本向けはパイオニア製のカーナビやETCなどを選択できるなど国内の環境に合わせてあるが、MTが選択できなかったり車体色が少ない(北米向けは9種類だが、日本向けは4種類)他、BOSS 302やシェルビーGT500などは導入されていない。

問題を報告

0/3000

編集可能な部分に問題がある場合について 記事本文などに問題がある場合、ご自身での調整をお願いいたします。
問題のある行動が繰り返される場合、対象ユーザーのプロフィールページ内の「問題を報告」からご連絡ください。

報告を送信しました

見出し単位で編集できるようになりました