概要
多重債務者の逃亡や隠匿のバックアップを合法的に請け負う“夜逃げ屋”の活躍を描くアクション・コメディ。
制作背景には「ローンやクレカこそ最先端の生き方。身の丈だの我慢だのは昭和一桁の遺物」などと人々を煽りまくって80年代の安定消費社会の時流に乗り隆盛を誇ったあげく90年代のバブル崩壊によって社会問題化した、タウン・クレジット(いわゆる信販会社・サラ金)によるグレーゾーン金利問題や多重債務問題(長じては闇金問題)がある。
いかにローンだのクレジットだの投資(融資)だのと言葉を変えようとも、計画的な運用をしていようとも、借金は所詮、借金に過ぎないという部分を全面的に押し出している作品、とも言える。
劇場映画として3作品が製作された後、日本テレビ系にてテレビシリーズ化された。
映画
全三作。監督は全作品、原隆仁。
第1作『夜逃げ屋本舗』
1992年1月18日公開。
主題歌はKANの『こっぱみじかい恋』
夜逃げ屋本舗ミッドナイト・ランと金融大手大帝都信販との戦いを描く。
第2作『夜逃げ屋本舗2』
1993年5月15日公開。
主題歌は上々颱風の『いつでも誰かが』だが、この曲は翌年上映の『平成狸合戦ぽんぽこ』でも主題歌採用されており、むしろそちらでの起用の方が有名で本作の主題歌であった事は忘れられがちになっている。
大帝都信販との戦いを経て代書業ライジング・サンとなった夜逃げ屋本舗と非道な闇金・豊富ファイナンスとの戦いを描いた。
第3作『大夜逃 夜逃げ屋本舗3』
1995年2月11日公開。
特定の楽曲の主題歌設定は存在せず、メインのインストゥルメンタルソングがそれに準ずるものとなっている。
債務者を騙して事実上の強制労働をさせる貧困ビジネス事業者「ニコニコヴィレッジ」を運営する磯野善吉との大規模夜逃げバトル。ニコニコヴィレッジに入れられてしまった入居者全員の夜逃げ(と、いうか事実上の集団脱獄)に夜逃げ屋本舗が挑む。
前2作は光和インターナショナルの単独製作だったが、本作は日本テレビも製作に参加しており、後の連続TVドラマ版の布石になっている。
テレビドラマ
日本テレビ系列で放送された。
上述の映画版の続編を謳ってはいるが、様々な細部設定は異なっており、事実上のパラレルワールドとなっている。また「第1シリーズ+スペシャル」と「第2シリーズ」も設定変更されている部分があったりする。
第1シリーズ『夜逃げ屋本舗』
1999年1月13日より3月17日まで毎週水曜日22:00 - 22:54に、「水曜ドラマ」枠で放送。
主題歌は安室奈美恵の『I HAVE NEVER SEEN』。
特番『夜逃げ屋本舗 スペシャル 月を射よ!』
第1シリーズの2時間ドラマ。1999年12月30日に放送。
第2シリーズ『新・夜逃げ屋本舗』
2003年4月16日より6月25日まで毎週水曜日22:00 - 22:54に、「水曜ドラマ」枠で放送。
主題歌は中村雅俊の『立ちあがれ』。
用語
夜逃げ屋本舗
ライジングサン(Rising Sun)
源氏が経営する経営コンサルタントオフィス兼夜逃げ屋(映画版では2作目以降に源氏が旗揚げした自己破産専門の代書屋)。
ミッドナイト・ラン(Midnight Run)
源氏が運営する、夜逃専門引越業を主業務とする企業。映画第1作では正規の運送業者だったが、映画2作目以降およびドラマ版ではライジングサンの裏商売として描かれる。黒塗りのトラック、黒塗りのダンボール、遮光カーテンなどの夜逃げ専門ツールを装備。
主な登場人物
源氏雅彦 - 中村雅俊
シリーズの主人公。夜逃げの請け負いはビジネスと割り切っていると自称するが、実際は情にもろくやさしい一面も。「会社も客を選ぶ」を企業ポリシーとしており、負債に苦しむ弱者には手厚い救いの手を差し伸べる一方、意志薄弱な顧客は制限行為申請などを用いて容赦なく切り捨てる非情さも持ち合わせる。
野口浩介 - 益岡徹
全3作に登場。映画シリーズにおける源氏の右腕的な存在であり、明晰な頭脳と並み外れた行動力で源氏をサポートする。社内における肩書きは「部長」。常に飄々とした風体で、時に味方すら欺くほどの狡猾さも持ち合わせるが、悪徳債権者の卑劣な言動を前にすると感情を抑えきれなくなる場面もある。
相沢康子 - 高木美保
第1作、2作に登場。変装と潜入調査を得意とするミッドナイト・ランの紅一点。