概要
講談社の「月刊アフタヌーン」の1997年10月号から2004年7月号まで連載。アフタヌーンKCから全7巻の単行本が刊行された。
別の恒星系にある惑星リオファルドからやってきて人類に恩恵をもたらした、平和的に思えた異星人ファルディアンの入植から10年。地球社会に彼らが馴染み、軌道エレベーターも完成した頃、突然リオファルドの全権親善大使シェスカ中将は地球征服を宣言する。リオファルドのテクノロジーによって、地球の軍備も発展していたが、重力制御・慣性制御技術だけは秘匿されており、その差によって地球側の軍隊はまったく歯が立たない。そんな時、主人公加農砲一は天才科学者の祖父・砲介によって作られた強化服と、そして巨大ロボット「エグザクソン」を与えられ「ヒーローになれ!」と命ぜられる。
と、一見地球侵略SFのようなコンセプトであるが、エグザクソンが所有する反物質を巡ってリオファルド地球評議会が母星への反逆を企てたり、地球を守る側の加農砲介もその実は英雄となって地球を征服することが目的だったりと、どちらも正義とは言えない複雑な物語が展開される。
加農家(加農基地)
天才科学者・加農砲介をリーダーとする地球防衛の最後の砦。明確な場所は触れられていないが、富士山近郊の地下に秘密裏に建造されていると思しく、砲介ガールズやアンドロイドら少数精鋭で運営されている。リオファルド侵略を予想して作られたため非常に堅牢で、特にエグザクソンの発着ハッチはリオファルドをしても正面突破できない。ただし、外部との出入りのために設けられた地下弾丸トンネルはそこまで頑丈ではなく、また内部防衛がアンドロイドと固定レーザーのみなど、いくつか弱点がある。
科学力は1800年前のリオファルドのそれを元に、10年前に飛来した現在のリオファルドを解析して改良したものであるが、エグザクソンが保有する大量の反物質というエネルギー差は、技術的物量的に強者のリオファルドに対し、むしろ優位にすら立っている。
加農 砲一(かのう ほういち)
本作の主人公。武蔵野市在住。都立豊和高等学校1年A組で部は無所属。ガンナースーツの装着者にして、エグザクソンの搭乗者。第一話冒頭から上級生複数を相手に一方的に勝つほど喧嘩っぱやく、腕っぷしも強いが、小学生にして壊された茜のビデオカメラを液晶画面以外すべて直してしまうなど、祖父の血を受け継いだ部分もある。天才科学者である祖父を尊敬しているものの、リオファルドとの戦いに勝つためには千や万の犠牲者も仕方ないとの考え方には納得できない、またリオファルド人であっても民間人への暴力は許さないなど、言うなれば義理人情に篤い少年。
日野 茜
砲一の近所に住む同い年の少女。いわゆる砲一の幼なじみ。小学生のころから報道の道に憧れて、カメラを振り回していたところを中学生に壊され、砲一がその報復と修理をしたお礼に将来貞操を捧げる約束をした。しかし当人は何年たっても凹凸の少ない自分のプロポーションを気にしているもよう。名前は南部式自動拳銃と同時期に開発された、日野・小室式自動拳銃からとられている。
水方 勇華
物語開始時に砲一のクラスに転校してきた長身巨乳の美少女。しかしその正体は、砲介によって作られた万能アンドロイド。分子マテリアルで全身が構成されているため、エアバイク形態、エグザクソンのコックピット形態、ないし不定形にも変形できる。非常に高機能であり、エグザクソンの管理防衛を任されるほか、自分とほぼ同等の分身を生み出したり、リオファルドの科学者が作った最新のナノテクウィルスすら分解できる(砲介からも勇華にできないなら誰にもウィルスを分解できないだろう、と言わしめている)。加農家アンドロイドでは第三世代にあたり、劇中でも八面六臂に活躍するが、その分当然製造コストがかなり高いらしいことを匂わせるセリフがある。名前はショットガンのイサカM37から。
加農砲介
砲一の祖父にして加農家の大黒柱。日本を代表する科学者であり、砲一からも尊敬されているが、本性は多数の情婦を囲い、地球の支配者になろうとした野心に満ち満ちている。若かりし頃に発掘された遺物の解析を任され、それが異星人のものと知るや金を詰んで隠蔽工作し、自分だけのものとして秘匿。これがのちのエグザクソンの母体となり、解析したテクノロジーから多数のパテントを得るとともに、来るべきリオファルドの侵略に備えた。その思想は戦争に勝つためには犠牲も仕方ないと考える合理的・戦略的なものだが、心理的な見通しの甘さもあり、のちに砲一から「喧嘩のやり方を知らねえ」と評された。
加農零子
砲一の母親。年齢に見合わぬほど美人で巨乳。尊敬する祖父にすら反抗することもある砲一だが、実母である彼女の言う事だけは素直に聞き入れる。その料理の腕は絶品であり「ボルシチを作ると言って砲一が帰ってこなかった日はない」と断言するほど。普段は長髪だがこれはウィッグ。
種子島良子
砲介の情婦たち、いわゆる「砲介ガールズ」のリーダー格。過去回想からおそらく10代のころより砲介の助手を務めており、つきあいの長さから砲介の行動をうまくフォローする女房役が板についていて、若手ガールズたちからも尊敬されている。ウィッグをはずした零子とよく似ているのでたまにややこしい。名前は種子島銃から。
朝霧ノリコ
砲介ガールズの一員。ストレートの黒い長髪が目印。スーパーハッカーであり、加農家の情報工作を主に担っている。名前は中国の火器メーカー・ノリンコから。
セリア=ベレット
砲介ガールズの一員。金髪と大きな瞳が目印。大学をスキップして博士号を得た10代の若手の一人で、しかも大手鉄鋼企業の令嬢とあって砲介が情婦にした。砲介ガールズは全員砲介に惚れ込んでいるが「肉体改造も精神操作も地球一」と砲介が豪語しているため、果たして彼女たちの本心なのか怪しい面はある。名前は弾薬メーカーのセリア=ベロットから。
スティア=後藤=バーキン
砲介ガールズの一員。ヘアバンドと黒いボブヘアが目印。運動神経が高く、勇華の動作モーションのモデルになった。名前は銃器メーカーのステアー社から。
ローナ=オーベルスバッハ
砲介ガールズの一員。金髪で糸目。元大学教授で企業の保安・警備システムの研究と設計をしていた。加農基地でも保安システムを担当。名前はドイツ南部オーベルスバッハにあるローオー・スポーツ・バッフェンファブリック社から。
稲垣愛
砲介ガールズの一員。メガネで三つ編み。ハード設計のスペシャリスト。勇華の設計を担当したため、彼女を娘のように大切に思っている。名前は稲垣式自動拳銃から。
浜田文香
砲介ガールズの一員。ポニーテールが目印。ローナの元教え子で、ローナが紹介して砲介ガールズに入った。セリアと同い年で同様に大学をスキップしている。万能型なので基地の雑務を担当している。名前は浜田式自動拳銃から。
エグザクソン
1800年以上昔にリオファルドで建造された惑星制圧兵器X-05を砲介が解析し、改造を加えたロボット。全高159.6m。リオファルド語で反物質を「XXX(ラウンメイタル)」と呼ぶため、この間に文字を入れて「EXAXXION」と砲介が命名した。この名前には「強制・強請」と言った意味と、「オン」で終わるのは日本のロボットアニメの伝統だからとの意味もかかっている。
通常は核融合炉で稼働し、瞬間的に高エネルギーを必要とする場合にのみ背部の対消滅エンジンを使用する。サブ武器として左手には38ミリ6砲身ガトリング×3、右手は46センチ機関砲を装備。手にはマニピュレーターもついているがほとんど飾りで、格闘時には腕の内部に収納される。メイン兵装は胸部に格納されたエグザキャノン。4096mm×12口径砲といった並外れたサイズから反物質エンジンを使ってはじき出される弾頭の威力は、リオファルドのソロサルムを圧倒して敵味方を震撼させた。さらに折り畳んだ追加バレルを装備したフルバレル状態になれば、この倍以上の攻撃力を発揮する。(メイン画像参照)
リオファルド
地球からはるか離れた惑星リオファルドを母星とする人間種族。身長は人間と同程度、手足一対、指も五本と極めて近似した体格をもつが、灰色の肌とエルフのようなトガリ耳、そして白目が黒いのが特徴。また構造的には地球人より脆弱な描写もある。
何千年も前に反物質惑星を発見し、それをエネルギー源として利用、文明を謳歌していたことが語られ、地球をはるかに超えたテクノロジーを有しているのがわかる。しかし1800年前にこの反物質惑星を対消滅で喪失して以降は、往時の勢いを失いながらも各星系への植民を拡大。地球もその一部として狙い定めていた。地球評議会が全員軍人で、終盤に登場する首相の強権ぶりからも、かなりの軍事政権ぶりがうかがえる。それでいて一気呵成に地球を攻略しなかったのは、その観光や資源の価値をじっくり上げようとする全権大使シェスカの方針だった。
地球駐留軍は、エグザクソンが所有する大量の反物質に目をつけ、これを奪って母星への反逆を企図するようになる。
シェスカ・ゾブロザフカ
リオファルド全権親善大使。階級は中将。リオファルドの地球支配をブラウニン首相から任された人物だが、計略家で野心も強いことから首相に警戒感も抱かせていたようである。自分をかばって死んだ部下を無碍に扱う冷淡な人物ながらリオファルドの中ではハト派らしく、もしタカ派司令官だったら10年前に地球は侵略されていたと語る。
フランキ・サパス
リオファルド軍人で階級は大佐。シェスカの親衛隊長でもあり、密命を受けて味方を襲撃する汚れ仕事から、エグザクソンと戦う「ダグノフ1」のパイロット、加農基地への急襲などまで請け負う。額の傷は乳房にまで続くもので、その歴戦ぶりがうかがえる。
ザルエル
リオファルド軍人で階級は大尉。当初は日野茜や加農零子の尋問を担当していたが、二人の身柄が戦略医療班に移管されると同時に彼の部下へと転属した。
リャマ
リオファルド軍人で階級は少佐。リオファルドでも有数の科学者であり、最新テクノロジーによるマイクロウィルスを開発。彼の作るウィルスは加農側では勇華以外分解できないほど高度であり、戦闘以外ではほぼ唯一と言っていいリオファルド側の優位なアドバンテージとなる。
ソロサルム
リオファルド製巨大ロボット。軌道エレベータによって静止衛星軌道上から地上へ降ろされた初荷。当時のリオファルド全権親善大使であったシェスカがこれを披露し、地球の占領を宣言した。主砲として1143mm×32口径砲を装備し、ハワイ島沖からの砲撃によって富士山を消滅に至らしめた。
カスール
リオファルドの都市破壊専用重機ロボット。飛び道具はないが、両腕に溶解用の近接レーザーを搭載した巨大シールドマシンが装備され、これでエグザクソンを破壊しようとした。
ダグノフ1
エグザクソンの出現に際し、リオファルド地球評議会が対抗するべく軌道エレベーターの設備をフル回転して急造した戦闘ロボット。詳細な数値は明らかとなってないが、両腕を砲塔にするとエグザキャノンフルバレルの1.5倍の口径、3倍の質量砲弾を発射する。本星管轄の亜空間ゲートから強奪された緊急用反物質を搭載し、リオファルドの最新技術を投入しているため、性能面においてはエグザクソンを殆ど凌駕し、フルパワーに到達するまでの速度も速いため、格闘戦においても優位である。